クラス転移でハズレ職を押し付けられた『ガチャテイマー』、実は異世界最強 〜俺だけ同じ魔物を合成して超進化できる〜

蒼月浩二

文字の大きさ
19 / 105
第一章(約11万字)

第18話:ラッシュ

しおりを挟む
 ◇

 冒険者ギルドの演習場。

 アーネスに到着した稲本たちは、冒険者となるため、早速冒険者試験を受けていた。

 この世界でも生活にはジュエルと呼ばれるお金が必要であり、ジュエルを稼ぐためには何かしらの仕事を見つけなければならない。

 幸いにも魔物と戦う力を十分に持つ彼らにとっては、最も現実的な収入を得る手段が冒険者となり、依頼をこなすことだった。

 冒険者になるためには厳しい試験を突破しなければならないのだが――

「おめでとうございます! 合格です!」

 ★5職業に恵まれ、既に最低限の実戦経験を積んだ彼らにとっては、冒険者になること自体は壁ですらなかった。

「難しいと言ってもこの程度か。やはり俺は選ばれし勇者だったな」

 内心焦りつつ試験を受けていた稲本だったが、ほっと胸を撫でおろした。

 そして。

「よっしゃあああああああっ!」

「まあ、当然だね」

「私でもなんとかなった! ちょろすぎ!」

「みんな油断しちゃダメだよ。まだ冒険者になれただけなんだから!」

 遠藤、片桐、高原、山川の生徒四人は喜びを爆発させていた。

 この世界――《アクア》に転移してからというもの、辛い状況が続いていたことからの反動だったのかもしれない。

 初日は仲間が大勢亡くなり、苦渋の決断で和也を見捨てざるを得なかった。

 リード村に到着してからも劣悪な環境で一晩を過ごし、《地球》に帰ることはおろか、これからの生活の目途すら立たない状況だった。

 冒険者としての資格を得たことで、ようやく収入を得ることができる。

 生活基盤が整いさえすれば、元の世界に帰る方法を模索する余裕も生まれるかもしれない。

 五人にとって、ようやく一筋の光が見えた瞬間だった。

 そんなタイミングだった。

「素晴らしい! こんな合格者は見たことがない!」

 パチパチパチ……と拍手しながら、五人に近づいてくる青年。

「えっと……?」

 高原が困惑した様子で青年を見た。

 日本での学生社会では、見知らぬ他人から突然話しかけられることはあまりなかった。

「あ~、困らせちゃってごめんね。僕の名前はラッシュ・グリフィス。★5職業の金死霊術師だ。冒険者をやってる」

「★5だと⁉ 俺たちと同じじゃん⁉」

「先輩冒険者にそう言ってもらえるのは嬉しいね」

「私たち褒められちゃった⁉」

「やっぱり結構すごいのかな……?」

 生徒たちが驚きと喜びの反応を見せている中、稲本は冷静に反応する。

「それで、俺たちに何か用か?」

 すると、ラッシュは待ってましたとばかりに答えた。

「僕をパーティに入れてもらえないかな? と思って」

「君を⁉」

 まさかの提案に驚く稲本。

(★5職なら強いことは間違いない。でも、なぜ俺たちのような新人パーティに? ……狙いがわからんな)

 稲本の心の声を見透かすかのように、ラッシュ場言葉を続けた。

「★5職の冒険者はなかなか見つからないんだ。僕のようなエリートが仲間になるに相応しいのは、あなたたちのような才能溢れる人間だと思っている。特に深い意味はないよ。僕はそれなりに冒険者を長くやってるし、アドバイスできることもあると思う。どうです?」

「ふむ。俺が才能溢れる人間か……まあ、そうだな。なかなか見る目がある」

 ニヤリと笑みを浮かべた稲本は、すっかりこの青年を信用していた。

 しかし、念には念を入れておきたい稲本は、一つラッシュにお願いすることにした。

「信用していないってわけじゃないんだが、その……どんな戦い方をするか見せてもらうことってできるか?」

「ああ、そのくらいお安い御用ですよ」

 ラッシュは二つ返事で答えた。

「見ていてください」

 ラッシュは、訓練用のカカシの方に左手を向ける。

 足元に幾何学模様をした複数の魔法陣が出現し、煌めいた

 そして、大きなウルフが五体出現した。

「僕の職業は、一度倒した魔物をストックしておき、いつでも呼び出すことができる。さらに、僕ん力により元の魔物より数段強くなってる」

 訓練用のカカシの素材は、この世界で最も硬いといわれるオリハルコンでできている。

 そのため、訓練用のカカシは決して壊れることはないとされている。

 しかし、召喚されたウルフが訓練用にカカシに飛び掛かると――

 ガッシャアアアアアアンッ!

 訓練用のカカシはいとも簡単に壊れてしまったのだった。

「……なんと!」

 冒険者試験で実際に稲本も攻撃したことがあったが、ビクともしなかった。

 ラッシュが『本物』だと確信するには十分なパフォーマンスだった。

「これからよろしく頼む」

 稲本がラッシュに握手を求め、右手を差し出す。

「ええ、こちらこそ」

 ラッシュは不敵な笑みを浮かべつつ、稲本の手を取ったのだった。
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

クラス転移で無能判定されて追放されたけど、努力してSSランクのチートスキルに進化しました~【生命付与】スキルで異世界を自由に楽しみます~

いちまる
ファンタジー
ある日、クラスごと異世界に召喚されてしまった少年、天羽イオリ。 他のクラスメートが強力なスキルを発現させてゆく中、イオリだけが最低ランクのEランクスキル【生命付与】の持ち主だと鑑定される。 「無能は不要だ」と判断した他の生徒や、召喚した張本人である神官によって、イオリは追放され、川に突き落とされた。 しかしそこで、川底に沈んでいた謎の男の力でスキルを強化するチャンスを得た――。 1千年の努力とともに、イオリのスキルはSSランクへと進化! 自分を拾ってくれた田舎町のアイテムショップで、チートスキルをフル稼働! 「転移者が世界を良くする?」 「知らねえよ、俺は異世界を自由気ままに楽しむんだ!」 追放された少年の第2の人生が、始まる――! ※本作品は他サイト様でも掲載中です。

異世界に召喚されて2日目です。クズは要らないと追放され、激レアユニークスキルで危機回避したはずが、トラブル続きで泣きそうです。

もにゃむ
ファンタジー
父親に教師になる人生を強要され、父親が死ぬまで自分の望む人生を歩むことはできないと、人生を諦め淡々とした日々を送る清泉だったが、夏休みの補習中、突然4人の生徒と共に光に包まれ異世界に召喚されてしまう。 異世界召喚という非現実的な状況に、教師1年目の清泉が状況把握に努めていると、ステータスを確認したい召喚者と1人の生徒の間にトラブル発生。 ステータスではなく職業だけを鑑定することで落ち着くも、清泉と女子生徒の1人は職業がクズだから要らないと、王都追放を言い渡されてしまう。 残留組の2人の生徒にはクズな職業だと蔑みの目を向けられ、 同時に追放を言い渡された女子生徒は問題行動が多すぎて退学させるための監視対象で、 追加で追放を言い渡された男子生徒は言動に違和感ありまくりで、 清泉は1人で自由に生きるために、問題児たちからさっさと離れたいと思うのだが……

どうも、命中率0%の最弱村人です 〜隠しダンジョンを周回してたらレベル∞になったので、種族進化して『半神』目指そうと思います〜

サイダーボウイ
ファンタジー
この世界では15歳になって成人を迎えると『天恵の儀式』でジョブを授かる。 〈村人〉のジョブを授かったティムは、勇者一行が訪れるのを待つ村で妹とともに仲良く暮らしていた。 だがちょっとした出来事をきっかけにティムは村から追放を言い渡され、モンスターが棲息する森へと放り出されてしまう。 〈村人〉の固有スキルは【命中率0%】というデメリットしかない最弱スキルのため、ティムはスライムすらまともに倒せない。 危うく死にかけたティムは森の中をさまよっているうちにある隠しダンジョンを発見する。 『【煌世主の意志】を感知しました。EXスキル【オートスキップ】が覚醒します』 いきなり現れたウィンドウに驚きつつもティムは試しに【オートスキップ】を使ってみることに。 すると、いつの間にか自分のレベルが∞になって……。 これは、やがて【種族の支配者(キング・オブ・オーバーロード)】と呼ばれる男が、最弱の村人から最強種族の『半神』へと至り、世界を救ってしまうお話である。

学校ごと異世界に召喚された俺、拾ったスキルが強すぎたので無双します

名無し
ファンタジー
 毎日のようにいじめを受けていた主人公の如月優斗は、ある日自分の学校が異世界へ転移したことを知る。召喚主によれば、生徒たちの中から救世主を探しているそうで、スマホを通してスキルをタダで配るのだという。それがきっかけで神スキルを得た如月は、あっという間に最強の男へと進化していく。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

五十一歳、森の中で家族を作る ~異世界で始める職人ライフ~

よっしぃ
ファンタジー
【ホットランキング1位達成!皆さまのおかげです】 多くの応援、本当にありがとうございます! 職人一筋、五十一歳――現場に出て働き続けた工務店の親方・昭雄(アキオ)は、作業中の地震に巻き込まれ、目覚めたらそこは見知らぬ森の中だった。 持ち物は、現場仕事で鍛えた知恵と経験、そして人や自然を不思議と「調和」させる力だけ。 偶然助けたのは、戦火に追われた五人の子供たち。 「この子たちを見捨てられるか」――そうして始まった、ゼロからの異世界スローライフ。 草木で屋根を組み、石でかまどを作り、土器を焼く。やがて薬師のエルフや、獣人の少女、訳ありの元王女たちも仲間に加わり、アキオの暮らしは「町」と呼べるほどに広がっていく。 頼れる父であり、愛される夫であり、誰かのために動ける男―― 年齢なんて関係ない。 五十路の職人が“家族”と共に未来を切り拓く、愛と癒しの異世界共同体ファンタジー!

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

勇者召喚の余り物ですが、メイド型アンドロイド軍団で冒険者始めます

水江タカシ
ファンタジー
28歳独身、一般事務の会社員である俺は、勇者召喚に巻き込まれて異世界へと転移した。 勇者、聖女、剣聖―― 華やかな肩書きを持つ者たちがもてはやされる中、俺に与えられたのは聞いたこともないスキルだった。 【戦術構築サポートAI】 【アンドロイド工廠】 【兵器保管庫】 【兵站生成モジュール】 【拠点構築システム】 【個体強化カスタマイズ】 王は落胆し、貴族は嘲笑い、俺は“役立たず”として王都から追放される。 だが―― この世界には存在しないはずの“機械兵器”を、俺は召喚できた。 最初に召喚したのは、クールな軍人タイプのメイド型戦闘アンドロイド。 識別番号で呼ばれる彼女に、俺は名前を与えた。 「今日からお前はレイナだ」 これは、勇者ではない男が、 メイド型アンドロイド軍団と共に冒険者として成り上がっていく物語。 屋敷を手に入れ、土地を拠点化し、戦力を増強しながら、 趣味全開で異世界を生きていく。 魔王とはいずれ戦うことになるだろう。 だが今は―― まずは冒険者登録からだ。

処理中です...