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愛する人の怪我
「アイリーン。まだデリックは治らないの?」
買い物の途中で親友のローズマリーに声をかけられた。
「まだ昏睡しているわ」
「今度お見舞いに行くわね」
「ローズマリーも気を付けてね」
急いでデリックの家に向かう。
私とデリックは幼馴染。
町の学校で知り合い仲良くなった。
大きくなると彼は剣を学び、私は看護や刺繍や料理を習った。この領地は領主様の方針で、12歳まで町の教会へ通い読み書き計算を習わなければならない。国の歴史も簡単に学んだ。
その後は就職できるよう3、4年訓練校に通う。
だからこの領地で育った子の就職率はかなりいい。もちろん一度も就職せずにお嫁さんになる女の子もいる。だけど看護や料理などを習うと嫁入りに有利だった。
私達は平民で、贅沢は望んでいない。
デリックは町の学校を卒業するときに私に求婚した。
『アイリーン。俺が訓練校を卒業して 就職して3年経ったら結婚して欲しい』
『デリック』
『だから就職というよりは嫁入りの準備をして欲しいんだ』
『はい』
その後デリックは3年間訓練校に通い、近くの男爵家の私兵として雇ってもらった。
私も3年間訓練校に通い卒業した後は、刺繍の仕事をしながら3年後を待った。
後1年というところで、彼は毒蛇に噛まれて昏睡した。
ローズマリーは2年前に引っ越して来て直ぐに仲良くなった。美人で気さくな彼女に町の人達はすぐに馴染んだ。彼女は商家の家のメイドをしている。
毒蛇に噛まれてから1週間が経っている。彼は一人暮らしだし、入院するにはお金がかかる。やるべきことは教えてもらったし薬は買った。後は誰がやるかだけ。習った通りにやれば医者じゃなくても出来ると言われて私が看病することにした。
私は仕事を休職し彼につきっきりで看病している。普通はクビだけど戻って来て欲しいと言われたので休職扱いにしてもらった。
彼の脚は色が変わり腫れていた。異臭を放つが皮膚を切開し膿を取り除き患部を清潔にして包帯を巻く。身体を拭き、布で口内を拭き取り、床擦れしないよう身体の向きを変えるのは毎日。洗髪は3日に一度。彼の体は重く大変だとけど訓練校でコツを教わっていたからなんとかやれた。
そして噛まれてから10日後、ローズマリーがお見舞いに来た。
「悪いけど薬を買いに行かなきゃいけないの」
「留守番しているわ」
「でも」
「急変したらお医者さんを呼ぶから」
ローズマリーに甘えることにして町に塗り薬を買いに行った。
戻ってくるとデリックが目を覚ましていた。
「デリック!」
「…アイリーン」
彼に抱き付きたかったけどローズマリーに止められた。
「駄目よアイリーン。目覚めたばかりなのに身体に負担がかかるわ。それよりお医者さんを呼んでこないと」
「そうね、行ってくるわ」
走って町へ行き、お医者様を連れてデリックの家に戻ると2人の反応に違和感があった。
「二人とも、一旦部屋から出てくれないか」
「はい」
診察をするために寝室を追い出された私達は居間へ。
居間兼ダイニング兼キッチンはデリックより私の方が把握している。デリックのお母様は早くに亡くなり、お父様は2年前に亡くなった。それ以来 私はこのキッチンで毎日のように食事を作って用意していた。
「良かったわね」
「ええ。本当に良かったわ」
「そろそろ仕事復帰しないとね」
「でも」
「意識はハッキリしているし、体は丈夫なはずだから大丈夫よ」
そんな話をしているとお医者様が部屋から出て来た。
「少しだけ診療所で預かるよ。10日も昏睡していたからね。少し専門的な介助が必要そうだ。こういうのは恥ずかしいから若いお嬢さんにさせるのは気が引けるのだろう」
「分かりました。あの、私もお手伝いしたいのですが」
「君は休みなさい。診療所にいる間は任せなさい。
「はい」
お医者と助手は乗ってきたに馬車を改造した診療馬車にデリックを乗せて診療所へ向かった。私とローズマリーはそのまま自分の家に戻った。
1日よく寝るとだいぶ疲れは取れた。
診療所へお見舞いに行くとデリックは眠っていると言われたので職場に復帰する話をしに行った。
すると納期に間に合いそうにないと必死になっていた。
買い物の途中で親友のローズマリーに声をかけられた。
「まだ昏睡しているわ」
「今度お見舞いに行くわね」
「ローズマリーも気を付けてね」
急いでデリックの家に向かう。
私とデリックは幼馴染。
町の学校で知り合い仲良くなった。
大きくなると彼は剣を学び、私は看護や刺繍や料理を習った。この領地は領主様の方針で、12歳まで町の教会へ通い読み書き計算を習わなければならない。国の歴史も簡単に学んだ。
その後は就職できるよう3、4年訓練校に通う。
だからこの領地で育った子の就職率はかなりいい。もちろん一度も就職せずにお嫁さんになる女の子もいる。だけど看護や料理などを習うと嫁入りに有利だった。
私達は平民で、贅沢は望んでいない。
デリックは町の学校を卒業するときに私に求婚した。
『アイリーン。俺が訓練校を卒業して 就職して3年経ったら結婚して欲しい』
『デリック』
『だから就職というよりは嫁入りの準備をして欲しいんだ』
『はい』
その後デリックは3年間訓練校に通い、近くの男爵家の私兵として雇ってもらった。
私も3年間訓練校に通い卒業した後は、刺繍の仕事をしながら3年後を待った。
後1年というところで、彼は毒蛇に噛まれて昏睡した。
ローズマリーは2年前に引っ越して来て直ぐに仲良くなった。美人で気さくな彼女に町の人達はすぐに馴染んだ。彼女は商家の家のメイドをしている。
毒蛇に噛まれてから1週間が経っている。彼は一人暮らしだし、入院するにはお金がかかる。やるべきことは教えてもらったし薬は買った。後は誰がやるかだけ。習った通りにやれば医者じゃなくても出来ると言われて私が看病することにした。
私は仕事を休職し彼につきっきりで看病している。普通はクビだけど戻って来て欲しいと言われたので休職扱いにしてもらった。
彼の脚は色が変わり腫れていた。異臭を放つが皮膚を切開し膿を取り除き患部を清潔にして包帯を巻く。身体を拭き、布で口内を拭き取り、床擦れしないよう身体の向きを変えるのは毎日。洗髪は3日に一度。彼の体は重く大変だとけど訓練校でコツを教わっていたからなんとかやれた。
そして噛まれてから10日後、ローズマリーがお見舞いに来た。
「悪いけど薬を買いに行かなきゃいけないの」
「留守番しているわ」
「でも」
「急変したらお医者さんを呼ぶから」
ローズマリーに甘えることにして町に塗り薬を買いに行った。
戻ってくるとデリックが目を覚ましていた。
「デリック!」
「…アイリーン」
彼に抱き付きたかったけどローズマリーに止められた。
「駄目よアイリーン。目覚めたばかりなのに身体に負担がかかるわ。それよりお医者さんを呼んでこないと」
「そうね、行ってくるわ」
走って町へ行き、お医者様を連れてデリックの家に戻ると2人の反応に違和感があった。
「二人とも、一旦部屋から出てくれないか」
「はい」
診察をするために寝室を追い出された私達は居間へ。
居間兼ダイニング兼キッチンはデリックより私の方が把握している。デリックのお母様は早くに亡くなり、お父様は2年前に亡くなった。それ以来 私はこのキッチンで毎日のように食事を作って用意していた。
「良かったわね」
「ええ。本当に良かったわ」
「そろそろ仕事復帰しないとね」
「でも」
「意識はハッキリしているし、体は丈夫なはずだから大丈夫よ」
そんな話をしているとお医者様が部屋から出て来た。
「少しだけ診療所で預かるよ。10日も昏睡していたからね。少し専門的な介助が必要そうだ。こういうのは恥ずかしいから若いお嬢さんにさせるのは気が引けるのだろう」
「分かりました。あの、私もお手伝いしたいのですが」
「君は休みなさい。診療所にいる間は任せなさい。
「はい」
お医者と助手は乗ってきたに馬車を改造した診療馬車にデリックを乗せて診療所へ向かった。私とローズマリーはそのまま自分の家に戻った。
1日よく寝るとだいぶ疲れは取れた。
診療所へお見舞いに行くとデリックは眠っていると言われたので職場に復帰する話をしに行った。
すると納期に間に合いそうにないと必死になっていた。
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