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第4章 おもいでの夏
『おもいでの夏』
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アルバムをめくると、一枚の写真の前で、いつも手が止まる。
北海道 コムケ国際キャンプ場
1993年 夏
木の看板の前で、四人が並んで、同じ方向を向いている。
目を閉じると、湿った草の感触と、遠くで鳴く鳥の声までも戻ってくる。
北海道は、遠かった。
フェリーに乗り、長い道を走り、ようやくたどり着いた。
子どもたちは、船と車と、知らない景色が続く旅を、丸ごと楽しんでいた。
テントの外に出ると、空がやけに広かった。
いつも見る空とは違う、雲の動きが遅く風がまっすぐに吹いてくる。
長男は、草むらを走り回り、
次男は、地面にしゃがみ込んで、何かをじっと見つめていた。
たぶん、蟻か小さな石だったのだろう。
そんな姿を見ながら「ここまで来たんだな」と実感していた。
キャンプ場の夜は、昼間の賑やかさが嘘のようだった。
焚き火の音が、ときどきぱちりと弾ける。
子どもたちが眠ったあと妻と並んで焚火を見ながら静かに時は流れた。
あの写真の中の私たちは、まだ若く先のことなど、ほとんど考えていない。
ただ、「この時間が続けばいい」と、どこかで願っていただけだった。
こうして今も、写真の中に記憶として残りこれからも消えることは無い
北海道 コムケ国際キャンプ場
1993年 夏
木の看板の前で、四人が並んで、同じ方向を向いている。
目を閉じると、湿った草の感触と、遠くで鳴く鳥の声までも戻ってくる。
北海道は、遠かった。
フェリーに乗り、長い道を走り、ようやくたどり着いた。
子どもたちは、船と車と、知らない景色が続く旅を、丸ごと楽しんでいた。
テントの外に出ると、空がやけに広かった。
いつも見る空とは違う、雲の動きが遅く風がまっすぐに吹いてくる。
長男は、草むらを走り回り、
次男は、地面にしゃがみ込んで、何かをじっと見つめていた。
たぶん、蟻か小さな石だったのだろう。
そんな姿を見ながら「ここまで来たんだな」と実感していた。
キャンプ場の夜は、昼間の賑やかさが嘘のようだった。
焚き火の音が、ときどきぱちりと弾ける。
子どもたちが眠ったあと妻と並んで焚火を見ながら静かに時は流れた。
あの写真の中の私たちは、まだ若く先のことなど、ほとんど考えていない。
ただ、「この時間が続けばいい」と、どこかで願っていただけだった。
こうして今も、写真の中に記憶として残りこれからも消えることは無い
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