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目を奪われる
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【 レオナード・セイラスの視点 】
父亡き後のセイラス家の仕事で手一杯なのに、母上が病にかかってしまった。
医者に診せたが少し忘れっぽい程度だという。
もし記憶を維持できないばかりか失っていき人格も変わるような病なら治療法は無いと言われた。
母上は何かとイザベルを呼び付けだした。母上が望むなら 暇なイザベルにちょうどいいと思った。
専属メイドは“病気です”と言う。だから外して欲しいと。イザベルも入院させろと言う。
3人の医者に診せたが、病気とは言えないレベルだと口を揃えた。
だから専属メイドは解任し、介護メイドを2人雇った。それでも母上はイザベルにあれこれさせたがった。
『レオナード様!もううんざりです!』
『それで?』
『お義母様を何とかしてくださらないと離縁しますわよ!』
『好きにしたらいい』
『っ!!』
イザベルは荷物を纏めて実家に帰った。
1週間後にイザベルの父ハントン伯爵から手紙が届いた。
“そろそろ花束を持ってイザベルを迎えに来なさい”
だから花束と一緒に離縁届を送り付けた。遣いには署名をもらうまで滞在し、数日待って駄目なら強制手続きを取ると言うように命じた。
強制離縁には理由がいる。
婚歴が短くとも、2ヶ月で予算を使い切る散財の証拠、跡継ぎを産む義務を放棄し病気の義母を放置して 離縁を告げて実家に帰ったことで、受理されるだろう。
貴族とはいえ、女は実家にいれば当主の所有物、嫁げば嫁ぎ先の夫や当主の所有物だという認識が一般的だ。
その所有物が義務を放り出せば、所有者が制裁するのは当然なのだ。イザベルの実家が伯爵家だから、これでも手加減して叱ってきたつもりだ。
離縁すると言って出て行ったくせに、署名を渋るので、“強制離縁にするので遣いに戻るよう伝えてくれ”と手紙を出したらイザベルは離縁届に署名をした。
イザベルと離縁できて気持ちが軽くなった。その効果は母上にもあった。介護メイド達が言うには落ち着いているらしい。
仕事も把握し落ち着いた頃、領内の視察に回り 最後に図書館へ寄った。そこで出会いがあった。
もうすぐ閉館なのに 机に二冊の本を置き居眠りをしている若い女性がいた。
本のタイトルを見ると真面目な子なのだろうなと思った。
艶やかな栗色の髪に長いまつ毛、柔らかそうな唇。
ずっと眺めていたいが時間はない。
『お嬢さん、そろそろ閉鎖だよ』
身体を起こし瞼を開け、私を見上げた。
虹彩は 黒っぽい縁取りの内側にエメラルドグリーンが薄く縁取り、中はライムグリーンで中央に近づくにつれ蜂蜜が少し混ざったような色をしていた。透き通った湖を晴れた日に覗き込んだように輝いていた。
『すみません、直ぐに出ます』
彼女の手を掴もうと手を伸ばすも、彼女は急いで本を元に戻し立ち去った。
『はぁ…』
私は何をしようとしたんだ。
彼女の手を掴んだ後、どうするつもりだったんだ?
明らかに彼女は平民だ。彼女とどうこうなれるわけがない。
翌日はザンヌの町の視察をした。
町兵に話を聞き、質屋を回った次に娼館に行った。
利用するためではない。トラブルがないか確認するためだ。
出入口でぶつかったのは図書館で会った女性だった。
『あ…図書館員さん』
私が図書館員?
『…ククッ…違うよ』
俯く彼女の顔を上げさせて瞳が見たい。
『こちらのお客様ですよね?』
図書館員の次は昼間から娼館に通う客だと間違われるとは…私はそんな風に見えるのか?
いや、ショックを受けている場合ではない。君こそ、ここから出て来ただろう。
尋ねると、求人を見たらしい。
この子が娼婦に?
不特定多数の男達に奉仕をして、その身体で受け止めるというのか?
だったら私が……
『下女です』
娼婦ではなく、店の下女の募集だったらしい。
彼女が娼婦になるくらいなら、私が所有しようなどと思ってしまった。そんなこと、母上も許すわけがない。
だが、この容姿では娼館で働くのは危険だ。
話をするため場所を移そうとするが、今度は不審者扱いだった。
昔は令嬢や夫人達から誘いがかかったのに、いつの間にか魅力の無い男になってしまったのかと思いはしたが胸が痛むほどではない。なのに何故か胸が少し痛かった。
そうだ。町役場に行けば全て解消する
そう思い連れて行くと、役場で領主様と呼ばれ、彼女は美しい瞳を大きく開き驚いていた。
吸い込まれそうに美しい。
可愛い顔をしている。背丈は平均的だが細身だ。胸は普通にある。腰の細さは これで子が産めるのか心配になる程だ。
質問をしていくと、訳ありらしい。
ついに美しい瞳から涙が溢れた。
落ち着くのを待つ間、彼女を見つめていた。
抱きしめたい。涙を舐め取りたい。その瞳から涙が出なくて済むように守ってやりたい。
縋ってくれたら連れ帰って 母上が反対しても住まわせるのに。
落ち着いた彼女はこれまでの出来事を話してくれた。
婚約者兼恋人の裏切りと親友の裏切りで、両親の住む家から出て町を離れ、職を探しにこの町へ来て伯父の経営する宿屋に身を寄せた。だが、同居の従兄に襲われたので、直ぐに住み込みで働ける職場を探しているということだった。
彼女のような子を恋人兼婚約者にすることができたくせに、利用するだけ利用して裏切った幼馴染。そして弱みに付け入って彼女を穢した従兄。
私の女ならそんなことにはならないのに。
従兄を逮捕するかと聞いたら、“純潔だ”と答えた。
その言葉の響きは胸を満たすものだった。
父亡き後のセイラス家の仕事で手一杯なのに、母上が病にかかってしまった。
医者に診せたが少し忘れっぽい程度だという。
もし記憶を維持できないばかりか失っていき人格も変わるような病なら治療法は無いと言われた。
母上は何かとイザベルを呼び付けだした。母上が望むなら 暇なイザベルにちょうどいいと思った。
専属メイドは“病気です”と言う。だから外して欲しいと。イザベルも入院させろと言う。
3人の医者に診せたが、病気とは言えないレベルだと口を揃えた。
だから専属メイドは解任し、介護メイドを2人雇った。それでも母上はイザベルにあれこれさせたがった。
『レオナード様!もううんざりです!』
『それで?』
『お義母様を何とかしてくださらないと離縁しますわよ!』
『好きにしたらいい』
『っ!!』
イザベルは荷物を纏めて実家に帰った。
1週間後にイザベルの父ハントン伯爵から手紙が届いた。
“そろそろ花束を持ってイザベルを迎えに来なさい”
だから花束と一緒に離縁届を送り付けた。遣いには署名をもらうまで滞在し、数日待って駄目なら強制手続きを取ると言うように命じた。
強制離縁には理由がいる。
婚歴が短くとも、2ヶ月で予算を使い切る散財の証拠、跡継ぎを産む義務を放棄し病気の義母を放置して 離縁を告げて実家に帰ったことで、受理されるだろう。
貴族とはいえ、女は実家にいれば当主の所有物、嫁げば嫁ぎ先の夫や当主の所有物だという認識が一般的だ。
その所有物が義務を放り出せば、所有者が制裁するのは当然なのだ。イザベルの実家が伯爵家だから、これでも手加減して叱ってきたつもりだ。
離縁すると言って出て行ったくせに、署名を渋るので、“強制離縁にするので遣いに戻るよう伝えてくれ”と手紙を出したらイザベルは離縁届に署名をした。
イザベルと離縁できて気持ちが軽くなった。その効果は母上にもあった。介護メイド達が言うには落ち着いているらしい。
仕事も把握し落ち着いた頃、領内の視察に回り 最後に図書館へ寄った。そこで出会いがあった。
もうすぐ閉館なのに 机に二冊の本を置き居眠りをしている若い女性がいた。
本のタイトルを見ると真面目な子なのだろうなと思った。
艶やかな栗色の髪に長いまつ毛、柔らかそうな唇。
ずっと眺めていたいが時間はない。
『お嬢さん、そろそろ閉鎖だよ』
身体を起こし瞼を開け、私を見上げた。
虹彩は 黒っぽい縁取りの内側にエメラルドグリーンが薄く縁取り、中はライムグリーンで中央に近づくにつれ蜂蜜が少し混ざったような色をしていた。透き通った湖を晴れた日に覗き込んだように輝いていた。
『すみません、直ぐに出ます』
彼女の手を掴もうと手を伸ばすも、彼女は急いで本を元に戻し立ち去った。
『はぁ…』
私は何をしようとしたんだ。
彼女の手を掴んだ後、どうするつもりだったんだ?
明らかに彼女は平民だ。彼女とどうこうなれるわけがない。
翌日はザンヌの町の視察をした。
町兵に話を聞き、質屋を回った次に娼館に行った。
利用するためではない。トラブルがないか確認するためだ。
出入口でぶつかったのは図書館で会った女性だった。
『あ…図書館員さん』
私が図書館員?
『…ククッ…違うよ』
俯く彼女の顔を上げさせて瞳が見たい。
『こちらのお客様ですよね?』
図書館員の次は昼間から娼館に通う客だと間違われるとは…私はそんな風に見えるのか?
いや、ショックを受けている場合ではない。君こそ、ここから出て来ただろう。
尋ねると、求人を見たらしい。
この子が娼婦に?
不特定多数の男達に奉仕をして、その身体で受け止めるというのか?
だったら私が……
『下女です』
娼婦ではなく、店の下女の募集だったらしい。
彼女が娼婦になるくらいなら、私が所有しようなどと思ってしまった。そんなこと、母上も許すわけがない。
だが、この容姿では娼館で働くのは危険だ。
話をするため場所を移そうとするが、今度は不審者扱いだった。
昔は令嬢や夫人達から誘いがかかったのに、いつの間にか魅力の無い男になってしまったのかと思いはしたが胸が痛むほどではない。なのに何故か胸が少し痛かった。
そうだ。町役場に行けば全て解消する
そう思い連れて行くと、役場で領主様と呼ばれ、彼女は美しい瞳を大きく開き驚いていた。
吸い込まれそうに美しい。
可愛い顔をしている。背丈は平均的だが細身だ。胸は普通にある。腰の細さは これで子が産めるのか心配になる程だ。
質問をしていくと、訳ありらしい。
ついに美しい瞳から涙が溢れた。
落ち着くのを待つ間、彼女を見つめていた。
抱きしめたい。涙を舐め取りたい。その瞳から涙が出なくて済むように守ってやりたい。
縋ってくれたら連れ帰って 母上が反対しても住まわせるのに。
落ち着いた彼女はこれまでの出来事を話してくれた。
婚約者兼恋人の裏切りと親友の裏切りで、両親の住む家から出て町を離れ、職を探しにこの町へ来て伯父の経営する宿屋に身を寄せた。だが、同居の従兄に襲われたので、直ぐに住み込みで働ける職場を探しているということだった。
彼女のような子を恋人兼婚約者にすることができたくせに、利用するだけ利用して裏切った幼馴染。そして弱みに付け入って彼女を穢した従兄。
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従兄を逮捕するかと聞いたら、“純潔だ”と答えた。
その言葉の響きは胸を満たすものだった。
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