『真・らぶ・CAL・てっと』

倉智せーぢ

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真・らぶ・CAL・てっと 七十一

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さすがに他の部屋では落ち着かない。
留美はまだしも、佑、由香、治は間違いなく落ち着かない。
なぜならこの家は、留美の父・水瀨恒太郎のシュミ丸出しなのである。
彼は自衛官――まあ部下がそうなので必然的に当たり前の話として――なのであるが……彼自身が某極道モノ映画俳優の大ファンで、家の室内装飾は映画風の極道の屋敷のものであり、あおりを喰らって部下までもそういう服装を強いられている……というわけなのだった。
ちなみに、妻の留加は半分以上好きでやっているらしい。
なお、『好き』というのは夫の事が、である。
ある意味『バカップル』と言えるかもしれない。

孝行娘の留美は昨年、佑の母・育嶋佑美の手を借りて両親の別居を解消させている。
しかし、佑美のスーパーウーマンぶりを知らない留美には、その事実はいろいろな理由でかなり隠されているのであった。

もっとも……留美の部屋も佑や治や一般的男子高校生には居心地が良くないかもしれない。
フリルやぬいぐるみてんこもりとはいわないが、かなり女の子女の子しているからだ。
だが、それなりの広さはあった。
佑は、もう一つこの部屋に馴染めないでいるが、そんなに頻繁には訪れないし、そういうことに口を出す性格でもないのだ。
治は、居心地の悪さよりも物珍しさで落ち着かない様子だった。
上着を脱ぎ、楽にしている佑にならって……楽にしているとはいっても正座でいる先輩後輩草食系男子なのであった。
なお、由香の部屋は?というと、茗の部屋とそれほど違わない……BL本が隠してある以外は。
だが、隠してあるのでイトコの治は、隠してある本の量を知らない。
つまり……
いや、今回行ってもいない部屋の描写は省略する事にする。

留美は普段着に着替えたかというと……ブレザー風の制服の前を少しはだけてベッドに腰掛けていた。
由香は
「ちょっとバスルーム」
といって部屋から出て行った。
「治クン?」
留美の、揺らめく大きな瞳が治を呼んでいた。
吸い寄せられるようにすー、と歩む治を見てもハラハラしている佑は、後ろからチョンチョンと肩をつつかれて振り向いた。
「ゆ、由香……」
そこには、オールヌードの由香が立っていた。
身につけているモノと言えば、右肩に掛けたタオルくらいである。
腰の引け気味の、これから『仲直り』する相手を見下ろして
「何よ、佑? これから仲直りするんでしょ? しないの?」
ビクッ!と佑は直立不動になり
「す、すすすす」
すが多い。
「するよ! します!」
「声が大きい! もっと小さく!」
最近体育会系一本やりという感じだった由香は、ついクセがでた、と照れて鼻の頭を掻いていた。
ふと、留美の方へ目をやると、治の後頭部に遮られ、さっきまで見えていた留美の顔が隠れていた。
「お待たせ、由香……っと?」
由香の様子を見て、その見開いた視線を追った。
すると……
留美のその柔らかい唇が、やわらかさでは遜色のない治の上唇を横からはさむ。
その力加減はまさに絶妙で、治はソフトクリームに唇を挟まれているのかと思った。
もっとも、あたたかいソフトクリームがあれば、の話だが。
そして、たとえる事のできないような感触のしめった粘膜に覆われたものが上下の唇のすき間から、唇をとろけそうに愛撫しながらもぐり込んで……。
治の目の前では快さの火花が散っていた。
そのとき、治のバックルははずされ、シャツが巧妙に脱がされて……。

見とれていた自分に気づいた佑は
「ゆ、由香……しない? 僕たちも……なかなおり……」
「そうね、しよっ!」
と、仰のいた。
キスのおねだりポーズである。
身長差の関係で、留美がただいま絶賛実行中のキスとたまたま似た角度になり、由香と佑の脳裏にも軽く火花が散った。
「ん……」
「む……」
そのあと、二つの唇は深く合わさり……肌と肌が触れあっていった。

その頃、治は留美の二つのふくよかな膨らみに、またもや命を奪われる寸前だった。
が、すんでのところで気づいた留美に、マウストゥマウスで甘美でやわらかしっとりの人命救助を受け……気づいたときには、治と留美の肌は密着していた。
「……る、み、さん……」
「どう? あたしの……やわらかいかな?」
真っ赤になった治の顔がその答えだった。
留美の白い柔らかな指先が、治の、佑よりまだ細いソレに絡み、キュッ、と力を入れる。
「あン……治クンもやっぱり男のコ……」
跳ね返してくるような弾力に、ほんのり顔を赤らめる留美。
治の方でも、興奮に息が荒くなる。
「ね、こっちも……」
治のまだ少年からおとなへと変化する前のような華奢な手首をつかんで留美自身の、とても柔らかいところへ導いていく。
「あ……」
その柔らかさに驚く治。
急に血の巡りが良くなった部分へ、留美は唇を触れさせた。
「あっ、はう……」
女の子のような声を上げた治。
そのまま留美にお返しとばかり唇を……。
「いゃン……急にしちゃ……治クンてばダメよ慌てちゃ」
「ご、ごめんなさい」
素直に謝るところは、年上のお姉さんにたしなめられた悪戯いたずらっ子のようだ。
だが決してそれだけではない
「あン……いゃン……今注意したばかりなのに……」
「佑はそうじゃなかった」などと不粋な注意をする留美ではない。
逆に促すように先ほどの続きをするべく、治のソレに舌先を……。
「!!」
未知の快感に、気が遠くなる治。
今までの相手(つまり、直也と佑)よりも1段も2段も上のテクニックだった。
留美は、治の身体から力が抜けても、かまわず色々なところに唇を押し当てていった。
治の身体はまだ男の匂いがしなかった。
とてもいい匂いで、留美もとうとう……。
ややあってその伏せた長いまつげをあげるように、治は目を開いた。
それでなくても大きく潤む瞳がさらに大きく開かれた。
「!!!」
声にならない声を上げる治。
「どぅお? あたし、きれい……?」
がくがくと首を振る治。
留美の肌は、白く光るように美しい。
例によって例の処はつるつるなのだが、今は太腿に隠れている。 それがまた悩ましい。
「ね、治クンも脱いで……」
治はそうした。
そして、裸の治もとっても可愛らしく、思わず
「かわういっ!」
と広げた胸に治を迎え入れるのだった。
「留美さん……」
治も今度は気を落ち着ける事が出来た。
しかし、肝心なところは立ち上がり……。
「もぉ、治クンたら本当にかわうい……」
下腹部にあてがわれた固い部分に、治の男らしさを感じる留美だった。
2人は、そこで、留美の柔らかいベッドに横になったのだった。

「ご、ごめんね、気が利かなくて……」
佑のその言葉に呆れるように
「ね、何度目なのそれ? もう分かったってば」
くす、と笑った由香。
「そうよね。 こんな格好じゃね」
バスタオルをはおって佑の横に移動する由香。
「それに、こんな雰囲気じゃ慌てちゃうわよね」
最近ごぶさただったので、少し荒っぽかったかな?と反省をしているようだ。
「ね、そろそろ……」
「う、うん」
熱くなったモノを由香の湿ったところへと押し当てていく。
「ほんと、佑、すっかりカタくなって……」
ぐっ、と由香を抱く腕に力がこもる。
2人は、やがて忘我の境地に……。

こうして、佑と由香の仲直りはうまくすすんだ。
留美と治も、とてもやわらかすべすべな抱きまくらを抱いている、そんな夢を見てまどろむ時がながれ……。


そして、治は気持ちよさそうにすーすー寝息をたてていた。
そのほほえましさに、上級生3人は、それぞれ微笑を洩らした。
おだやかな、おだやかな時間……4人はこの上もなくくつろいでいたのである。

だが、留美の次の言葉でそれは打ち砕かれた。
「ね、佑?」
「な、何?」
と言う間もなく
「こんど治くんとシてるところ、見せてくれる?」
その後の騒ぎは、今回は描写を避ける。

しかし、のちに
「留美さんて、とっても……」
次の言葉を予想して、思わず息を呑む佑。
「きれいで優しいけど、少し変わってますよね。 おうちもああだし」
ああ少年よ、と慨嘆がいたんする佑。
次の瞬間、佑はくすくす笑い出さずにはいられなかった。
「そ、そういやそうだね、北条の言うとおりだ」
治はキョトンとしていた。
致し方ないだろう。
そしてその頃、由香は
「で、ユカが治クンとするのはいつごろかな?」
という留美の屈託のない問いに、頭を抱えるのだった。

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