3 / 16
卒業パーティ
不快な2人が追い出されると、クズが咽せたワインを浴びて汚れた私とシュナウツ卿が残された。卒業生達が私達を避けながら 驚き凝視している
しまった。卒業パーティでやらかしてしまったわ。
互いを見てもまるで血飛沫のよう。
「か、帰りましょうか?」
「そろそろ王族が顔を出して祝いの言葉をくださるから残った方がいい」
「でも、この姿では、」
チリン チリン チリン チリン
ベルの音に顔を向けるとアレクセイ王太子、クリステル王太子妃が壇上へ上がった。
1組ずつお二人の前で挨拶をしなくてはならない。言葉を交わすわけではなく、正面で膝を折って一礼するだけ。
…やっぱり帰れば良かった。でも彼を置いては帰れない。まあ、こうなったのも私のせいね。
最後尾に並んだが、一礼だけなのでどんどん列は短くなっていく。
そしてついに。
王太子夫妻の前でカーテシーをした。
「……まさか出席前に仕事を?」
「違います」
「会場で仕事を?」
「違います」
「君が一緒ということは彼女がセーバー子爵令嬢か……え?二人で仕事を!?」
「違います」
「あのな。それだけ派手に血飛沫が付いていたら誤魔化せないぞ?」
「ワインです」
「ワイン!?」
何故こうなったのか説明をすると
「セーバー嬢の婚約者はどなたかしら」
「ハミエル・ブラウセンです、王太子妃殿下」
「で、図々しくあなたの婚約者と一緒に出席していた平民の名は?」
「ナタリーというブラウセン家の親戚の娘です」
「分かったわ」
「伯爵令息はセーバー嬢を叩いたのだろう?君が付いていながらどうしてそうなったんだ」
「申し訳ございません」
「王太子殿下、発言を宜しいでしょうか」
「申せ」
「私が卿にお願いをしたからです。それに、私も平手打ちを返しましたので」
「でも、男の平手打ちと女の平手打ちは違うわ。しかも王立学園の卒業パーティは私的なパーティではないの。その会場でそのようなことをするのは良くないわ。罰は必要よ。
セーバー嬢は彼と結婚したいの?」
「したくありません」
「分かったわ。
私、あなたの婚約者のような男が大嫌いなの。後のことは任せてちょうだい。
今日は帰りたかったら帰っていいのよ」
「お気遣いに感謝いたします」
挨拶が終わったので王太子夫妻は退場した。
大丈夫かな。結婚したくないなんてみんなの前で言ってしまったけど。
それに…この方の仕事って何?血飛沫を浴びる仕事?しかも王太子夫妻が覚えるほどの面識があって会話までする仲… あ、侯爵家のご令息だからご存知で、仕事は騎士様ね。
「どうしますか」
「ちょっと食べてから帰っていいですか?」
せっかくだから食べておきたいじゃない。
「10分だけ時間をください。卿は座ってお酒でもどうぞ」
「基本的に酒は飲まない」
私は料理を中心に一つの皿に乗せた。
カチャ
卿もお皿を取ってデザートを5種類乗せた。
「ふふっ」
「何か?」
「素敵だなと思いまして」
「何が」
「どうしても男性は甘いものが好きでも苦手なフリをする方が多いようですが、卿は堂々としていて素敵です」
「……それは初めて言われたな」
「兄の屋敷で収穫できる果実はどこのものよりも美味しいんです。果実を使ったタルトは絶品ですよ」
「何の木ですか?」
「枇杷です。昔、リシュパルから輸入して植樹したんです。領地には枇杷畑を作りました」
「それは楽しみだ」
「食べにいらっしゃるのですか?」
「そういえば、何故あの男の鼻に果実酒を溢したんだ?」
「領地ではよく 兄に引っ張り回されて薬草探しをしました。川に落ちた時もあって、その時に鼻に水が入って苦しかったのを思い出しました」
「溺れたのか」
「溺れはしませんでした」
一皿分食べ終わったので屋敷に戻ることにした。
帰った私達の姿を見て お母様は青筋を立てた。
「あなた!あなた!!」
聞こえるはずはないので使用人が呼びに行き、私達は応接間へ向かった。そして両親はシュナウツ卿と私の姿を見た後、私の髪が乱れ頬が赤くなっていることに気付き何があったのか聞こうとした。
「お父様、これ以上シュナウツ卿を引き留めてはいけませんわ。あと衣装の弁償をお願いします」
「そうだな。
シュナウツ卿、本日は、」
「お待ちください。報告まで込みです」
「分かりました。ビビアン、何があったのか話しなさい」
「ブラウセン伯爵邸に親戚のナタリーが滞在していて、そこから学園に通っていたことはご存知ですね」
「知っている」
「彼女はただの居候ではありません。ハミエルと恋仲です」
「「は!?」」
両親は心底驚いた顔をしていた。
しまった。卒業パーティでやらかしてしまったわ。
互いを見てもまるで血飛沫のよう。
「か、帰りましょうか?」
「そろそろ王族が顔を出して祝いの言葉をくださるから残った方がいい」
「でも、この姿では、」
チリン チリン チリン チリン
ベルの音に顔を向けるとアレクセイ王太子、クリステル王太子妃が壇上へ上がった。
1組ずつお二人の前で挨拶をしなくてはならない。言葉を交わすわけではなく、正面で膝を折って一礼するだけ。
…やっぱり帰れば良かった。でも彼を置いては帰れない。まあ、こうなったのも私のせいね。
最後尾に並んだが、一礼だけなのでどんどん列は短くなっていく。
そしてついに。
王太子夫妻の前でカーテシーをした。
「……まさか出席前に仕事を?」
「違います」
「会場で仕事を?」
「違います」
「君が一緒ということは彼女がセーバー子爵令嬢か……え?二人で仕事を!?」
「違います」
「あのな。それだけ派手に血飛沫が付いていたら誤魔化せないぞ?」
「ワインです」
「ワイン!?」
何故こうなったのか説明をすると
「セーバー嬢の婚約者はどなたかしら」
「ハミエル・ブラウセンです、王太子妃殿下」
「で、図々しくあなたの婚約者と一緒に出席していた平民の名は?」
「ナタリーというブラウセン家の親戚の娘です」
「分かったわ」
「伯爵令息はセーバー嬢を叩いたのだろう?君が付いていながらどうしてそうなったんだ」
「申し訳ございません」
「王太子殿下、発言を宜しいでしょうか」
「申せ」
「私が卿にお願いをしたからです。それに、私も平手打ちを返しましたので」
「でも、男の平手打ちと女の平手打ちは違うわ。しかも王立学園の卒業パーティは私的なパーティではないの。その会場でそのようなことをするのは良くないわ。罰は必要よ。
セーバー嬢は彼と結婚したいの?」
「したくありません」
「分かったわ。
私、あなたの婚約者のような男が大嫌いなの。後のことは任せてちょうだい。
今日は帰りたかったら帰っていいのよ」
「お気遣いに感謝いたします」
挨拶が終わったので王太子夫妻は退場した。
大丈夫かな。結婚したくないなんてみんなの前で言ってしまったけど。
それに…この方の仕事って何?血飛沫を浴びる仕事?しかも王太子夫妻が覚えるほどの面識があって会話までする仲… あ、侯爵家のご令息だからご存知で、仕事は騎士様ね。
「どうしますか」
「ちょっと食べてから帰っていいですか?」
せっかくだから食べておきたいじゃない。
「10分だけ時間をください。卿は座ってお酒でもどうぞ」
「基本的に酒は飲まない」
私は料理を中心に一つの皿に乗せた。
カチャ
卿もお皿を取ってデザートを5種類乗せた。
「ふふっ」
「何か?」
「素敵だなと思いまして」
「何が」
「どうしても男性は甘いものが好きでも苦手なフリをする方が多いようですが、卿は堂々としていて素敵です」
「……それは初めて言われたな」
「兄の屋敷で収穫できる果実はどこのものよりも美味しいんです。果実を使ったタルトは絶品ですよ」
「何の木ですか?」
「枇杷です。昔、リシュパルから輸入して植樹したんです。領地には枇杷畑を作りました」
「それは楽しみだ」
「食べにいらっしゃるのですか?」
「そういえば、何故あの男の鼻に果実酒を溢したんだ?」
「領地ではよく 兄に引っ張り回されて薬草探しをしました。川に落ちた時もあって、その時に鼻に水が入って苦しかったのを思い出しました」
「溺れたのか」
「溺れはしませんでした」
一皿分食べ終わったので屋敷に戻ることにした。
帰った私達の姿を見て お母様は青筋を立てた。
「あなた!あなた!!」
聞こえるはずはないので使用人が呼びに行き、私達は応接間へ向かった。そして両親はシュナウツ卿と私の姿を見た後、私の髪が乱れ頬が赤くなっていることに気付き何があったのか聞こうとした。
「お父様、これ以上シュナウツ卿を引き留めてはいけませんわ。あと衣装の弁償をお願いします」
「そうだな。
シュナウツ卿、本日は、」
「お待ちください。報告まで込みです」
「分かりました。ビビアン、何があったのか話しなさい」
「ブラウセン伯爵邸に親戚のナタリーが滞在していて、そこから学園に通っていたことはご存知ですね」
「知っている」
「彼女はただの居候ではありません。ハミエルと恋仲です」
「「は!?」」
両親は心底驚いた顔をしていた。
あなたにおすすめの小説
結婚式をボイコットした王女
椿森
恋愛
請われて隣国の王太子の元に嫁ぐこととなった、王女のナルシア。
しかし、婚姻の儀の直前に王太子が不貞とも言える行動をしたためにボイコットすることにした。もちろん、婚約は解消させていただきます。
※初投稿のため生暖か目で見てくださると幸いです※
1/9:一応、本編完結です。今後、このお話に至るまでを書いていこうと思います。
1/17:王太子の名前を修正しました!申し訳ございませんでした···( ´ཫ`)
貴方でなくても良いのです。
豆狸
恋愛
彼が初めて淹れてくれたお茶を口に含むと、舌を刺すような刺激がありました。古い茶葉でもお使いになったのでしょうか。青い瞳に私を映すアントニオ様を傷つけないように、このことは秘密にしておきましょう。
妹は病弱アピールで全てを奪い去っていく
希猫 ゆうみ
恋愛
伯爵令嬢マチルダには妹がいる。
妹のビヨネッタは幼い頃に病気で何度か生死の境を彷徨った事実がある。
そのために両親は過保護になりビヨネッタばかり可愛がった。
それは成長した今も変わらない。
今はもう健康なくせに病弱アピールで周囲を思い通り操るビヨネッタ。
その魔の手はマチルダに求婚したレオポルドにまで伸びていく。
知らぬはヒロインだけ
ネコフク
恋愛
「クエス様好きです!」婚約者が隣にいるのに告白する令嬢に唖然とするシスティアとクエスフィール。
告白してきた令嬢アリサは見目の良い高位貴族の子息ばかり粉をかけて回っていると有名な人物だった。
しかも「イベント」「システム」など訳が分からない事を言っているらしい。
そう、アリサは転生者。ここが乙女ゲームの世界で自分はヒロインだと思っている。
しかし彼女は知らない。他にも転生者がいることを。
※不定期連載です。毎日投稿する時もあれば日が開く事もあります。
【完結】私を裏切った不倫夫に「どなたですか?」と微笑むまで 〜没落令嬢の復讐劇〜
恋せよ恋
恋愛
「早くあんな女と別れて、可愛い子と一緒になりたいよ」
不倫中の夫が笑う声を聞き、絶望の中で事故に遭うジェシカ。
結婚五年目に授かったお腹の子を失った彼女は、
「記憶を失ったフリ」で夫と地獄の婚家を捨てることを決意。
元男爵令嬢の薄幸ヒロインは、修道院で静かに時を過ごす。
独り身領主の三歳の男の子に懐かれ、なぜか領主まで登場!
無実の罪をなすりつけ、私を使い潰した報いを受けなさい。
記憶喪失を装った没落令嬢による、「ざまぁ」が幕を開ける!
※本作品には、馬車事故による流産の描写が含まれます。
苦手な方はご注意ください。主人公が絶対に幸せになる
物語ですので、安心してお読みいただければ幸いです。
🔶登場人物・設定は筆者の創作によるものです。
🔶不快に感じられる表現がありましたらお詫び申し上げます。
🔶誤字脱字・文の調整は、投稿後にも随時行います。
🔶今後もこの世界観で物語を続けてまいります。
🔶 『エール📣』『いいね❤️』励みになります!
魅了の魔法を使っているのは義妹のほうでした・完
瀬名 翠
恋愛
”魅了の魔法”を使っている悪女として国外追放されるアンネリーゼ。実際は義妹・ビアンカのしわざであり、アンネリーゼは潔白であった。断罪後、親しくしていた、隣国・魔法王国出身の後輩に、声をかけられ、連れ去られ。
夢も叶えて恋も叶える、絶世の美女の話。
*五話でさくっと読めます。
従姉妹に婚約者を奪われました。どうやら玉の輿婚がゆるせないようです
hikari
恋愛
公爵ご令息アルフレッドに婚約破棄を言い渡された男爵令嬢カトリーヌ。なんと、アルフレッドは従姉のルイーズと婚約していたのだ。
ルイーズは伯爵家。
「お前に侯爵夫人なんて分不相応だわ。お前なんか平民と結婚すればいいんだ!」
と言われてしまう。
その出来事に学園時代の同級生でラーマ王国の第五王子オスカルが心を痛める。
そしてオスカルはカトリーヌに惚れていく。