【完結】初恋の彼に 身代わりの妻に選ばれました

処方

遅い朝食を取るということで夫婦の間の大きなベッドに戻った。シーツ交換も終えていた。

ユベール様の態度が少しおかしい。
初夜の後ならきっと 私の体では満足ができなかったのね。

お慕いしていたのは昔のこと。そう思っていたのに心が痛い。


昨夜は口付けに 重ねる肌に 喜んでしまった。
そして破瓜の痛みで現実に戻った。これは子を成すためのもので他意はない。

焼け付くような痛みの中、ユベール様の抽送が痛みを与え続ける。

直ぐに吐精をしたのに、今度は深く激しく突き立てた。

痛い！早く終わって！と枕を握りしめて かたく目を閉じた。

やっと終わったと思ったら抱きしめられて眠ることになった。そういう癖なのだろう。



「まだ痛むのか」

「あ、いえ。お薬をいただきましたので」

いけない。昨夜のことを思い出していて聞いていなかった。

「……無理を強いてすまなかった。
今日はゆっくり横になって体を休めてくれ。
後で主治医が来るから診察を受けて欲しい」

「かしこまりました」



食事を終えた一時間後に医師が診察をした。

「塗り薬を塗りますよ」

そう言って秘部に何かを塗った。入口と中にも。

「痛み止めも含んだ塗り薬です。
朝晩に塗ってください」

「分かりました」



医師が帰った後はゆっくりとしていた。

ティータイムにユベール様が来てお茶を飲みながら話をして、また夕食時にやってきて一緒夕食をとった。

湯浴みの後、ユベール様がやってきた。

今夜もかと ちょっと怖くなった。

寝巻きの裾をたくし上げて脚を開かせた。
すると塗り薬を手に取った。
入口辺りを優しく撫でるように塗り、中にもゆっくりと奥まで塗り込んでくれた。

「ありがとうございます」

「私のせいで すまない」

そう言って洗面室へ向かった。手を洗いに行ったのだろう。少しすると戻ってきて同じベッドで寝た。

一緒に寝る必要などないのに。


翌朝も朝食後に優しく塗ってくれた。



私は特にすることもない。
ドレスを作ると言われたけど、ラザール様が買ってくださったドレスや宝石がたくさんあったし、社交の予定は無いから要らないと答えた。


本を読んだり刺繍をしたりして時間を潰す。
そして時々散歩をしてユベール様と食事をとるだけの生活だった。



だけど変わったことは一つ。

「リゼット、それじゃ薬が塗れないだろう」

「じ、自分で塗ります」

「その指で？ 届かないだろう」

「っ！」

何日も塗られる間に私の膣内ナカは変わってしまった。
あんなに痛かったのに少しずつ気持ちいいと感じるようになってしまった。

朝晩塗るために長くて節だった指を挿入されて、私の身体は熱を帯びてしまった。

治療のために塗っているだけなのに…。
バレたら 痴女だとか はしたないとか 淫乱とか言われてしまうかもしれない。

身代わりに娶った私が図々しくもユベール様の指で快楽を得ていると知ったら気持ち悪いと思われてしまうかもしれない。


初夜から１０日経って、お医者様に聞いてみた。

「あの、もう塗り薬は必要無いと思うのですが」

「……」

「先生？」

「あ、それは…ひ、非常にデリケートで大事な場所ですので念には念を…」

そうよね、ガルザック家の血を残さなくてはならない身体だものね。

「ではいつまででしょうか」

「…あ、あと、い…、に…、さ…、い……一カ月」

どうしてユベール様をチラチラ見ながら答えるのかしら。ユベール様が付けた傷だから？

「そんなにですか！？」

「私達は素人だ。先生の言うことに従わないと」

「ぬ、塗り薬を変えましょう」

「次はどのような薬ですか」

「え？」

「お薬を変えるのですよね？」

「あ、はいっ。 今までの薬は炎症を防ぐものでした。今日からは修復のための薬です……少し熱さを感じるかもしれません」

熱さ！？

「火傷をするのですか」

「そんなまさか。そういう熱さではございません。
朝はこちら、夜はこちらをお使いください」

「何の違いがあるのですか」

「え？」

「今日から違う薬に変わって、二種類に増えるのですよね？」

「え～、夜は修復、朝は………保湿！保湿です」

大丈夫かしら、このお医者様。

「分かりましたわ」