4 / 30
判明
しおりを挟む
療養3日目にマリエッタ様がお見舞いにきてくださった。
「大変な目にあったわね」
「打身だけですから」
「公爵令息を思い出せないのでしょう?」
「……はい」
「ずっと辛い目にあっていたものね」
「よく分かりませんが、政略ではないようですので解消を申し出たのですが、難色を示されました。何かいい方法はないでしょうか」
「急に知らない男を婚約者と言われたら戸惑うわね。だけどオヌール公爵令息よ!もったいないわ」
「私には不相応ですわ。釣り合いません」
「嫌なのね」
「……ところで、××××年の9月2日は兄様と何かありましたか?」
「なっ!!」
兄様とマリエッタ様の日付けが同じで互いの名前が出ているので聞いてみたのだが、マリエッタ様は真っ赤だ。
「どっ、どうしてそのことを!まさか」
「何の日なのですか」
「それは……」
マリエッタ様はお兄様が大好きで、私の世話もよく焼いてくれた。ここはマリエッタ様だけに真実を告げて味方にしよう。
「私の秘密を教えますから、教えてください。
それに誰にも話さないと誓ってください。神様が相手でも黙っていると。私も誓いますから」
「…わかったわ。誰にも言わない」
「記憶はあります。ふりをしているのです」
「ええ!?」
「しっ!」
「どうして」
「婚約を解消したいからです。ずっと思っていました。公爵家のメイドが記憶に問題があると誤解したので、利用しました」
「そうなの。そんなに嫌だったの」
「不釣り合いなので婚約して以来ずっと嫌がらせを受け、悪口を言われているのです。
政略結婚ですらない旨味のない婚約のようですから、解消はランドルフ様の為でもあるのです」
「…さっきの日付はマクセル様との初夜なの」
「えっ!!」
「しっ!」
「ごめんなさい」
「何で知ってるの」
「転落して目覚めたら日付けと名前が見えるようになりました。マリエッタ様とお兄様は日付けが同じで互いの名前しかありません。
お母様も父の名前しかありません」
「複数名前が見えたのは?」
「公爵様と両家の使用人達の多くです」
「…これは大変だわ!ギフトよ!」
「?」
「神様から特別な能力を授かったのよ!
多分それは閨の相手と日付けね」
「それと、文字が赤い場合があるのです」
「私達は何色?」
「赤です」
「何かしら。初体験の相手だから?」
「違うと思います。
一番最初に名前があっても黒の人もいますし、一番以外が赤の人もいます」
「……私達は互いに同意があったから、運命の相手かどうかかしら」
「それが、片方だけ赤ということもあるのです」
「では気持ちかもしれないわね。愛し合うという行為なのか、単なる交わりなのか」
「違うギフトが良かったです」
「商売にもなりそうだけど、狙われることにもなりかねないから秘密よ」
「はい。
もうお義姉様と呼んでいいですか」
「もちろんよ!恥ずかしいけど嬉しい!
リリって呼ぶわね!
はぁ~マクセル様が私だけだなんて!嬉しい!
ありがとう!リリのお陰で幸せだわ!」
「大袈裟ですよ」
「マクセル様が他の女に手を出していないと確信できたのだから、大袈裟ではないわ!」
「あ~!」
「どうしたの」
「つまりランドルフ様は清いお身体というわけですね。
不貞を理由に解消できません」
「どうして婚約したのかしら」
「聞こうと思っていたお父様が亡くなったから公爵様に聞くしかなかったのですが、政略ではないと言われました。
恋愛的なものではないはずですし、相応しくないのは変わりませんから」
「政略じゃなきゃ見初められたのよ」
「だとしたら、私は何故痣の絶えない日々を送り、2度も殺されかけたのでしょう。
彼は何も言いません。ただ最後に登場して婚約者の仮面を被るだけ」
「……分かったわ!
どの道、もう少し変わらないとダメよ。
予定を組んで距離をとりましょう」
「予定?」
「自分を磨いた方がいいわ。若いのに無気力なんだもの!」
「例えば?」
「猛勉強よ!目指せ主席!とまでは行かなくとも自分のためになるわ。勉強で忙しいと言えば誘いも断れるでしょう」
そう。今まで誘われるがまま社交に同伴してきた。
断る口実には良いかもしれない!
「やります!この間の多額の慰謝料があるのでそれで講師を雇います!誰かいませんか!?」
「分かったわ!学園での答案を貸してもらえる?
それで集めてみるわ!」
「大変な目にあったわね」
「打身だけですから」
「公爵令息を思い出せないのでしょう?」
「……はい」
「ずっと辛い目にあっていたものね」
「よく分かりませんが、政略ではないようですので解消を申し出たのですが、難色を示されました。何かいい方法はないでしょうか」
「急に知らない男を婚約者と言われたら戸惑うわね。だけどオヌール公爵令息よ!もったいないわ」
「私には不相応ですわ。釣り合いません」
「嫌なのね」
「……ところで、××××年の9月2日は兄様と何かありましたか?」
「なっ!!」
兄様とマリエッタ様の日付けが同じで互いの名前が出ているので聞いてみたのだが、マリエッタ様は真っ赤だ。
「どっ、どうしてそのことを!まさか」
「何の日なのですか」
「それは……」
マリエッタ様はお兄様が大好きで、私の世話もよく焼いてくれた。ここはマリエッタ様だけに真実を告げて味方にしよう。
「私の秘密を教えますから、教えてください。
それに誰にも話さないと誓ってください。神様が相手でも黙っていると。私も誓いますから」
「…わかったわ。誰にも言わない」
「記憶はあります。ふりをしているのです」
「ええ!?」
「しっ!」
「どうして」
「婚約を解消したいからです。ずっと思っていました。公爵家のメイドが記憶に問題があると誤解したので、利用しました」
「そうなの。そんなに嫌だったの」
「不釣り合いなので婚約して以来ずっと嫌がらせを受け、悪口を言われているのです。
政略結婚ですらない旨味のない婚約のようですから、解消はランドルフ様の為でもあるのです」
「…さっきの日付はマクセル様との初夜なの」
「えっ!!」
「しっ!」
「ごめんなさい」
「何で知ってるの」
「転落して目覚めたら日付けと名前が見えるようになりました。マリエッタ様とお兄様は日付けが同じで互いの名前しかありません。
お母様も父の名前しかありません」
「複数名前が見えたのは?」
「公爵様と両家の使用人達の多くです」
「…これは大変だわ!ギフトよ!」
「?」
「神様から特別な能力を授かったのよ!
多分それは閨の相手と日付けね」
「それと、文字が赤い場合があるのです」
「私達は何色?」
「赤です」
「何かしら。初体験の相手だから?」
「違うと思います。
一番最初に名前があっても黒の人もいますし、一番以外が赤の人もいます」
「……私達は互いに同意があったから、運命の相手かどうかかしら」
「それが、片方だけ赤ということもあるのです」
「では気持ちかもしれないわね。愛し合うという行為なのか、単なる交わりなのか」
「違うギフトが良かったです」
「商売にもなりそうだけど、狙われることにもなりかねないから秘密よ」
「はい。
もうお義姉様と呼んでいいですか」
「もちろんよ!恥ずかしいけど嬉しい!
リリって呼ぶわね!
はぁ~マクセル様が私だけだなんて!嬉しい!
ありがとう!リリのお陰で幸せだわ!」
「大袈裟ですよ」
「マクセル様が他の女に手を出していないと確信できたのだから、大袈裟ではないわ!」
「あ~!」
「どうしたの」
「つまりランドルフ様は清いお身体というわけですね。
不貞を理由に解消できません」
「どうして婚約したのかしら」
「聞こうと思っていたお父様が亡くなったから公爵様に聞くしかなかったのですが、政略ではないと言われました。
恋愛的なものではないはずですし、相応しくないのは変わりませんから」
「政略じゃなきゃ見初められたのよ」
「だとしたら、私は何故痣の絶えない日々を送り、2度も殺されかけたのでしょう。
彼は何も言いません。ただ最後に登場して婚約者の仮面を被るだけ」
「……分かったわ!
どの道、もう少し変わらないとダメよ。
予定を組んで距離をとりましょう」
「予定?」
「自分を磨いた方がいいわ。若いのに無気力なんだもの!」
「例えば?」
「猛勉強よ!目指せ主席!とまでは行かなくとも自分のためになるわ。勉強で忙しいと言えば誘いも断れるでしょう」
そう。今まで誘われるがまま社交に同伴してきた。
断る口実には良いかもしれない!
「やります!この間の多額の慰謝料があるのでそれで講師を雇います!誰かいませんか!?」
「分かったわ!学園での答案を貸してもらえる?
それで集めてみるわ!」
724
あなたにおすすめの小説
やめてくれないか?ですって?それは私のセリフです。
あおくん
恋愛
公爵令嬢のエリザベートはとても優秀な女性だった。
そして彼女の婚約者も真面目な性格の王子だった。だけど王子の初めての恋に2人の関係は崩れ去る。
貴族意識高めの主人公による、詰問ストーリーです。
設定に関しては、ゆるゆる設定でふわっと進みます。
最愛の人に裏切られ死んだ私ですが、人生をやり直します〜今度は【真実の愛】を探し、元婚約者の後悔を笑って見届ける〜
腐ったバナナ
恋愛
愛する婚約者アラン王子に裏切られ、非業の死を遂げた公爵令嬢エステル。
「二度と誰も愛さない」と誓った瞬間、【死に戻り】を果たし、愛の感情を失った冷徹な復讐者として覚醒する。
エステルの標的は、自分を裏切った元婚約者と仲間たち。彼女は未来の知識を武器に、王国の影の支配者ノア宰相と接触。「私の知性を利用し、絶対的な庇護を」と、大胆な契約結婚を持ちかける。
私を運命の相手とプロポーズしておきながら、可哀そうな幼馴染の方が大切なのですね! 幼馴染と幸せにお過ごしください
迷い人
恋愛
王国の特殊爵位『フラワーズ』を頂いたその日。
アシャール王国でも美貌と名高いディディエ・オラール様から婚姻の申し込みを受けた。
断るに断れない状況での婚姻の申し込み。
仕事の邪魔はしないと言う約束のもと、私はその婚姻の申し出を承諾する。
優しい人。
貞節と名高い人。
一目惚れだと、運命の相手だと、彼は言った。
細やかな気遣いと、距離を保った愛情表現。
私も愛しております。
そう告げようとした日、彼は私にこうつげたのです。
「子を事故で亡くした幼馴染が、心をすり減らして戻ってきたんだ。 私はしばらく彼女についていてあげたい」
そう言って私の物を、つぎつぎ幼馴染に与えていく。
優しかったアナタは幻ですか?
どうぞ、幼馴染とお幸せに、請求書はそちらに回しておきます。
私が嫌いなら婚約破棄したらどうなんですか?
きららののん
恋愛
優しきおっとりでマイペースな令嬢は、太陽のように熱い王太子の側にいることを幸せに思っていた。
しかし、悪役令嬢に刃のような言葉を浴びせられ、自信の無くした令嬢は……
ゴースト聖女は今日までです〜お父様お義母さま、そして偽聖女の妹様、さようなら。私は魔神の妻になります〜
嘉神かろ
恋愛
魔神を封じる一族の娘として幸せに暮していたアリシアの生活は、母が死に、継母が妹を産んだことで一変する。
妹は聖女と呼ばれ、もてはやされる一方で、アリシアは周囲に気付かれないよう、妹の影となって魔神の眷属を屠りつづける。
これから先も続くと思われたこの、妹に功績を譲る生活は、魔神の封印を補強する封魔の神儀をきっかけに思いもよらなかった方へ動き出す。
公爵令嬢ですが、実は神の加護を持つ最強チート持ちです。婚約破棄? ご勝手に
ゆっこ
恋愛
王都アルヴェリアの中心にある王城。その豪奢な大広間で、今宵は王太子主催の舞踏会が開かれていた。貴族の子弟たちが華やかなドレスと礼装に身を包み、音楽と笑い声が響く中、私——リシェル・フォン・アーデンフェルトは、端の席で静かに紅茶を飲んでいた。
私は公爵家の長女であり、かつては王太子殿下の婚約者だった。……そう、「かつては」と言わねばならないのだろう。今、まさにこの瞬間をもって。
「リシェル・フォン・アーデンフェルト。君との婚約を、ここに正式に破棄する!」
唐突な宣言。静まり返る大広間。注がれる無数の視線。それらすべてを、私はただ一口紅茶を啜りながら見返した。
婚約破棄の相手、王太子レオンハルト・ヴァルツァーは、金髪碧眼のいかにも“主役”然とした青年である。彼の隣には、勝ち誇ったような笑みを浮かべる少女が寄り添っていた。
「そして私は、新たにこのセシリア・ルミエール嬢を伴侶に選ぶ。彼女こそが、真に民を導くにふさわしい『聖女』だ!」
ああ、なるほど。これが今日の筋書きだったのね。
捨てられたなら 〜婚約破棄された私に出来ること〜
ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
長年の婚約者だった王太子殿下から婚約破棄を言い渡されたクリスティン。
彼女は婚約破棄を受け入れ、周りも処理に動き出します。
さて、どうなりますでしょうか……
別作品のボツネタ救済です(ヒロインの名前と設定のみ)。
突然のポイント数増加に驚いています。HOTランキングですか?
自分には縁のないものだと思っていたのでびっくりしました。
私の拙い作品をたくさんの方に読んでいただけて嬉しいです。
それに伴い、たくさんの方から感想をいただくようになりました。
ありがとうございます。
様々なご意見、真摯に受け止めさせていただきたいと思います。
ただ、皆様に楽しんでいただけたらと思いますので、中にはいただいたコメントを非公開とさせていただく場合がございます。
申し訳ありませんが、どうかご了承くださいませ。
もちろん、私は全て読ませていただきますし、削除はいたしません。
7/16 最終部がわかりにくいとのご指摘をいただき、訂正しました。
※この作品は小説家になろうさんでも公開しています。
初耳なのですが…、本当ですか?
あおくん
恋愛
侯爵令嬢の次女として、父親の仕事を手伝ったり、邸の管理をしたりと忙しくしているアニーに公爵家から婚約の申し込みが来た!
でも実際に公爵家に訪れると、異世界から来たという少女が婚約者の隣に立っていて…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる