【完結】救済版:ずっと好きだった

ユユ

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ライアン達の子

愛されない令嬢の過ち

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【 ビクトリアの視点 】


「ビクトリア嬢の言葉がきっかけです。

私は一年ほど前からリリアンに惹かれていました。
私は婚約していますので思いは叶わぬと分かっていました。

そのリリアンが、ある貴族と交際していました。
ですがビクトリア嬢が私も知らない情報を教えてくれたのです。
伯爵が“妹の様だ” “子供だ” と言った…つまり女として見られなかったから振られたのだと私の耳に入れたのです。

腹が立って仕方がなかった…リリアンを侮辱したことが。
歳が少し離れているのは最初から分かっていたはずで…なのに心を許してからそんなことを言い出すなんて。
何度も何度も会っておいて…。

だから私はリリアンに分からせたかった…私にとってリリアンは魅力的な女だと。
口付けだけして殴られようと思っていたのに止まらなかったのです」

母「ビクトリア、何故そのような余計な話をするのです」

陛「ビクトリア嬢は言動に注意をはらうべきだった。

取り巻きの三人の令嬢に、リリアン嬢への愚痴をこぼしただろう?

ゼインがリリアン嬢に付き纏っていたのに、矛先をリリアン嬢に向けた。
そのせいで三人はリリアン嬢に何度も呼び出したり待ち伏せしたりして、侮辱し脅迫までした。
その結果、リリアン嬢は耐えかねてゼインのせいで迷惑しているから近付くなと抗議をした。

結局三人は社会的に大恥をかいた。

そこでビクトリア嬢は三人と縁切りをした。
その過程でマキシア伯爵令嬢に、リリアンが剣術を習っていて、実力はお遊び程度だと言った。

結果が決闘だ。

無謀にも公爵令嬢に伯爵令嬢が手袋を顔に投げつけた。

そして今回の余計な情報だ。
リリアンへの気持ちで苦しんでいるゼインに振る話題ではなかったな。

次期王妃としては禍をもたらす口の持ち主は相応しくないと進言がでていたが、継続を判断した。その結果がコレだ。

ビクトリア嬢。何故ゼインにリリアンと伯爵の話をした?」

私「……」

陛「答えられない理由なのだな」

私「……私は、」

父「円満解消といたしましょう」

母「あなた!」

父「このことが公になれば不幸をもたらす女として誰からも相手にされなくなってしまう。
男からも女からもだ。

一人は悪魔付きとして教会へ。もう一人は貰い手が無くなって苦行の婚姻となった。
しかもマキシア家は全員死んだ。死神だと呼ばれるぞ」

私「っ!」

父「全く…気を付けろと言ったのに」

私「悪いのは全部あの女じゃない!
殿下の心を惑わせて! 挙句、私の宮で私の婚約者と寝たのよ! なのに何故私が責められるのよ!」

陛「進言は聞くものだな」

父「ビクトリア!」

ゼ「もう一度言うからよく聞け。

嫌がるリリアンに付き纏い続けたのは私だ。
婚約者そなたを気遣いながら抵抗するリリアンを犯したのは私だ。

そうやって矛先を常に間違える。
何故被害者に悪意を向けるんだ?

そしてあの宮は其方の宮ではない。
いつから其方は王族になったのだ?

あれは王子のための宮で、備える物も人も王子の所有物だ。

王妃になって初めて王妃の宮を授かれる。

それとももう王妃気取りか?」

父「国王陛下、ゼイン殿下。娘の不敬をお許しください」

母「申し訳ございません」

私「私は!」

父「黙れ!ビクトリア!
お前が王子妃の器ではないことがよく分かった!
これ以上他人を不幸にするな!」

私「お父様っ」

母「どこで育て方を間違えたのかしら」

私「お母様…」

父「円満解消を発表してください」

陛「そうしよう」


話し合いが終わり、婚約は解消された。

私「卒業パーティは…」

ゼ「エスコートはしない」

私「そんな」

ゼ「卒業生にアンベールがいるだろう。
そして祝いに家族が出席する。
娘を犯したばかりの私が、彼らの前で他の令嬢をエスコートできるとでも?」

父「解消したのだからもう止めなさい」

母「そうよ。今からでも他のご令息にアピールしないと」

何故私が責められるの!?
私はちょっと口にしただけで何もしてないわ!
そもそも何故、あの女と城で会っていたのよ!

私「何故 彼女は城で殿下に会っていたのですか」

陛「ゼインに会いに来たのではない。私に会いに来たのだ。家族旅行の土産を持ってきてくれた。
ちょうど王子宮の庭園が完成したと報告があったところだから見に行かせた」

ゼ「ビクトリア嬢が笑顔で話してくれたリリアンの不幸の話だよ。
彼女はショックが大きくて、夫妻が気分転換に旅に連れて行くことにしたんだ」

陛「可哀想に。彼女は好きだったようで、顔が腫れるほど泣いていたそうだ」

彼女は本当に伯爵が好きだった?
余っている男を物色していたのではなくて?



その後、卒業パーティで円満解消が伝えられた。
後日でも良かったが、何故私がエスコートされないのか会う人達に聞かれ続ける方が酷だと父が判断した。

私は父と、殿下は王妃殿下と、彼女は公爵と。

私はどうしても美しく着飾ったリリアン・バトラーズに矛先を向けずにはいられなかった。

係の隙をみて、端に置いてあったワゴンの中のナイフを手に取った。肉を削ぐ為のものだろう。

そしてバルコニーに出ていた悪女の元へ向かった。



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