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ユベール/離縁

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【 ユベールの視点 】


初夜を終えた後、孕みやすい日を重点的に出来るだけ閨の日を作った。

手間のかからないように潤滑油を使った。
最初だけは少し入念に解さなくてはならなかった。

この女は早速ガルザック邸の使用人達から嫌われた。傲慢で使用人達を人として扱わない。

食べ物にも指示を出し、あれこれと買いたがる。

そんな女に良くしてやろうなどと思わないが 多少は解さないとならないので最低限の前戯はする。

灯りは消して月明かりと、洗面室からもれる灯りで暗闇ではない。

リゼットと髪の色と瞳の色を思い出して勃たせた。


本人は、愛されてると感じたようで、寵愛を得た夫人気取りだ。

だが、口付けをせがまれても“好きな行為ではない”と断った。

社交は王家主催のものだけエスコートした。


ドレスを作りたいと言えば、“王家の招待で着るドレスを予算内で作ることは認めるが、それ以外は持参金から取り崩すように” と伝えた。

一部屋ベルティーユのドレスなどで埋まっていたからだ。


早く産ませて離縁しようと思ったのに、ラザール殿下の死去を伝える号外が出るまで、ベルティーユは孕まなかった。


私は離縁を申し出た。

「三年経っても孕まなかったから離縁をする」

「そんな!」

「跡継ぎを産むのは夫人の役目だろう」

「っ! でしたら、不妊に効く薬湯を飲んで、」

「もう結構だ。特に役立ってもないし、婚姻を継続する意味がない」

「嫌ですわ!」


離縁までに半年かかった。
その間に夜這いに現れるベルティーユを何度も追い払った。

妊娠しなかったのには理由があった。

離縁に向けて揉めているときに、男の使用人が話があると私の部屋に来た。

机の上に置いたのは箱だ。
中には空いた小瓶がたくさん入っていた。

「これは?」

「避妊薬の空き瓶です」

こんなに?

「誰の物か分かるか」

「ベルティーユ様かと。

これはゴミ箱から回収した物です。
侯爵様がお使いになるなら、ゴミ箱に捨てずメイドが回収します。

瓶の形からすると貴族向けの薬です。
使用人はこんなにたくさん買うお金はありません。
我々は成功度は落ちますが安価の薬を飲みます」


ベルティーユをビビオナード邸に連れて行き、侯爵夫妻とベルティーユの前に箱を置いた。

「ベルティーユの飲んだ避妊薬の空き瓶です」

後は使用人の言った通りに説明した。

「わ、私じゃないわ!」

「消去法でいくと、使用したのはベルティーユです。否定なさるなら徹底的に調査をします。その代わり公表しますよ」

「ベルティーユ、正直に言いなさい。これは重大な契約違反なんだぞ」

「っ!」

「では、調査を、」

「私が飲みました」

「ベルティーユ!どうしてなの!」

「産みたくないならそう言えばいいじゃないか!」

「理由を聞かせてください」

「だって、妊娠が判れば閨事は無くなるもの」

「ベルティーユ。これは夫や婚家対する裏切りです。荷物は追って送ります」

「嫌よ!別れなくない!」

「貴族調停をたてますか? 慰謝料も請求しますよ?」

「どうか、穏便に。婚姻の解消ということにしていただけませんか」

「では、荷物と一緒に書類を送ります。
離縁届と誓約書に署名して送り返してください。
ベルティーユ。次にどこかで会ったら互いに家名で呼びましょう。では」

「ユベール様!!」








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