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真・らぶ・TRY・あんぐる 四十四
しおりを挟む「佑クンにも、そしてユカちゃんにも、あたしの気持ち押し付ける気はなかったよ?」
魅力的に……魅力的で、本当に食べてしまいたいような笑顔を見せる留美。
佑がその笑顔をしっかり受け取ったかどうかはさておいて。
「でも、佑クンはあたしと付きあうのを承諾してくれた」
積極的に『承諾』をしたつもりなど、佑にはないが、留美はそんなことは知らない。
「ユカちゃんは勇気を出して、あたしに好きだっていってくれた」
佑はしばらく絶句していた。
彼としては絶句する他ないだろう。
「だからつい、ちょっと積極的になっちゃって」
えへ、と含羞む留美に佑はまだ絶句し続けていた。
(い、今までのあれがちょっとって……それに由香ちゃんが留美ちゃんを好きって……しかも僕の気持ちを知ってたって……)
寝耳に水の事だらけで、何も言い出せない状態が続いてる。
「佑クン、別にあたしがキライだってワケじゃないんでしょ?」
絶句したまま、こくこく頷く。 不意を突かれたのでつい本音が出たのかもしれない。
「だったらいいじゃない? あたしもユカちゃん好きだし、肉体関係持ってもいいと思うもの」
唐突に美少女の口から発せられたドギツい単語に、絶句し続けることもできなくなった佑は、我知らず変な声をあげてしまった。
「はいぃ?」
「だからね」
噛んで含めるように
「あたしは佑クンを好きだし、ユカちゃんも好き。 佑クンもユカちゃんを好きで、あたしも好き。 ユカちゃんもあたしを好きだし、佑クンも好き」
これが本当の恋愛三角関係、というわけだ。
「ほらね、ちゃんとつじつまあってるじゃない。 何か問題あるかな?」
「なっなっなっ……何か問題って…………」
散々衝撃的なことを聞かされて、佑の精神は完全に錯乱状態にあったといっていい。 更に留美はたたみかける。
「なんなら、わかりやすいように図に描いたほうがいい?」
留美の性格からして穏やかには済まないだろう。 いろいろ言われても仕方がない。 どんな目にあっても甘んじてうけよう……とは想像し、彼女がどんなことを自分にしてこようとも受け入れるつもりではいたが、こんなことをされて、こんなことを言われるとはまるっきり予想だにしていなかった。
確かに、ここまで話が肺炎を起こすほどこじれている現在、それを一刀両断に解決つけるための方法というのはこれしかないのだが。
つまり『最大多数の最大幸福』というやつである。
そして――
留美のとんでもない発想と、とんでもない行動というものは佑の想像を絶していた。
佑が我を失って放心状態になっている折り、留美は由香の携帯に連絡を取っていたのだ。
こういう、相手がどこにいるか不明なときくらい携帯が便利だと思う時はない。
そんなに便利な携帯を、留美も由香も所持しているが、滅多に使っていない。
なぜ滅多に使わないかということについては今回は割愛し、またの機会に譲ることにする。
由香の携帯の着信音が2回鳴った。
3回目が鳴る前に画面を見ず携帯に出る。
「留美?」
由香の携帯番号を知っているのは留美と父だけの筈で、いま父は目の前にいるのだから必然的に留美から、ということになる。 彼女はワン切りの被害にあったことがないのだ。
「あ、ユカちゃん? 今、忙しい?」
「う、ううん。 別に忙しくないけど?」
「大事な話があるの。 ウチに来てくれる? 今、パパもママも高津さんたちも留守だから」
「う、うん、わかった……うん、すぐ行くわ」
我知らず胸がときめいてしまう。 それとともに佑の顔が頭をよぎる。 『応急手当』の感触や『介添え』のときの姿も一緒に。
「どうして……なんだろう」
由香はまたもや恋愛の迷路に入りかかっていた。 しかし、それを振り払うように頭を振り
「パパ、留美のとこに行ってくるね?」
そうことわって自宅を後にした。 少しばかり慌てて出かける娘を、真澄は慈愛に充ちた瞳で見送っていた。
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