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† 七の罪――劫火、日輪をも灼き尽くし(参)
しおりを挟む「実力で負けてれば百二十パーの実力で挑む!」
手数を増やして攻め続けるも、華麗に虚空を滑る堕天使は直撃を許さない。
「なおも届かん相手なら、百五十パー引き出すまで……!」
大きく弧を描き、後ろ宙返りでルシファーが離れた。だが、茅原は一転して、距離を縮めようとしない。
「そういう訳だ。こちらも奥の手もご覧に入れよう」
彼が表情をより険しくしたのを皮切りに、覇気が周辺の空気を強張らせてゆく。
「この身は常勝不敗なれど、己が手に真なる勝利を掴む日まで、我が渇望は修羅の先に在り
如何なる屍山血河とて我が歩み止めるに及ばず 立ちはだかる者を幾度となく討ち果たすだろう」
茅原が紡ぎ終わると時を同じくして、
「――――推参。
“狂気の人間凶器”……!」
猛り狂う大波にも似た、武骨で膨大な魔力が一帯を揺るがした。
(此の者……一分の隙も無い)
ルシファーは黙したまま、様相の一変した敵を正視している。
(……退けば一息に攻めきられる。踏み込めば一太刀に斬り捨てられる。待っていては気を読まれる。視認した後動いたのでは防げない。並の技等通じない――――)
薄い双唇が満足気に歪んだ。
「やはり貴様は興じさせて呉れる。並の技が効かぬとあらば、並ならざる技を以て挑むとしよう」
ルシファーが右腕を伸ばすと、その面前に紫の魔力弾が七発、十字状に姿を現す。
「罪には罰を。其の身を捧げ償え。
紫炎よ、奔れ――“贖いの闇十字”……!」
視界を染める七つの流星。これらが追尾してくる類だと悟った茅原は、自ら射線上を突き進む。
「まだまだァあああーっ!」
熱線に全身を灼かれながらも、茅原は一直線に射手へと疾駆し、
「……ほう」
走り抜けざまに、白い細首めがけて斬り払った。
「各々が獲物の内包せし七つの大罪に応じ仇成す一撃――其の何れも凌ぐとは、存外に業の深い生き様ではなかったか。如何にもあれ、此の身に傷を負わせたのは数多の戦地を経て四人目よ。誇るが良い」
押しきられたのが予想外だったのか、回避が遅れたルシファーの襟元が裂けている。茅原知盛はもともと、武芸者だ。一対一が基本。そして、強者との果し合いという願望が人間を捨てた際に、より完成された対人殺法を彼に与えた。
「今の俺は一騎討ちに特化した戦士でよ。傷だけで済むと思われてるなら心外だ!」
数段スピードの増した彼が、目にも止まらぬ連撃を仕掛ける。二人の帯びる波動だけで、遠巻きに観戦する多聞たちを吹き飛ばしてしまいそうな圧力。風の如く駆け、大地を穿つ、神話さながらの光景が展開されていた。
「エデンの蛇」
ルシファーは眼前に投影した大蛇で、息もつかせぬ猛攻を逸らしてゆく。
「蛇が邪魔で狙いが……! くそっ、幻術で惑わすとは姑息な」
「然れば派手にゆくか――――」
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