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第3章 もう一つの家
『もう一つの家』
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最初のキャンプから戻ったあと、変化があった。
乾かしきれなかったテントをベランダにぶら下げ、
泥のついたペグを、洗面所の隅に置いた。
それまでの生活にはなかったものが、さりげない日常に入り込んだ。
長男は、ふと「また、あのおうちに行く?」
キャンプ場のことを、“もう一つの家”に感じているらしかった。
次男はまだ言葉にならないが、車に乗ると不思議と機嫌がよくなった。
揺れる振動と、窓の外の流れる景色が、心地よったようだ。
二度目のキャンプは、少しだけ要領がよくなった。
タープは前より早く張れたし、火もすぐについた。
それでも、失敗は沢山あった...
ランタンのホヤを壊したり、虫に刺されて目が腫れたり、便秘で緊急医にかかったことも、
うまくいかないことも、みんな思い出
天気が崩れて、テントの中でじっと雨音を聞く日もあった。
子どもたちは、狭い空間で遊び疲れて眠り、妻と私は何も話さずに外の灰色の空を眺めていた。
その静けさが、不思議と心地よかった。
旅は、どこかへ行くことより、一緒にいる時間を違う場所で過ごすことなのだと、少しずつわかってきた。
キャンプ場へ向かう道のりも、いつの間にか、家族の遊びの一部になった。
宿を予約する必要もなく、何時に着かなければならないわけでもない。
行きたいところで止まり、眠くなったら休む。
そんな自由さが、子どもたちにも、私たちにも、ちょうどよかった。
やがて地図の上に、小さな印が増えていく。
名前も覚えていないようなキャンプ場。
雨に降られた場所。
焚き火がよく燃えた夜。
それらは観光地の思い出ではなく、家族で過ごした時間のしるし
乾かしきれなかったテントをベランダにぶら下げ、
泥のついたペグを、洗面所の隅に置いた。
それまでの生活にはなかったものが、さりげない日常に入り込んだ。
長男は、ふと「また、あのおうちに行く?」
キャンプ場のことを、“もう一つの家”に感じているらしかった。
次男はまだ言葉にならないが、車に乗ると不思議と機嫌がよくなった。
揺れる振動と、窓の外の流れる景色が、心地よったようだ。
二度目のキャンプは、少しだけ要領がよくなった。
タープは前より早く張れたし、火もすぐについた。
それでも、失敗は沢山あった...
ランタンのホヤを壊したり、虫に刺されて目が腫れたり、便秘で緊急医にかかったことも、
うまくいかないことも、みんな思い出
天気が崩れて、テントの中でじっと雨音を聞く日もあった。
子どもたちは、狭い空間で遊び疲れて眠り、妻と私は何も話さずに外の灰色の空を眺めていた。
その静けさが、不思議と心地よかった。
旅は、どこかへ行くことより、一緒にいる時間を違う場所で過ごすことなのだと、少しずつわかってきた。
キャンプ場へ向かう道のりも、いつの間にか、家族の遊びの一部になった。
宿を予約する必要もなく、何時に着かなければならないわけでもない。
行きたいところで止まり、眠くなったら休む。
そんな自由さが、子どもたちにも、私たちにも、ちょうどよかった。
やがて地図の上に、小さな印が増えていく。
名前も覚えていないようなキャンプ場。
雨に降られた場所。
焚き火がよく燃えた夜。
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