【完結】双子の公子様に執着された貧乏モブ令嬢になりました

ユユ

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いざ!学園へ!

豪華な馬車をアレン様とエヴァン様が先に降り、私に手を差し伸べた。
通学馬車の停留所はざわつき、視線を一箇所に集めていた。そう、私達だ。

目をハートにした令嬢達の奇声さえずり。不相応な私を射殺す目。

「自分で降ります」

「私達に恥をかかせるつもりなんだな?」

「ありがとうございます〈明日は先に降りるか反対側から勝手に降りよう〉」

「…メイ。これは基本的なマナーなんだよ。女性を一人で降ろしたら、僕達は白い目で見られてしまうんだ。君は今 使用人じゃない。学園に通う令嬢なんだよ」

「そうでした〈裏口入学だけどね〉」

「「ククッ」」

「何か?」

「「何でもない」」

降りて、職員の誘導に従って歩くと早速。

「カルデック公子様、お久しぶりです。私、4年前にお茶会でお会いした、」

「覚えていない」

「私用で話しかけないでね」

「……」

「メイ、行くぞ」

「あ、はい」

あ…敵認定された気がする。今日1日で何人から認定を受けるのかな。

講堂の入り口で名前を告げると他の生徒とは違い案内を付けられた。
1番前の真ん中の席だ。逆に見え難くなるんだけど。

「あら、アレン様、エヴァン様、ご機嫌よう」

「セレス様、ご機嫌よう」

「セレス様、お久しぶりです」

双子の対応からすると身分が高いか友人?

「…そちらのお嬢さんは?見ない顔ですわね」

「私達の友人で、父上が監視役に彼女にお願いしたのです。メイといいます」

「私はジブランシュ公爵家のセレス。あなたは?」

「モヴィー男爵家のメイと申します、公女様」

「男爵家?」

「はい」

「そう」

「メイ、寒くないか」

「少し」

「これを掛けていろ」

「駄目です!叱られます!」

「私が叱られてもメイが風邪をひかないならそれでいい。そもそも王族も入学するというのに会場が寒いことが問題だ。咎められるべきは学園だろう」

「でも、アレン様が風邪をひいてしまいます」

「そうしたらメイが看病してくれたらいい。
またココアにシナモンを振り入れて飲ませてくれ」

「いいな、僕も風邪ひこうかな。食事を食べさせてくれるよね?」

「しないと思います」

「うつしたら僕が付きっきりで看病するから」

「うつさないでください」

「まさか、モヴィー嬢はカルデック邸に滞在なさっているの!?」

「そうですよ、メイと暮らして数ヶ月経ちました。
会った時から意気投合して父上達もメイを娘のように可愛がっていますよ」

「……」

そんなバカな…といった驚愕の顔を見せた後は私の顔をじっと見つめている。
美人に見つめられるのは光栄だけど、目が怖い。

「セレス様、不躾ですよ」

「メイは私達の庇護下にいます。それなりの対応をお願いします」

「あら、失礼しました。可愛らしくてつい。許してくださるかしら」

「お美しい公女様に見つめていただけて光栄です」

「…アレン様、席を替わりませんこと」

「嫌です」

「エヴァン様」

「嫌です」

「モヴィー嬢、これあげるわ」

「ありがとうございます!〈目が怖いなんて思ってごめんなさい。美人から綺麗な色の飴をもらえるなんて嬉しい〉」

「はぁ…メイは美人に目がないからな」

「僕達より美しい男にうつつを抜かし、今会ったばかりの美人のセレス様に尻尾を振って…先が思いやられるよ」


「あれ?」

声の主に双子達は立とうとしたが、立つなと手で合図された。

「おはよう。ここは学園だからね。そこまでかしこまることはない。…アレンとエヴァンの間に小さな子がいるぞ?…姉君の制服を借りてきたのかな?」

し、失礼なっ!

「止めてください、失礼ですよ。
この子はうちの子です」

「は?妹?養女か…まさか婚外子」

「違います。彼女は私達と同じ歳です。名はメイ・モヴィー。男爵家の子ですが、カルデックの庇護下にあります」

「メイ、このお方はニコラ第五王子殿下だよ」

あ、関わっちゃ駄目だ。大体王子に関わると虐められるの確定だからね。

「初めまして。おはようございます」

会釈をして前を向いた。

「メイ?」

「はい」

「王子様には興味ない?」

「ご本人の前でそれ言います?」

「良い子だメイ」

「偉いぞメイ」

「うふふっ、私は合格しましたわよ。ね、メイ」

ニコッ

「な、何なんだこの敗北感は…」

「後で私の婚約者に紹介するわね」

「滅相もございません」

「嫌なの?」

「公女様の婚約者は身分の高い方のはずですから、私のような者を紹介されても困ると思います」

「分かったわ。でも会ってしまったら挨拶してね」

「はい、公女様」

「セレスって呼んでちょうだい」

「はい、セレス様〈良い匂いしそう…セレス様に抱き付いてセレス吸いしてみたい〉」

「「??」」

「酷いな。私だけ仲間外れか」

「ニコラ殿下、おはようございます」

セレス様ほどではないけど綺麗な令嬢が王子に声をかけた。

「おはよう、カレン嬢」

「あ…私の席……あなた譲ってくださる?」

今日男爵令嬢ヒロインに会えるのかな。あれ?名前聞いてたっけ。庶子だよね。でも顔に書いてあるわけじゃないしどうやってヒロインだって見抜けばいいの?あなた庶子ですか?なんて聞いて回れないし。
ヒロインだから見れば分かる的なやつかな。後光がさしているとか発光して見えるとか。まあ、すごい可愛いんだろうな。

「あなたに言っているのよ!」

「はい?」 

赤茶色の髪と瞳の女生徒が私の前に立って指をさした。

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