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泣き腫らした顔
デリックの寝室のドアをそっと開けた。
「ローズマリー いくよ」
「きて!」
「くっ!!」
ローズマリーを組み敷き、上から潰すように腰を振り下ろしていたデリックはローズマリーの言葉の後 腰を押し付けてピタッと止めると声を漏らした。
「もう3回目なのにまだ出るのね」
「若いからな」
ベッド脇のサイドテーブルにはワインの瓶とグラスが置いてあった。昨夜から交わっていたのだろう。
この感じでは今回が初めてじゃないんだろうなってことも分かった。
「デリック」
「きゃあっ」
「アイリーン!?なんでっ」
「どういうこと?」
「勝手に入ってくるなんて!」
「いつも入っていたのに今日だけは駄目?」
「……」
「ローズマリーは親友だし、私達は結婚の約束をしていたのに、どうしてこんなに酷い裏切り方をするの」
「はぁ… はっきり言うよ。
俺はローズマリーと結婚する」
「え?」
「本当に俺のことを思ってくれていたのはローズマリーだったことに気付いたんだ」
「何を言っているの!?」
「君は愛してると言いながら何もしないで…代わりにローズマリーが俺の世話をしてくれていたなんて」
「私がずっと看病してきたのに?」
「目が覚めた時も側にいたのは君じゃなくてローズマリーだ。診療所への見舞いも毎日来てくれたのはローズマリーだし、彼女は男の気持ちを分かってくれる」
「は?」
「君はいくら求めても身体を許してくれなかった。結婚までは駄目だと…俺達は貴族でもないのに何で待たなきゃいけないんだ?俺を癒そうなんて気持ちが無かっただけじゃないか」
「……」
「俺はローズマリーと結婚する。君への求婚は取り消させてもらうよ」
私はポケットから合鍵を出して床に落ちたローズマリーの服の上に落とした。
「分かったわ。二人とは絶交よ。二度と話しかけてこないで」
寝室のドアを閉めて、料理の入った手提げ袋を持ってデリックの家から出た。
料理をそのまま持って帰ってきた母は 私に何か起きたことを悟ったようだ。
私から手提げ袋を受け取り、ダイニングに座らせてお茶を淹れて、蜂蜜を垂らしレモンの輪切りを浮かべてくれた。
「お母さん……結婚は無くなった」
「……そう」
「デリックとローズマリーとは絶交したわ」
「……そう」
「看病したのがローズマリーで、私は薄情らしいの」
「……デリックが言ったの?」
「うん……しかも婚前交渉を許さない私が悪いんだって」
「……私達の愛するアイリーンに相応しい男じゃなかったのね」
「お父さん、心配するかな」
「愛しているから心配するわね」
「でも…もうこの話はしたくないの」
「お母さんからお父さんに話してあげるわ」
「……ごめんなさい」
「アイリーンは謝らなくていい。何一つ悪くないわ」
「私、町を出ようと思う」
「何処へ行くの!?」
「領主様の町なら求人がいっぱいあると思うの」
「でも、お店に戻ったばかりじゃない」
「町中が私とデリックのことを知っているのよ?
ローズマリーに取られたことはすぐに知れ渡るわ。デリックがローズマリーと結婚すると言っているから必ず知られる。
私、どんな顔をして町を歩けばいいの?あの2人は町から出ないだろうし」
「今夜 お父さんと話し合うから、今日はゆっくり休みなさい」
「はい」
食欲なんか無くてそのままベットに入った。
泣き疲れてそのまま寝てしまったせいで翌朝、酷い顔になっていた。
コンコンコンコン
「はい」
ドアを開けたのはお父さんだった。
「おはよう」
「おはよう、お父さん」
「話は聞いた」
「……」
「今日にでも職場のボスに事情を全部話して辞めてきなさい」
「お父さん?」
「領主様の町に行くならロバートに送ってもらいなさい。今日の帰りに頼んでおくから」
「いいの?」
「心配で仕方ないが、アイリーンがこれ以上傷付く姿を見たくない。それにあの町には兄の家族がいるから職が決まるまで滞在させてもらいなさい。手紙を書いておくから」
「はい」
「出来れば兄家族の家の近くに空き部屋を借りられたらいいが、住み込みも視野に入れて探しなさい。焦らず妥協せず探しなさい。無かったり辛かったら戻って来なさい」
「ううっ……」
「私達は一生アイリーンの味方だからな」
「っ!…っ!…」
泣き止むまでお父さんが抱きしめてくれた。
お父さんも私も時間ギリギリに家を出て職場に向かった。
お店のドアを開けると同僚が絶句した。
「ア、アイリーン!?」
同僚は私を応接間に連れて行くと“待っていなさい”と言って応接間から出た。直ぐに店長を連れて戻って来た。
「どうしたんだ アイリーン」
起きて腫れていた顔のまま更に泣いたので酷い顔になっていた。
「お時間をいただけますか。少し長いお話があります」
「分かった」
店長は人払いをしてくれたので、今回の件、婚約破棄の件、退職して町を出る件を話した。
「ローズマリー いくよ」
「きて!」
「くっ!!」
ローズマリーを組み敷き、上から潰すように腰を振り下ろしていたデリックはローズマリーの言葉の後 腰を押し付けてピタッと止めると声を漏らした。
「もう3回目なのにまだ出るのね」
「若いからな」
ベッド脇のサイドテーブルにはワインの瓶とグラスが置いてあった。昨夜から交わっていたのだろう。
この感じでは今回が初めてじゃないんだろうなってことも分かった。
「デリック」
「きゃあっ」
「アイリーン!?なんでっ」
「どういうこと?」
「勝手に入ってくるなんて!」
「いつも入っていたのに今日だけは駄目?」
「……」
「ローズマリーは親友だし、私達は結婚の約束をしていたのに、どうしてこんなに酷い裏切り方をするの」
「はぁ… はっきり言うよ。
俺はローズマリーと結婚する」
「え?」
「本当に俺のことを思ってくれていたのはローズマリーだったことに気付いたんだ」
「何を言っているの!?」
「君は愛してると言いながら何もしないで…代わりにローズマリーが俺の世話をしてくれていたなんて」
「私がずっと看病してきたのに?」
「目が覚めた時も側にいたのは君じゃなくてローズマリーだ。診療所への見舞いも毎日来てくれたのはローズマリーだし、彼女は男の気持ちを分かってくれる」
「は?」
「君はいくら求めても身体を許してくれなかった。結婚までは駄目だと…俺達は貴族でもないのに何で待たなきゃいけないんだ?俺を癒そうなんて気持ちが無かっただけじゃないか」
「……」
「俺はローズマリーと結婚する。君への求婚は取り消させてもらうよ」
私はポケットから合鍵を出して床に落ちたローズマリーの服の上に落とした。
「分かったわ。二人とは絶交よ。二度と話しかけてこないで」
寝室のドアを閉めて、料理の入った手提げ袋を持ってデリックの家から出た。
料理をそのまま持って帰ってきた母は 私に何か起きたことを悟ったようだ。
私から手提げ袋を受け取り、ダイニングに座らせてお茶を淹れて、蜂蜜を垂らしレモンの輪切りを浮かべてくれた。
「お母さん……結婚は無くなった」
「……そう」
「デリックとローズマリーとは絶交したわ」
「……そう」
「看病したのがローズマリーで、私は薄情らしいの」
「……デリックが言ったの?」
「うん……しかも婚前交渉を許さない私が悪いんだって」
「……私達の愛するアイリーンに相応しい男じゃなかったのね」
「お父さん、心配するかな」
「愛しているから心配するわね」
「でも…もうこの話はしたくないの」
「お母さんからお父さんに話してあげるわ」
「……ごめんなさい」
「アイリーンは謝らなくていい。何一つ悪くないわ」
「私、町を出ようと思う」
「何処へ行くの!?」
「領主様の町なら求人がいっぱいあると思うの」
「でも、お店に戻ったばかりじゃない」
「町中が私とデリックのことを知っているのよ?
ローズマリーに取られたことはすぐに知れ渡るわ。デリックがローズマリーと結婚すると言っているから必ず知られる。
私、どんな顔をして町を歩けばいいの?あの2人は町から出ないだろうし」
「今夜 お父さんと話し合うから、今日はゆっくり休みなさい」
「はい」
食欲なんか無くてそのままベットに入った。
泣き疲れてそのまま寝てしまったせいで翌朝、酷い顔になっていた。
コンコンコンコン
「はい」
ドアを開けたのはお父さんだった。
「おはよう」
「おはよう、お父さん」
「話は聞いた」
「……」
「今日にでも職場のボスに事情を全部話して辞めてきなさい」
「お父さん?」
「領主様の町に行くならロバートに送ってもらいなさい。今日の帰りに頼んでおくから」
「いいの?」
「心配で仕方ないが、アイリーンがこれ以上傷付く姿を見たくない。それにあの町には兄の家族がいるから職が決まるまで滞在させてもらいなさい。手紙を書いておくから」
「はい」
「出来れば兄家族の家の近くに空き部屋を借りられたらいいが、住み込みも視野に入れて探しなさい。焦らず妥協せず探しなさい。無かったり辛かったら戻って来なさい」
「ううっ……」
「私達は一生アイリーンの味方だからな」
「っ!…っ!…」
泣き止むまでお父さんが抱きしめてくれた。
お父さんも私も時間ギリギリに家を出て職場に向かった。
お店のドアを開けると同僚が絶句した。
「ア、アイリーン!?」
同僚は私を応接間に連れて行くと“待っていなさい”と言って応接間から出た。直ぐに店長を連れて戻って来た。
「どうしたんだ アイリーン」
起きて腫れていた顔のまま更に泣いたので酷い顔になっていた。
「お時間をいただけますか。少し長いお話があります」
「分かった」
店長は人払いをしてくれたので、今回の件、婚約破棄の件、退職して町を出る件を話した。
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