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美味しさを発信 1
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人は美味しさに誘われ交通費を使ってまでも食べに行く。料理の安さや映えを人に伝えたい、誰よりも早く情報発信させたい精神が溢れかえっていて「いいね」と、2人の女子が食べ歩く。
「おいしそう ここのコース安いから行こう」
期限付き前払い「ね~明日、飲みに行かない?」
「明日は無理、仕事なの。金曜は?」
「その日は、私がダメなのよ」支払いは済んでるので、期限に追われ急に慌てるのだ。
今回 2980円という美味しそうな料理が気に入ってチケットを買っていた。なぜコースが安いのか、本当に美味いのか疑いもあったが、それでも来週には飲みに行く約束が出来た。
・・
当日、店を探しても中々見つからないので街中で人に尋ねてみたが、さっぱり分からなくて結局は店に電話して教えてもらう。ようやく見つけると、人の流れも無くなる裏通りだった。
これでは中々来てくれないのは当然だと思える。 店とすれば、分かりずらいので半額広告を出していたのだろう。一度食べれば、また来てくれる自信があったに違いない「ここってさぁ料理は美味しいけど、場所が悪くて見つけにくいので安くしているのかもね」
「来てよかったかも!ここって店員さんも雰囲気もいいよね」 予想通り、また来たくなるほど美味しい。そんな彼女たちが誰となく教えたかったのはお節介なんだろうが、美味しさを発信していた。
・・
それから一ヶ月後、再び好みの割安クーポンを購入。どんな店でも買ってしまったら行かなければならないという不安が、今回は的中したようで入りたくない店No.1と思えて嫌な予感。
木造のアパートを改造したような古い建物の2階で「どうする ? 」
ネットで見た時は雰囲気が良くみえたし、料理に引かれ割安と思って購入したのだったけど・・清潔感無いし、来たら食欲が失せてしまったのだ。
良いイメージで探し歩いて、実際に目にした時はがっかりさせられたのだ。 そんな店に恐る恐る入ると「いらっしゃい」と、言われて諦める。狭い居酒屋、すぐ目の前に初老の男2人が静かに酒を飲んでいる場所に遭遇したのだ。
店内はカウンターの 6人掛けと3畳くらいの座敷が2つあるだけの小さな居酒屋。 私たちは予約したので、きれいとも言えない座敷に座り込むと「飲み物はどうしますか?」と、聞いてくる。
その時は飲み放題のビールを注文したが、厨房のお兄さんは一人なので取りに行くしかない。
カウンターに置かれた生ビールは、客の男が手渡してくれた「ありがとうございます」と、礼をいうと客も意味なく頭を下げてくる。
料理もカウンターに置いたのでは取りに行くしかない。店のお兄さんも「すいません」と恐縮するから仕方無いかなと我慢するが、その度にカウンターの客にも何度も迷惑を掛ける。
料理の種類が多く最高なのだが、酔ってくると取りに行くのが面倒くさくなってカウンターの席に移動する。隅の席は狭くて1升瓶が並んでいて料理が置けない。
「すいません」自然と男の隣に座りこむ。この人たちは常連さんらしいようで、ウイスキーをグラスの中でカラカラ回しながら、話すこともなく飲み続けていた。 つづく
「おいしそう ここのコース安いから行こう」
期限付き前払い「ね~明日、飲みに行かない?」
「明日は無理、仕事なの。金曜は?」
「その日は、私がダメなのよ」支払いは済んでるので、期限に追われ急に慌てるのだ。
今回 2980円という美味しそうな料理が気に入ってチケットを買っていた。なぜコースが安いのか、本当に美味いのか疑いもあったが、それでも来週には飲みに行く約束が出来た。
・・
当日、店を探しても中々見つからないので街中で人に尋ねてみたが、さっぱり分からなくて結局は店に電話して教えてもらう。ようやく見つけると、人の流れも無くなる裏通りだった。
これでは中々来てくれないのは当然だと思える。 店とすれば、分かりずらいので半額広告を出していたのだろう。一度食べれば、また来てくれる自信があったに違いない「ここってさぁ料理は美味しいけど、場所が悪くて見つけにくいので安くしているのかもね」
「来てよかったかも!ここって店員さんも雰囲気もいいよね」 予想通り、また来たくなるほど美味しい。そんな彼女たちが誰となく教えたかったのはお節介なんだろうが、美味しさを発信していた。
・・
それから一ヶ月後、再び好みの割安クーポンを購入。どんな店でも買ってしまったら行かなければならないという不安が、今回は的中したようで入りたくない店No.1と思えて嫌な予感。
木造のアパートを改造したような古い建物の2階で「どうする ? 」
ネットで見た時は雰囲気が良くみえたし、料理に引かれ割安と思って購入したのだったけど・・清潔感無いし、来たら食欲が失せてしまったのだ。
良いイメージで探し歩いて、実際に目にした時はがっかりさせられたのだ。 そんな店に恐る恐る入ると「いらっしゃい」と、言われて諦める。狭い居酒屋、すぐ目の前に初老の男2人が静かに酒を飲んでいる場所に遭遇したのだ。
店内はカウンターの 6人掛けと3畳くらいの座敷が2つあるだけの小さな居酒屋。 私たちは予約したので、きれいとも言えない座敷に座り込むと「飲み物はどうしますか?」と、聞いてくる。
その時は飲み放題のビールを注文したが、厨房のお兄さんは一人なので取りに行くしかない。
カウンターに置かれた生ビールは、客の男が手渡してくれた「ありがとうございます」と、礼をいうと客も意味なく頭を下げてくる。
料理もカウンターに置いたのでは取りに行くしかない。店のお兄さんも「すいません」と恐縮するから仕方無いかなと我慢するが、その度にカウンターの客にも何度も迷惑を掛ける。
料理の種類が多く最高なのだが、酔ってくると取りに行くのが面倒くさくなってカウンターの席に移動する。隅の席は狭くて1升瓶が並んでいて料理が置けない。
「すいません」自然と男の隣に座りこむ。この人たちは常連さんらしいようで、ウイスキーをグラスの中でカラカラ回しながら、話すこともなく飲み続けていた。 つづく
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退会済ユーザのコメントです
確かに「私たち」無意識に使ってましたので訂正しました「内容説明」に書いたように良美と加奈子2人が「私たち」です。お兄さんは、これから見守って下さい。感想、ご指摘ありがとうございました。今後もよろしくお願いします。