【完結】愛が乗っ取られた私に手を差し伸べたのは領主様でした

ユユ

文字の大きさ
5 / 43

従兄の悪戯

従兄のライル兄さんがちょっとおかしい。ケイトさんはすでに私を敵視しているみたい。私はそんなつもりはないのに…。
お休みの日を私に使うなんて言わないで!

「ライル兄さん、お休みは大事ですけどケイトさんのために使ってください。
それに私は職探しをするためにザンヌに来ることを許されました。自立しないなら両親が迎えに来てしまうでしょう」

「叔父さん達が?」

「はい」

「じゃあ、宿うちで働けばいいじゃないか。事務仕事を1日3時間週3回手伝ってくれたらいい」

「それでは自立とは言えません」

埒があかないので“考えてみます”と言ったら引き下がってくれたけどケイトさんの目つきが怖かった。

その日の夜,お風呂に入り与えられた部屋で髪を乾かしていた。大体乾いたので灯りを消してベッドに入った。


寝付いたところに違和感を感じた。誰かが私の体に触れている。
月明かりでライル兄さんだと分かった。

「シッ」

「に、兄さん!?」

「すっかり大人になって」

「え?」

「6年前、俺はアイリーンに一目惚れをしたんだ。だけどデリックの存在があって身を引いた。
だがあいつはアイリーンを裏切ったんだろう?
もう俺たちを邪魔する者はいない」

「何を言って…」

「細いな…」

「やっ!ムグっ!」

お腹周りを撫で回され、叫ぼうとしたら口を塞がれた。

「んー!!」

「静かに」

「んー!!」

「睡眠薬は使いたくないんだ…今夜はまだから確認だけさせてくれ」

ライル兄さんは寝巻きとショーツだけの私の腿の上に跨り、寝巻きの上から胸を触り始めた。

「柔らかい…」

揉むだけじゃなく、段々と何度もわざと指を頂に引っ掛けてきた。

「着痩せするんだな……アイリーンもその気なんだね、立ってきた」

「違っ」

「身体は反応しているよ?」

「お願いっ…兄さん…」

「今夜は仕方ない。旅疲れがあるだろうから」

ギシッ

パタン

私の上から退いて部屋から出て行ってくれた。

「ううっ……」

怖い…怖くて仕方ない。



翌朝、ライル兄さんは何事も無かったかのように一緒に食事をした。
洗い物を引き受けて、食器を洗っているとケイトさんが近付いてきた。

「ライルを誘惑するのは止めてもらえる?」

「誤解です」

「あなたが入る隙はないの。ライルったら昨夜は激しく求めてきたのよ?夫婦仲は良好なの」

「……」

「私は宿を手伝っているし、夜も妻の役目を果たしているわ。貴族でもあるまいし二人目の妻は要らないの」

「なるべく早く出ていきますので」

「早くした方が身のためよ」

ケイトさんは言うだけ言ってどこかへ行ってしまった。

10時になって町役場に行った。今日中に仕事を見つけたい。

求人は多かったけど住み込みが少なかった。結婚資金にと貯めていたお金はあるから、部屋を借りることは可能だ。だけど借りた部屋だとライル兄さんが押しかけて来そうな気がして不安だ。出来れば住み込みがいい。

レストランの求人を見て、その店に行ってみた。

「すまないね。君は細すぎる。ホールの女の子は住み込みを認めていないんだよ。料理人は仕込みなどで朝も早いし夜も遅いから部屋を与えるんだ。悪いね」

「分かりました、失礼します」

材料の入った大袋やスープの入った大鍋を持てないと駄目だと言われ、諦めた。

もう一度町役場に戻り求人を見るも、残るはこの2つ。一つは娼館の下女、もう一つは宿屋の下女。
宿屋は選べない。他所の宿屋で働くくらいならウチで働けと伯父さん達にまで言われてしまう。

「あの、これ、訪問できますか?」

「本当にここですか?」

「はい。住み込みを希望していて宿屋は駄目で、レストランは断られました」

「ここは午前中だけ担当者が対応しているようですね。明日の10時半からの1時間と書いてありますので、10時半に着くようにしてください」

「ありがとうございます」

職業紹介部を出た後、町に図書館があると聞いたので時間潰しに寄ってみることにした。

あなたにおすすめの小説

さようなら、わたくしの騎士様

夜桜
恋愛
騎士様からの突然の『さようなら』(婚約破棄)に辺境伯令嬢クリスは微笑んだ。 その時を待っていたのだ。 クリスは知っていた。 騎士ローウェルは裏切ると。 だから逆に『さようなら』を言い渡した。倍返しで。

【完結】私を捨てた国のその後を見守ってみた。

satomi
恋愛
侯爵令嬢のレナは公然の場でというか、卒業パーティーで王太子殿下イズライールに婚約破棄をされた挙句、王太子殿下は男爵令嬢のラーラと婚約を宣言。 殿下は陛下や王妃様がいないときを狙ったんでしょうね。 レナの父はアルロジラ王国の宰相です。実家にはレナの兄が4名いますがみんなそろいもそろって優秀。 長男は領地経営、次男は貿易商、3男は情報屋、4男は…オカマバー経営。 レナは殿下に愛想をつかして、アルロジラ王国の行く末を見守ろうと決意するのです。 次男監修により、国交の断絶しているエミューダ帝国にて。

恋人が聖女のものになりました

キムラましゅろう
恋愛
「どうして?あんなにお願いしたのに……」 聖騎士の叙任式で聖女の前に跪く恋人ライルの姿に愕然とする主人公ユラル。 それは彼が『聖女の騎士(もの)』になったという証でもあった。 聖女が持つその神聖力によって、徐々に聖女の虜となってゆくように定められた聖騎士たち。 多くの聖騎士達の妻が、恋人が、婚約者が自分を省みなくなった相手を想い、ハンカチを涙で濡らしてきたのだ。 ライルが聖女の騎士になってしまった以上、ユラルもその女性たちの仲間入りをする事となってしまうのか……? 慢性誤字脱字病患者が執筆するお話です。 従って誤字脱字が多く見られ、ご自身で脳内変換して頂く必要がございます。予めご了承下さいませ。 完全ご都合主義、ノーリアリティ、ノークオリティのお話となります。 菩薩の如き広いお心でお読みくださいませ。 小説家になろうさんでも投稿します。

王命により、婚約破棄されました。

緋田鞠
恋愛
魔王誕生に対抗するため、異界から聖女が召喚された。アストリッドは結婚を翌月に控えていたが、婚約者のオリヴェルが、聖女の指名により独身男性のみが所属する魔王討伐隊の一員に選ばれてしまった。その結果、王命によって二人の婚約が破棄される。運命として受け入れ、世界の安寧を祈るため、修道院に身を寄せて二年。久しぶりに再会したオリヴェルは、以前と変わらず、アストリッドに微笑みかけた。「私は、長年の約束を違えるつもりはないよ」。

【完結】要らないと言っていたのに今更好きだったなんて言うんですか?

星野真弓
恋愛
 十五歳で第一王子のフロイデンと婚約した公爵令嬢のイルメラは、彼のためなら何でもするつもりで生活して来た。  だが三年が経った今では冷たい態度ばかり取るフロイデンに対する恋心はほとんど冷めてしまっていた。  そんなある日、フロイデンが「イルメラなんて要らない」と男友達と話しているところを目撃してしまい、彼女の中に残っていた恋心は消え失せ、とっとと別れることに決める。  しかし、どういうわけかフロイデンは慌てた様子で引き留め始めて――

【完結】婚約破棄される前に察して距離を置いていたら、幼なじみの第三王子が本気になっていました〜義妹と元婚約者? もう過去の人です〜

井上 佳
恋愛
婚約者に裏切られた侯爵令嬢は、 嘆くことも、復讐に走ることもなかった。 彼女が選んだのは、沈黙と誇り。 だがその姿は、 密かに彼女を想い続けていた第三王子の心を動かす。 「私は、国よりも君を選ぶ」 婚約破棄、王位継承、外交圧力―― すべてを越えて選び取る、正統な幸福。 これは、 強く、静かな恋の物語。 2026/02/23 完結

真実の愛を見つけた婚約者(殿下)を尊敬申し上げます、婚約破棄致しましょう

さこの
恋愛
「真実の愛を見つけた」 殿下にそう告げられる 「応援いたします」 だって真実の愛ですのよ? 見つける方が奇跡です! 婚約破棄の書類ご用意いたします。 わたくしはお先にサインをしました、殿下こちらにフルネームでお書き下さいね。 さぁ早く!わたくしは真実の愛の前では霞んでしまうような存在…身を引きます! なぜ婚約破棄後の元婚約者殿が、こんなに美しく写るのか… 私の真実の愛とは誠の愛であったのか… 気の迷いであったのでは… 葛藤するが、すでに時遅し…

【完結】私が誰だか、分かってますか?

美麗
恋愛
アスターテ皇国 時の皇太子は、皇太子妃とその侍女を妾妃とし他の妃を娶ることはなかった 出産時の出血により一時病床にあったもののゆっくり回復した。 皇太子は皇帝となり、皇太子妃は皇后となった。 そして、皇后との間に産まれた男児を皇太子とした。 以降の子は妾妃との娘のみであった。 表向きは皇帝と皇后の仲は睦まじく、皇后は妾妃を受け入れていた。 ただ、皇帝と皇后より、皇后と妾妃の仲はより睦まじくあったとの話もあるようだ。 残念ながら、この妾妃は産まれも育ちも定かではなかった。 また、後ろ盾も何もないために何故皇后の侍女となったかも不明であった。 そして、この妾妃の娘マリアーナははたしてどのような娘なのか… 17話完結予定です。 完結まで書き終わっております。 よろしくお願いいたします。