【完結】私じゃなくてもいいですね?

ユユ

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エリンの本音

【 エリンの視点 】


平凡な男爵家だった。
お父様は真面目な人で、お母様はおおらかな人だった。
2人は親類の葬儀に向かう途中で崖から馬車ごと落ちて天に召された。

叔父様と叔母様がやってきた。
葬儀後に家令などから財政状況を確認して、最後に私を呼んだ。

ガデュエット伯爵家の養女になれると幸せな気分だった。

『エリン宛だ。読み上げなさい』

『“遺言書

ステファン・プリペルンは、爵位を含む全財産を一人娘エリンに継がせるものとする。
婿を取り、エリンが産んだ子に爵位は継承させる。

ステファン・プリペルン”』

……何これ。

『ステファンは君を愛していた。
だからもしもの時に君が困らないように遺言書を用意していたのだな』

『叔父様の養女には…』

『なれないよ。プリペルン男爵であるステファンの遺言書を遵守しなくてはならない。
財政状況を確認したら問題ないから、君が20歳になるまで国が管理することになる』

その後は管理人の話と、その間の私が使えるお金について聞かされた。

『自立のためのものだから、予算としてお金をもらって、学費や購入品に充てることになる』

は?何それ。

『20歳になるまで、どこで暮らすか選べるわ。
ガデュエット伯爵家うちか、母方の親類か、孤児院か。母方の親類はジョナサン様とオードリー様が承諾なさっているわ』

ジョナサン叔父様達は平民じゃない!
孤児院なんて有り得ない!
茶会やパーティができないじゃない!

『叔父様と叔母様といたいです』

『うちに来るならガデュエット家のルールに従ってもらうし、家庭教師も雇わないとならないわよ?』

『お願いします。グスン』

『では、そのように手続きをしよう』



最初はガデュエット領で過ごしていた。
家庭教師は最安値の人を雇った。
家庭教師まで自腹だと思わなかった。

何をするにもお金がかかる。
成長して服や靴がキツくなると買い替えなくてはならない。
下着などは買ってもらえるのに…。

一歳上のビビアンは何不自由なく生きているのに不公平だ。私の方が可愛いのに!

しかも次期子爵夫人の座が決まってる!?
そんなのズルい!

『叔父様、私、嫡男のお嫁さんになりたいです。子爵家よりも、』

『無理だよエリン』

『え?』

『君は既にプリペルン男爵家を継ぐために国と契約をしてしまった。
管理人が付いてからは変更できない。

君が後遺症の残る大怪我を負ったり、完治しない大病をして継ぐことができなくなるか、貴族でいるには相応しくないと認定されないと、その契約は無効にできない。

認定など貰ったら、裕福な平民にさえ嫁ぐのは難しいだろう』

『そんな…』

『あの契約は国王陛下とエリンの契約だから絶対守らなくてはいけないよ』



その後、ビビアンが学園に入学するためにタウンハウスへ引っ越すことになったので、それについて行くことになった。

華やかな世界が広がっていた。

『叔母様、私もお茶会を開きたいです』

『お茶会を開くにはかなりの費用が掛かるわよ。
普段の食事代とは異なるから、全ての費用をプリペルン家から支給されている予算から払わなくてはならないのよ』

『ビビアンお姉様はやっていたじゃないですか』

『ビビアンはガデュエット家の子だからよ。

エリンはプリペルン男爵家の籍に入ってるから、招待状はプリペルン家の発行だし、主催もプリペルン家になるのよ』

『そんな。お友達を作りたかったのに』

『男爵家に来た招待状で参加するしかないわね』



プリペルン男爵家宛に届く招待状は、イマイチだった。

『この束は、婿入りを狙っていると思われるものだ。
こっちの二通は以前からの親交のある相手だ』

中を見て、子爵家の茶会に出ることにした。

ドレスを急いで注文することにしたのだけど…

『高い』

『凝れば凝るほど高くなるわよ。既製服の中からサイズが合うものをお店に選びに行けば安くなるわよ』

叔母様、そうじゃない。
“買ってあげる”と言って欲しいの!

ビビアンのついでにと言いたくても ビビアンは作ったばかりらしい。

仕方なく叔母様に連れられてお店に来たけど、どれもビビアンが着ているドレスの足元にも及ばない。

どうして私だけ…
私の方が可愛いのに…



お茶会に参加したけど話が全然合わない。
みんな王都での贅沢な暮らしを話題にするからついていけない。

『エリン様はドレスが間に合わなかったのかしら』

『…買ってもらえなくて』

『まあ、意地悪をされているの?』

『駄目だって言われました』

『それはお辛いわね』


全てビビアンのせいにした。



だけど……

『管理人の説明をしてくだされば』

『屋敷に戻って父から詳しく聞きましたの。
国が管理していて 伯爵家は規定に従っているそうではありませんか』

『ガデュエット伯爵家に謝罪をしなくては』

『エリン様、お世話になっている伯爵家を貶めるような話をなさるのは お止めになった方がよろしいですわ。
伯爵家はエリン様を預かる義務はありませんのよ?
貴女からも謝罪をした方がいいですわ』

『そうですわ。感謝すべきところですわよ』


マイスリー公女がバラしたせいで、プリペルン宛に招待状が届かなくなってしまった。

縁談も次々と断られ、残った縁談は難ありの相手だけだった。



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