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案内される部屋のカード 1
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私は会社の夏休みで2泊3日の旅に出かけることにした。企業と提携している、ちょっぴりリッチな指定旅館。
ここを選んだ理由は、駅前繁華街を抜けてすぐに旅館があるからである。無精な私は、美味しいものを食べて、温泉にゆっくり入る旅で良かったのだ。
当日、目的地で電車を降りると、ムッとする暑さに襲われてしまい、慌ててビル内の繁華街に駆け込んだものだ。
そこは住んでる街と変わらぬ店が並んでいたのには、がっかりもする。ただ地下街に下りると新鮮な海の幸も目立ち、ご当地名産も誇らしげに並んでいるのはうれしい。
お昼を過ぎたという事で海鮮ランチに冷えた生ビールを注文していた。安くて美味しく鮮度抜群、こんなことで人生満足する私は、なんて安上がりな女なんだろうと思えてしまう。
美味しさだけでは満足出来ない人は、まるで不幸だと言わんばかりに、隣のカップルが慌ただしく出ていくのを何気なく目で追っていた。
お腹が満たされれば近くのカフェに立寄って、ゆったりとしたムードを味わう。古風な造りの館で飲む珈琲は本当に美味しくて満喫したのである。
旅館が駅から近いということで、観光など寄らない旅にしたかった。旅館内の料理とビール、掛け流し温泉で癒される・・そんな旅の計画が、今回の旅の目的にもなっていた。
駅前から旅館も見えるが、かなり格式高く豪華な造りになっていたのには、逆に裏切られたような気持で「当たり」だった。
チェックインまで時間があったが、ラウンジで冷えた麦茶を飲む。そのやる気のなさは、いつも仕事で頑張っているんだからと、ソファーで新聞を読むのも納得する。
新聞の向こうに派手な赤シャツにジーンズの姿、どこかで見掛けたようだが思い出せない人物。
その時フロントから「加藤様~」
すると、その赤シャツの男が立ち上がり受付を済ませていたが「0802って8階ですね。エレベーターは何処ですか?」
その赤シャツの言う数字にピンときてしまった。なぜなら私の誕生日が8月2日、満30才、忘れられない出来事であり、区切りのある旅行でもあったのだ。
それから間もなく私にも、フロントの案内係りが駆け寄り「お泊りのお客様でしたか?」
「はい、新谷です」
名前を告げると、準備出来ているという。 受付を済ませ、部屋のカードを渡された数字が0801「あ!」あの赤シャツ男が私の誕生日0802だと思い出す。
手渡された0801のカードをドアに当てて部屋に入ると、前に広がる景色はオーシャンビューで、かなり素敵な部屋で、これも「当たり」であった。つづく
ここを選んだ理由は、駅前繁華街を抜けてすぐに旅館があるからである。無精な私は、美味しいものを食べて、温泉にゆっくり入る旅で良かったのだ。
当日、目的地で電車を降りると、ムッとする暑さに襲われてしまい、慌ててビル内の繁華街に駆け込んだものだ。
そこは住んでる街と変わらぬ店が並んでいたのには、がっかりもする。ただ地下街に下りると新鮮な海の幸も目立ち、ご当地名産も誇らしげに並んでいるのはうれしい。
お昼を過ぎたという事で海鮮ランチに冷えた生ビールを注文していた。安くて美味しく鮮度抜群、こんなことで人生満足する私は、なんて安上がりな女なんだろうと思えてしまう。
美味しさだけでは満足出来ない人は、まるで不幸だと言わんばかりに、隣のカップルが慌ただしく出ていくのを何気なく目で追っていた。
お腹が満たされれば近くのカフェに立寄って、ゆったりとしたムードを味わう。古風な造りの館で飲む珈琲は本当に美味しくて満喫したのである。
旅館が駅から近いということで、観光など寄らない旅にしたかった。旅館内の料理とビール、掛け流し温泉で癒される・・そんな旅の計画が、今回の旅の目的にもなっていた。
駅前から旅館も見えるが、かなり格式高く豪華な造りになっていたのには、逆に裏切られたような気持で「当たり」だった。
チェックインまで時間があったが、ラウンジで冷えた麦茶を飲む。そのやる気のなさは、いつも仕事で頑張っているんだからと、ソファーで新聞を読むのも納得する。
新聞の向こうに派手な赤シャツにジーンズの姿、どこかで見掛けたようだが思い出せない人物。
その時フロントから「加藤様~」
すると、その赤シャツの男が立ち上がり受付を済ませていたが「0802って8階ですね。エレベーターは何処ですか?」
その赤シャツの言う数字にピンときてしまった。なぜなら私の誕生日が8月2日、満30才、忘れられない出来事であり、区切りのある旅行でもあったのだ。
それから間もなく私にも、フロントの案内係りが駆け寄り「お泊りのお客様でしたか?」
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