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ライアン達の子
王子の宮
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【 ゼインの視点 】
卒業パーティの四日前に帰ってきたリリアンはいつも通りだった。
食堂の帰りに“放課後、両親と一緒に謁見です” と耳打ちして去って行った。
急いで城に戻ると父がバトラーズ家と会う準備をしていた。
「父上っ」
「走ってきたのか」
「同席させてください」
「バトラーズ家の?」
「はいっ」
「大した内容ではないぞ?」
「リリアンと……会える機会は……もうあまりありません」
「婚姻させてやりたいがな」
「分かっています」
20分もしないうちにバトラーズ家が到着し、応接間の方に通すことになった。
多分サルト領のホテルを予約してあげた礼だろうと言っていた。
「陛下のお心遣いをいただき、素晴らしい休暇を過ごせました」
「あれは半分脅しだろう」
「違います」
「まあ、いい。リリアン嬢、気分転換はできたかな?」
「はい。陛下に感謝を申し上げます」
「うちのゼインならリリアン嬢を泣かせないのにな」
「ち、父上」
「確かにそうかもしれませんね」
リリアン!?
「あの時、其方とゼインを別のかたちで会わせていたらと思うとな」
「あの頃は、嫌気がさして引きこもり始めでしたから」
「ゼインは一途だぞ」
「…幸せを祈っております」
「陛下、お土産をお渡ししたいのですが」
「おお、そうか」
「あそこは食事がとても美味しいのですが片道4日ですから。そんなにかけると傷みますので日持ちのするものにしました」
「早速今夜いただこう」
しばらく歓談して、帰る時間になった。
「リリアン嬢を少し置いていかないか?
もう卒業したら気軽に友人と話もできない。
学園の時の様に食堂で出るような食事を出させたら良い思い出になるだろう。
翌朝には馬に乗って思いっきり走るといい」
「リリアン、どうするか?」
「お言葉に甘えさせていただきます」
「では、私達は帰ります。リリアンをよろしくお願いします」
「ゼイン。王子宮の庭園に案内してあげなさい」
「はい父上。リリアン、行こう」
あそこは私がビクトリアを娶ったら住む宮だ。
夫婦生活をおくることになる。
庭も整え終わったところだ。
監獄の様な場所に思えたのにリリアンと一緒だと夢が膨らむ。
リリアンを大事に守り、甘えさせて、愛してますと言わせたい。
たっぷり愛でて、この宮の全ての場所で交わりたい。
私に似た子とリリアンに似た子を産ませたい。
君の奥底に私の一部を注ぎ込み、身も心も未来も全て私だけのものにしたい。
私なら絶対に浮気などしない。別の女を迎えなければならないなら王位継承権を放棄する。
君以外を抱きたくない。他の女の粘膜に触れるのも体液に触れるのも嫌だ。
リリアンなら汗でも涎でも尿でも舐めるだろう。
例え鼻水でも。
「ゼイン殿下?」
「え?」
「何か悩み事でも?」
「どうして?」
「悲しそうなお顔でしたから」
「言ったら君は困ってしまう」
「私がですか?」
「誰にも口にできない」
リリアンは私の腕を引いてガゼボまで来た。
「私が聞いて、ゼイン殿下のお気持ちを共有します。私が困ることでもいいですよ」
「…なぜ」
「だって誰にも言えない、でも私には言えるのですね?ただ困らせるだけで。
私は以前、殿下を傷付けてしまいました。それでも殿下は私と私の友人と仲良くしてくださいました。
一年生の大切な思い出となりました。
私は恩を返す術はございません。聞くことくらいしかできないのです」
「それは私のせいだから」
「ゼイン殿下。もうチャンスはないかもしれません。殿下は卒業で、王子様で、結婚も間近です。
人目が少ないのもこれが最後でしょう」
「いいんだな?」
「どうぞ困らせてください」
手を挙げ合図を送ると、メイドと護衛騎士や警備兵は距離を取り、メイドは背を向けた。
座るリリアンの目の前で跪き手を取った。
「リリアン・バトラーズ
私は君だけを愛している。
学園で側にいて惹かれるのに時間は掛からなかった。
他の令嬢 とは違うリリアンが魅力的だ。
咳き込むほど笑う姿が大好きだ。
嫌いなものを堂々とアンベールの皿に移すリリアンが可愛い。
パパと公爵を呼んで抱き付くリリアンも愛おしい。
他の男と踊る姿を見ると胸が痛む。
シャルール伯爵と親しくなったときは伯爵を殺してやりたくなったし、あいつのせいでリリアンに何かあったと悟ったときは重罪犯の牢に入れ毎日拷問してやろうかと思った。
私が愛するのは生涯リリアンだけだ。
だが私は選定された婚約者がいて、もうすぐ妻となる。
ここは私と私の妻の夫婦生活のための宮だ。私にとって監獄の様なものになる。
好きでもない女に触れたくない。初夜など拒否したい。抱ける気もしない。
心も体も殺して生きる場所だ。
リリアンなら何処に触れても嬉しい。
落ちた髪の毛でも、尿でも、鼻水さえも素手で拭える。
君を守り、愛し、ずっと側にいたい。
できるなら愛して欲しい。
王位継承権を放棄しても構わない。
君を養える術があるなら王族籍から抜けてもいい。
リリアンと生きていけるなら、全て捨てる。
君を養うために金だけは欲しいけどね。
リリアン。その涙を舐めたい」
立ち上がり、リリアンを立たせて上を向かせて涙を舐めた。
卒業パーティの四日前に帰ってきたリリアンはいつも通りだった。
食堂の帰りに“放課後、両親と一緒に謁見です” と耳打ちして去って行った。
急いで城に戻ると父がバトラーズ家と会う準備をしていた。
「父上っ」
「走ってきたのか」
「同席させてください」
「バトラーズ家の?」
「はいっ」
「大した内容ではないぞ?」
「リリアンと……会える機会は……もうあまりありません」
「婚姻させてやりたいがな」
「分かっています」
20分もしないうちにバトラーズ家が到着し、応接間の方に通すことになった。
多分サルト領のホテルを予約してあげた礼だろうと言っていた。
「陛下のお心遣いをいただき、素晴らしい休暇を過ごせました」
「あれは半分脅しだろう」
「違います」
「まあ、いい。リリアン嬢、気分転換はできたかな?」
「はい。陛下に感謝を申し上げます」
「うちのゼインならリリアン嬢を泣かせないのにな」
「ち、父上」
「確かにそうかもしれませんね」
リリアン!?
「あの時、其方とゼインを別のかたちで会わせていたらと思うとな」
「あの頃は、嫌気がさして引きこもり始めでしたから」
「ゼインは一途だぞ」
「…幸せを祈っております」
「陛下、お土産をお渡ししたいのですが」
「おお、そうか」
「あそこは食事がとても美味しいのですが片道4日ですから。そんなにかけると傷みますので日持ちのするものにしました」
「早速今夜いただこう」
しばらく歓談して、帰る時間になった。
「リリアン嬢を少し置いていかないか?
もう卒業したら気軽に友人と話もできない。
学園の時の様に食堂で出るような食事を出させたら良い思い出になるだろう。
翌朝には馬に乗って思いっきり走るといい」
「リリアン、どうするか?」
「お言葉に甘えさせていただきます」
「では、私達は帰ります。リリアンをよろしくお願いします」
「ゼイン。王子宮の庭園に案内してあげなさい」
「はい父上。リリアン、行こう」
あそこは私がビクトリアを娶ったら住む宮だ。
夫婦生活をおくることになる。
庭も整え終わったところだ。
監獄の様な場所に思えたのにリリアンと一緒だと夢が膨らむ。
リリアンを大事に守り、甘えさせて、愛してますと言わせたい。
たっぷり愛でて、この宮の全ての場所で交わりたい。
私に似た子とリリアンに似た子を産ませたい。
君の奥底に私の一部を注ぎ込み、身も心も未来も全て私だけのものにしたい。
私なら絶対に浮気などしない。別の女を迎えなければならないなら王位継承権を放棄する。
君以外を抱きたくない。他の女の粘膜に触れるのも体液に触れるのも嫌だ。
リリアンなら汗でも涎でも尿でも舐めるだろう。
例え鼻水でも。
「ゼイン殿下?」
「え?」
「何か悩み事でも?」
「どうして?」
「悲しそうなお顔でしたから」
「言ったら君は困ってしまう」
「私がですか?」
「誰にも口にできない」
リリアンは私の腕を引いてガゼボまで来た。
「私が聞いて、ゼイン殿下のお気持ちを共有します。私が困ることでもいいですよ」
「…なぜ」
「だって誰にも言えない、でも私には言えるのですね?ただ困らせるだけで。
私は以前、殿下を傷付けてしまいました。それでも殿下は私と私の友人と仲良くしてくださいました。
一年生の大切な思い出となりました。
私は恩を返す術はございません。聞くことくらいしかできないのです」
「それは私のせいだから」
「ゼイン殿下。もうチャンスはないかもしれません。殿下は卒業で、王子様で、結婚も間近です。
人目が少ないのもこれが最後でしょう」
「いいんだな?」
「どうぞ困らせてください」
手を挙げ合図を送ると、メイドと護衛騎士や警備兵は距離を取り、メイドは背を向けた。
座るリリアンの目の前で跪き手を取った。
「リリアン・バトラーズ
私は君だけを愛している。
学園で側にいて惹かれるのに時間は掛からなかった。
他の令嬢 とは違うリリアンが魅力的だ。
咳き込むほど笑う姿が大好きだ。
嫌いなものを堂々とアンベールの皿に移すリリアンが可愛い。
パパと公爵を呼んで抱き付くリリアンも愛おしい。
他の男と踊る姿を見ると胸が痛む。
シャルール伯爵と親しくなったときは伯爵を殺してやりたくなったし、あいつのせいでリリアンに何かあったと悟ったときは重罪犯の牢に入れ毎日拷問してやろうかと思った。
私が愛するのは生涯リリアンだけだ。
だが私は選定された婚約者がいて、もうすぐ妻となる。
ここは私と私の妻の夫婦生活のための宮だ。私にとって監獄の様なものになる。
好きでもない女に触れたくない。初夜など拒否したい。抱ける気もしない。
心も体も殺して生きる場所だ。
リリアンなら何処に触れても嬉しい。
落ちた髪の毛でも、尿でも、鼻水さえも素手で拭える。
君を守り、愛し、ずっと側にいたい。
できるなら愛して欲しい。
王位継承権を放棄しても構わない。
君を養える術があるなら王族籍から抜けてもいい。
リリアンと生きていけるなら、全て捨てる。
君を養うために金だけは欲しいけどね。
リリアン。その涙を舐めたい」
立ち上がり、リリアンを立たせて上を向かせて涙を舐めた。
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