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告白
遅めの翌朝に旦那様が迎えにいらして両親に挨拶をしてくださった。
「娘を助けていただきありがとうございました」
「間に合って良かった。こんな良い子が被害に遭うなんて許せないからね」
お父さんは甥の所業に落胆していた。
「デリックまで現れたそうで、ご迷惑をおかけしております」
「守りたくて守っているのだから私のことは気にしなくていい。解決するまで窮屈な思いをするだろうがセイラス邸から去るなんて考えないで欲しいな」
「あの、不躾なことを伺ってもよろしいでしょうか」
お母さんが真剣な顔をしていた。
「答えられることは答えよう」
「領主様は再婚についてです」
「貴族からの縁談は全て断っている。
次は恋愛結婚をしたいと贅沢な望みを抱いているんだ。出来れば愛する女に愛してもらいたい」
え?旦那様に愛する女!?知らなかった。
ズキン
胸が痛い。小さな痛みだけどズキズキする。
私ったらバカだわ。勘違いしてはいけないと気付いていたのに…。
「それはおめでとうございます」
「いや、まだめでたくない。両想いではないからな。素敵な女性だから相手にしてもらえるかどうか」
分かってる。
私は平民で旦那様は伯爵様。旦那様は跡継ぎを作らなくてはいけないし、伴侶を迎えなくてはならないのは分かってる。
だけど聞きたくない!!
涙が出そうになって席を立とうとしたら手を掴まれてしまった。
「何処に?」
「少し席を外します」
「ちゃんと居てくれ」
「…はい」
「フラれるのが怖くてね。だけどライバルが増えていくから嫉妬と不安で気が狂いそうだよ」
「領主様を断るなんてあり得ません。求婚なさってはいかがですか」
お母さんの言葉に旦那様は微笑んだ。
「その言葉を聞けて良かったよ。
私はアイリーンを愛している。アイリーンの他に誰も娶らないし愛人も作らない。アイリーンを妻にしたい。アイリーンを口説いてもいいだろうか」
「「え!?」」
私とお父さんは声を揃えて驚いているのに、お母さんは落ち着きはらっていた。
「娘を伯爵夫人にすると仰るのですね?」
「王宮行事と領内の行事は妻として同行してもらわなければならないが、それ以外は出たくなければ私1人で十分だ。少しずつ覚えてもらうこともあるが最低限でかまわない。
屋敷内のことも手を付けたければ挑戦してもいいししなくても私と使用人達でやるから問題ない」
「領主様が良くても さすがに平民を伯爵夫人には…」
「二度も離縁しているのだからあり得るよ。
それに母が私と同じくらい乗り気だ。
気持ちを抑えようとしている私の背中を押したのは母の方なのだよ。
母が望んでいる嫁に対して文句を言える人などいないよ」
大奥様が!?
「これからアイリーンを堂々と口説くことにする。セイラス邸で私の気持ちを知らないのはアイリーンくらいだ。遠慮しなくてすむ」
「えっ!?」
「もし娘を傷付けたら…」
「私はフォレットの町を敵に回し、サロウ男爵の怒りを買うだろう。どちらも避けたい。
アイリーン以外を娶る気はない。
無理強いはしないが後悔しないようにしたい」
「分かりました。
アイリーン。あなたは素直に自分の気持ちに従いなさい。
領主様が責任を持って守ってくださるわ」
そんなことを言われても…平民の私が伯爵夫人だなんて。それに…旦那様に心変わりされたら立ち直れそうにない。
その後、ひとりでフォレットの町を歩いて 町のみんなと交流した。みんな歓迎してくれた。デリックのことは触れずに。
そういえばローズマリーはどうしたんだろう。
彼女もザンヌにいるのかしら。
運送屋のロバートさんに会ったので聞いてみた。
「ああ、あの女か。神罰の森の道端で死んでいたよ。溝に足を取られて骨折したまま動けなかったようだ。だが胸に血が付いていたから刺し殺されたのかもな」
「まさかデリックが?」
「デリックが町を出た時にはローズマリーはまだ町にいたから違うよ。
あんな女、あちこちで恨みを買ってるさ。アイリーンちゃんが気にすることはないよ。
絶対に見に行っちゃ駄目だよ。もう腐敗が進み過ぎて白骨化してるから臭いもあるし。もしアイリーンちゃんが見に行って具合が悪くなったら、教えた俺が袋叩きに遭うからね」
「分かりました。見に行きません」
そう…ローズマリーは死んだのね。
何だか複雑だわ。
「娘を助けていただきありがとうございました」
「間に合って良かった。こんな良い子が被害に遭うなんて許せないからね」
お父さんは甥の所業に落胆していた。
「デリックまで現れたそうで、ご迷惑をおかけしております」
「守りたくて守っているのだから私のことは気にしなくていい。解決するまで窮屈な思いをするだろうがセイラス邸から去るなんて考えないで欲しいな」
「あの、不躾なことを伺ってもよろしいでしょうか」
お母さんが真剣な顔をしていた。
「答えられることは答えよう」
「領主様は再婚についてです」
「貴族からの縁談は全て断っている。
次は恋愛結婚をしたいと贅沢な望みを抱いているんだ。出来れば愛する女に愛してもらいたい」
え?旦那様に愛する女!?知らなかった。
ズキン
胸が痛い。小さな痛みだけどズキズキする。
私ったらバカだわ。勘違いしてはいけないと気付いていたのに…。
「それはおめでとうございます」
「いや、まだめでたくない。両想いではないからな。素敵な女性だから相手にしてもらえるかどうか」
分かってる。
私は平民で旦那様は伯爵様。旦那様は跡継ぎを作らなくてはいけないし、伴侶を迎えなくてはならないのは分かってる。
だけど聞きたくない!!
涙が出そうになって席を立とうとしたら手を掴まれてしまった。
「何処に?」
「少し席を外します」
「ちゃんと居てくれ」
「…はい」
「フラれるのが怖くてね。だけどライバルが増えていくから嫉妬と不安で気が狂いそうだよ」
「領主様を断るなんてあり得ません。求婚なさってはいかがですか」
お母さんの言葉に旦那様は微笑んだ。
「その言葉を聞けて良かったよ。
私はアイリーンを愛している。アイリーンの他に誰も娶らないし愛人も作らない。アイリーンを妻にしたい。アイリーンを口説いてもいいだろうか」
「「え!?」」
私とお父さんは声を揃えて驚いているのに、お母さんは落ち着きはらっていた。
「娘を伯爵夫人にすると仰るのですね?」
「王宮行事と領内の行事は妻として同行してもらわなければならないが、それ以外は出たくなければ私1人で十分だ。少しずつ覚えてもらうこともあるが最低限でかまわない。
屋敷内のことも手を付けたければ挑戦してもいいししなくても私と使用人達でやるから問題ない」
「領主様が良くても さすがに平民を伯爵夫人には…」
「二度も離縁しているのだからあり得るよ。
それに母が私と同じくらい乗り気だ。
気持ちを抑えようとしている私の背中を押したのは母の方なのだよ。
母が望んでいる嫁に対して文句を言える人などいないよ」
大奥様が!?
「これからアイリーンを堂々と口説くことにする。セイラス邸で私の気持ちを知らないのはアイリーンくらいだ。遠慮しなくてすむ」
「えっ!?」
「もし娘を傷付けたら…」
「私はフォレットの町を敵に回し、サロウ男爵の怒りを買うだろう。どちらも避けたい。
アイリーン以外を娶る気はない。
無理強いはしないが後悔しないようにしたい」
「分かりました。
アイリーン。あなたは素直に自分の気持ちに従いなさい。
領主様が責任を持って守ってくださるわ」
そんなことを言われても…平民の私が伯爵夫人だなんて。それに…旦那様に心変わりされたら立ち直れそうにない。
その後、ひとりでフォレットの町を歩いて 町のみんなと交流した。みんな歓迎してくれた。デリックのことは触れずに。
そういえばローズマリーはどうしたんだろう。
彼女もザンヌにいるのかしら。
運送屋のロバートさんに会ったので聞いてみた。
「ああ、あの女か。神罰の森の道端で死んでいたよ。溝に足を取られて骨折したまま動けなかったようだ。だが胸に血が付いていたから刺し殺されたのかもな」
「まさかデリックが?」
「デリックが町を出た時にはローズマリーはまだ町にいたから違うよ。
あんな女、あちこちで恨みを買ってるさ。アイリーンちゃんが気にすることはないよ。
絶対に見に行っちゃ駄目だよ。もう腐敗が進み過ぎて白骨化してるから臭いもあるし。もしアイリーンちゃんが見に行って具合が悪くなったら、教えた俺が袋叩きに遭うからね」
「分かりました。見に行きません」
そう…ローズマリーは死んだのね。
何だか複雑だわ。
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