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† 終わりの罪――夢の彼方(はて)に(弐)
しおりを挟む家に着くまでが遠足とは、誰が言い出したんだろう。俺たちの帰路は、組織から解き放たれた怪魔でごった返していた。
「管理者の魔力が無くなった途端にこの有り様かよ。どんだけ保管してやがったんだ」
「実験場にいたのなんて、もとは人間なんじゃないの? 六本木で遭遇した大群も、あきらかに理性ある連携してたし……どんな姿になっても、やっぱり罪なき人をやるのは心が痛むね」
曇った表情で、三条がデスペルタルに魔力を送る。
「死者は生き返りはしない。それに、苦しい想いをすんのは一度きりで十分だろ。なるべく楽に消してやるよ」
しかし、得物を使おうにも、成すことができない。
「此の者等は云わば組織による犠牲者。お前は象山を斃す事で十分に元凶を絶った。彼奴の咎迄お前が負う必要は非ず。下がっていよ。より罪深き魔たる余が裁こう」
泰然と歩み出た、ルシファーの後姿。
自分とそう変わらない大きさの背中に、彼はどれだけの重荷を背負ってきたのか。そんなことも知りもせず、俺は頼りきりだったのだと、今になって実感させられた。
「こんなもんで悪ぃな、多聞さん」
岩に名前を刻んだだけの墓石へ、俺は呼びかける。
「いちお一般には伏せられてる身分だし、墓もたてらんねーもんなあ」
ふと、足下に目が止まった。
「……花?」
季節でもないのに、一輪のカタバミが置かれている。
そういえば多聞さん、意外と小さくてかわいらしいものに弱いから、こういう控え目な花が好きなのかもしれない。
「ったく、勝手に抜け駆けしやがって」
そんなことを知っていて、季節外れの花を咲かせられるような魔術に長けた人間は一人しか心当たりがない。
「待ってたのに素通りしたのはそっちでしょ」
岩陰から不満のこもった声がした。隠れて人の独り言を聞いてるなんて、相変わらず悪趣味なヤツだ。
「知んねーわ。もっと存在感を放てよ、あいつみたいに」
目の合ったルシファーも近づいてくる。
「昨晩、彼奴が地獄に来おったぞ」
「ずいぶん早ぇな。さすが重罪人。で、なんか言ってたか?」
† † † † † † †
「やはり貴様が此処に堕ちるは必然であったか」
闇底の主は、現れた男に玉座から話しかけた。
「魔王殿、愚弟が世話になり申した。私が天に召されようものなら、世界の意思を疑うというもの」
直接ルシファーを前にしても、気圧されることなく挨拶する象山。
「礼には及ばず。余は斯様に退屈を極めていた故な。現世を覗いた折、目に留まった迄の事」
「もう対価とする魂も無い身で恐縮の限り。しかし、一つだけ聞き届けてもらえるのならば――――」
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