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ふり
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さっきのメイドに連れられて公爵家の侍医が来て、ひと通り診察を受けた。打身が残った程度だった。
「リリアーナ様、思い出せないとのことでしたが」
そこで閃いた。誤解しているようだから利用して解消しよう!
「ここは?何故ここに?」
「…リリアーナ様、ここはオヌール公爵邸でガーデンパーティーの最中でした。2階のバルコニーから転落なさったのです」
「そうなのですか?」
「2日間、昏睡なさっておられました」
「確かに体が痛くてだるいです。ご迷惑をおかけいたしました。帰りますので馬車を出していただけませんか」
「まだ安静にしてください」
「帰りたいのです」
そう言って起きあがろうとした時、公爵一家が入ってきた。
「リリアーナ!起きては駄目だ!」
「リリちゃん、寝ていなさい」
「先生、リリアーナはどうなんだ」
「打身だけのようですが、記憶に問題があるようです。ここが何処なのか、何故ここにいるのか分からないようで」
「リリアーナ!私の名前は!」
「……初めまして」
「!!」
「リリちゃん、私の名前は?」
「ローザ様です」
「リリアーナ、私の名前は」
「デービッド・オヌール様です」
「リリちゃん!貴女の婚約者のランドルフよ!」
「婚約者? 私は婚約者はおりません。ランドルフ様? どちらの方ですか?」
「リリアーナ…ランドルフは私達の息子だ」
「公爵令息?
私のような者が公爵令息の婚約者だなんて畏れ多いことでございます」
「本当なのよ。リリちゃんは私達の息子ランドルフと8歳の頃から婚約しているの」
「…帰らせていただけますか。
お世話になり、申し訳ございませんが。
何故婚約しているのか分かりませんが、これでは婚約者は務まりません。辞退させていただけませんか」
「婚約は続ける」
「公爵様、何か、我が家との政略的なお約束事があるのでしょうか」
「公爵家と伯爵家にそのようなことはない」
政略じゃないの!?親が親友だから私達は巻き込まれたのね!
「公爵令息様を覚えていない私は足手纏いですわ。
どなたか相応しいご令嬢をお探しください。
オヌール家でしたら、喜ばれますわ」
「…そう思うのならこのままでいいじゃないか」
「公爵令息様、私では釣り合いがとれませんわ」
「リリアーナ!」
「ランドルフ、昏睡から覚めたばかりなのよ。時間が必要よ。
リリちゃん、せめてここで療養してちょうだい」
「帰りたいのです」
「…伯爵家に連絡を入れる。伯爵に判断を委ねよう」
「ありがとうございます」
「父上!!」
「ランドルフ、ここは引け」
「っ!!」
1時間後、兄がメイド2人と迎えに来た。
「お兄様、ありがとうございます」
「いや…
公爵様、リリアーナがお世話になりました。
今後のことは後日、話し合いをしましょう」
「分かった。申し訳なかった」
メイドに支えられ、馬車で帰宅した。
その後1週間の療養をした。痣はまだ残るが大丈夫。
その間毎日公爵家の侍医が往診に来て下さった。
今回の事で驚いたことがある。ランドルフ様の仮面が剥がれたことだ。
何故か分からないけど解消を嫌がっている様だし。
そして私はあるものが見えるようになった。それは日付と人の名前だった。
公爵様の方は22年前の日付でミシェット・カトラから始まり、何人か続いた後に夫人の名前が出てきた。夫人は公爵の名前だけ。
ランドルフ様は出てこない。
メイドは3人、お医者様は2人。
兄様は2年前の日付で婚約者マリエッタの名前が。
これは一体なんなのか。
「リリアーナ様、思い出せないとのことでしたが」
そこで閃いた。誤解しているようだから利用して解消しよう!
「ここは?何故ここに?」
「…リリアーナ様、ここはオヌール公爵邸でガーデンパーティーの最中でした。2階のバルコニーから転落なさったのです」
「そうなのですか?」
「2日間、昏睡なさっておられました」
「確かに体が痛くてだるいです。ご迷惑をおかけいたしました。帰りますので馬車を出していただけませんか」
「まだ安静にしてください」
「帰りたいのです」
そう言って起きあがろうとした時、公爵一家が入ってきた。
「リリアーナ!起きては駄目だ!」
「リリちゃん、寝ていなさい」
「先生、リリアーナはどうなんだ」
「打身だけのようですが、記憶に問題があるようです。ここが何処なのか、何故ここにいるのか分からないようで」
「リリアーナ!私の名前は!」
「……初めまして」
「!!」
「リリちゃん、私の名前は?」
「ローザ様です」
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「デービッド・オヌール様です」
「リリちゃん!貴女の婚約者のランドルフよ!」
「婚約者? 私は婚約者はおりません。ランドルフ様? どちらの方ですか?」
「リリアーナ…ランドルフは私達の息子だ」
「公爵令息?
私のような者が公爵令息の婚約者だなんて畏れ多いことでございます」
「本当なのよ。リリちゃんは私達の息子ランドルフと8歳の頃から婚約しているの」
「…帰らせていただけますか。
お世話になり、申し訳ございませんが。
何故婚約しているのか分かりませんが、これでは婚約者は務まりません。辞退させていただけませんか」
「婚約は続ける」
「公爵様、何か、我が家との政略的なお約束事があるのでしょうか」
「公爵家と伯爵家にそのようなことはない」
政略じゃないの!?親が親友だから私達は巻き込まれたのね!
「公爵令息様を覚えていない私は足手纏いですわ。
どなたか相応しいご令嬢をお探しください。
オヌール家でしたら、喜ばれますわ」
「…そう思うのならこのままでいいじゃないか」
「公爵令息様、私では釣り合いがとれませんわ」
「リリアーナ!」
「ランドルフ、昏睡から覚めたばかりなのよ。時間が必要よ。
リリちゃん、せめてここで療養してちょうだい」
「帰りたいのです」
「…伯爵家に連絡を入れる。伯爵に判断を委ねよう」
「ありがとうございます」
「父上!!」
「ランドルフ、ここは引け」
「っ!!」
1時間後、兄がメイド2人と迎えに来た。
「お兄様、ありがとうございます」
「いや…
公爵様、リリアーナがお世話になりました。
今後のことは後日、話し合いをしましょう」
「分かった。申し訳なかった」
メイドに支えられ、馬車で帰宅した。
その後1週間の療養をした。痣はまだ残るが大丈夫。
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今回の事で驚いたことがある。ランドルフ様の仮面が剥がれたことだ。
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そして私はあるものが見えるようになった。それは日付と人の名前だった。
公爵様の方は22年前の日付でミシェット・カトラから始まり、何人か続いた後に夫人の名前が出てきた。夫人は公爵の名前だけ。
ランドルフ様は出てこない。
メイドは3人、お医者様は2人。
兄様は2年前の日付で婚約者マリエッタの名前が。
これは一体なんなのか。
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