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選ばれるのは妹
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上手く微笑むことができているかしら。
「やっぱり!シアに似合うと思っていたんだよ」
「嬉しいですわ!……でも、お姉様が」
「エレノアは気にしないさ」
「私はいいのよ」
「ありがとうございます!アル様っ」
妹レティシアの隣に座り リボンのプレゼントをしたのは私の婚約者アルフレッド。伯爵家の次男だ。
これで五人目。
一人目は遠縁男爵家の次男。8歳同士だったので まだ両親の口約束の状態だった。
私は好きだった。彼もよく一緒に遊んでくれた。
だけど彼が屋敷に遊びに来たときに妹レティシアに一目惚れ。約束はなくなった。
二人目は母の友人の三男で、一つ歳上だった。
本が好きな子爵令息で数度の交流を経て婚約。
だけど家族の顔合わせで彼は妹を好きになり即解消した。
三人目は取引先の子爵家の次男で一つ歳上だった。
乗馬が好きな令息で領地にいた。
令息の誕生日のパーティに一家で出席したときに妹を好きになって解消。
四人目は男爵家の三男でお祖父様の友人の孫だった。会わせていなかったけど学園でレティシアが入学してくると、彼は妹を好きになった。
一人目のときは好きだったから辛かった。
二人目、三人目、四人目の令息達に対して恋愛感情は無かったけど傷付かないわけじゃない。
そして妹にだけプレゼントを持って来た五人目の私の婚約者アルフレッドは私を見ない。妹が私の話を出すか目線を向けるかしないと存在を消されてしまう。
レティシアに罪はない…そう思ってきた。思い込もうとした。だけどもう限界だった。
何度も婚約解消が続いたし、私は既に学園を卒業している。これ以上となると良縁を探すのは困難だったから。
それに何故 婚約者との交流に妹というだけでレティシアがいつも同席するのか。必ず婚約者の前で“同席してもいい?”と聞いて私の判断のせいにする。一度断ったら“君は冷たい人なんだね”と婚約者から非難されたため断るという選択肢がなくなってしまった。
自分の姉が何度も婚約解消をしていて 原因が自分だと分かっているくせに、何も知らないような微笑みを振り撒く。
私はケンブル子爵家の後継ぎ、妹は嫁に行く予定。
私の方が成績優秀だし仕事もかなり手伝っている、妹は着飾ってパーティの華になることしか出来ないから。
それが分かっているのに両親はレティシアの行動を止めない。
“またか” “あらあら”
婚約解消になってもそう言うだけ。
もう疲れてしまった。アルフレッドと婚約解消が決まったら結婚はせず男の子の養子を取って継がせようかと思っていた。
「シア、君が行きたいと言っていた劇のチケットが手に入ったんだ。一緒に行かないか」
「でも…」
レティシアがチラッと私を見た。
「ああ… エレノアは気にしないさ」
「気にしますわ」
「「え?」」
「気にすると申し上げました」
「どうしたんだい?エレノア」
何故か無性に腹が立った。
「ねえ、レティシア。四人も私から婚約者を奪っておいて まだ純粋なフリをして五人目の婚約者とのお茶の席に同席するのは何故?」
「お姉様?」
「何故レティシアが私の婚約者の隣に座っているの?」
「それは…」
「姉の婚約者と愛称で呼び合うなんて非常識なのが分からないの?」
「っ!」
「私の婚約者と2人で出かける?もうやってることは泥棒じゃない」
「そんなっ!」
「シアに何てことを言うんだ!」
「アルフレッド様も頭おかしいですよ。
婚約者を除け者にしてその妹と出かけようだなんて。2枚しか手に入らないのなら“友人か姉を誘って行っておいで”と渡すべきです。
庭の散歩に婚約者の妹をエスコートしていることも含めてご両親である伯爵夫妻に話してみてはいかがですか?注意されないのでしたら そういうお育ちだと判断いたしますが、ケンブル家に婿入りしたら常識を徹底的に叩き込みますよ?」
「我が伯爵家を愚弄するのか!」
「あなたが私を愚弄しているのです。そんなにレティシアと一緒にいたいのなら伯爵家の跡継ぎとなってレティシアを娶ればよろしいのでは?」
「っ!!」
バシャッ
アルフレッドが私にお茶をかけた。
「…妹に懸想をした次は暴力ですか」
「お姉様!もう止めて!
私はただ、家族としてアル様を歓迎して仲良くなりたかっただけです!ううっ」
「あなたは学習しないのね、レティシア」
レティシアが泣き出してしまった。
「シア、行こう」
レティシアを連れてアルフレッドは屋敷に入った。
婚約者に置いて行かれて庭で独りぼっちになった。
その夜、お父様からはアルフレッドと仲直りをしろと言われ、お母様は悲劇のヒロインぶる妹を慰めていた。
「やっぱり!シアに似合うと思っていたんだよ」
「嬉しいですわ!……でも、お姉様が」
「エレノアは気にしないさ」
「私はいいのよ」
「ありがとうございます!アル様っ」
妹レティシアの隣に座り リボンのプレゼントをしたのは私の婚約者アルフレッド。伯爵家の次男だ。
これで五人目。
一人目は遠縁男爵家の次男。8歳同士だったので まだ両親の口約束の状態だった。
私は好きだった。彼もよく一緒に遊んでくれた。
だけど彼が屋敷に遊びに来たときに妹レティシアに一目惚れ。約束はなくなった。
二人目は母の友人の三男で、一つ歳上だった。
本が好きな子爵令息で数度の交流を経て婚約。
だけど家族の顔合わせで彼は妹を好きになり即解消した。
三人目は取引先の子爵家の次男で一つ歳上だった。
乗馬が好きな令息で領地にいた。
令息の誕生日のパーティに一家で出席したときに妹を好きになって解消。
四人目は男爵家の三男でお祖父様の友人の孫だった。会わせていなかったけど学園でレティシアが入学してくると、彼は妹を好きになった。
一人目のときは好きだったから辛かった。
二人目、三人目、四人目の令息達に対して恋愛感情は無かったけど傷付かないわけじゃない。
そして妹にだけプレゼントを持って来た五人目の私の婚約者アルフレッドは私を見ない。妹が私の話を出すか目線を向けるかしないと存在を消されてしまう。
レティシアに罪はない…そう思ってきた。思い込もうとした。だけどもう限界だった。
何度も婚約解消が続いたし、私は既に学園を卒業している。これ以上となると良縁を探すのは困難だったから。
それに何故 婚約者との交流に妹というだけでレティシアがいつも同席するのか。必ず婚約者の前で“同席してもいい?”と聞いて私の判断のせいにする。一度断ったら“君は冷たい人なんだね”と婚約者から非難されたため断るという選択肢がなくなってしまった。
自分の姉が何度も婚約解消をしていて 原因が自分だと分かっているくせに、何も知らないような微笑みを振り撒く。
私はケンブル子爵家の後継ぎ、妹は嫁に行く予定。
私の方が成績優秀だし仕事もかなり手伝っている、妹は着飾ってパーティの華になることしか出来ないから。
それが分かっているのに両親はレティシアの行動を止めない。
“またか” “あらあら”
婚約解消になってもそう言うだけ。
もう疲れてしまった。アルフレッドと婚約解消が決まったら結婚はせず男の子の養子を取って継がせようかと思っていた。
「シア、君が行きたいと言っていた劇のチケットが手に入ったんだ。一緒に行かないか」
「でも…」
レティシアがチラッと私を見た。
「ああ… エレノアは気にしないさ」
「気にしますわ」
「「え?」」
「気にすると申し上げました」
「どうしたんだい?エレノア」
何故か無性に腹が立った。
「ねえ、レティシア。四人も私から婚約者を奪っておいて まだ純粋なフリをして五人目の婚約者とのお茶の席に同席するのは何故?」
「お姉様?」
「何故レティシアが私の婚約者の隣に座っているの?」
「それは…」
「姉の婚約者と愛称で呼び合うなんて非常識なのが分からないの?」
「っ!」
「私の婚約者と2人で出かける?もうやってることは泥棒じゃない」
「そんなっ!」
「シアに何てことを言うんだ!」
「アルフレッド様も頭おかしいですよ。
婚約者を除け者にしてその妹と出かけようだなんて。2枚しか手に入らないのなら“友人か姉を誘って行っておいで”と渡すべきです。
庭の散歩に婚約者の妹をエスコートしていることも含めてご両親である伯爵夫妻に話してみてはいかがですか?注意されないのでしたら そういうお育ちだと判断いたしますが、ケンブル家に婿入りしたら常識を徹底的に叩き込みますよ?」
「我が伯爵家を愚弄するのか!」
「あなたが私を愚弄しているのです。そんなにレティシアと一緒にいたいのなら伯爵家の跡継ぎとなってレティシアを娶ればよろしいのでは?」
「っ!!」
バシャッ
アルフレッドが私にお茶をかけた。
「…妹に懸想をした次は暴力ですか」
「お姉様!もう止めて!
私はただ、家族としてアル様を歓迎して仲良くなりたかっただけです!ううっ」
「あなたは学習しないのね、レティシア」
レティシアが泣き出してしまった。
「シア、行こう」
レティシアを連れてアルフレッドは屋敷に入った。
婚約者に置いて行かれて庭で独りぼっちになった。
その夜、お父様からはアルフレッドと仲直りをしろと言われ、お母様は悲劇のヒロインぶる妹を慰めていた。
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