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休息
フーっ フーっ
「美味しい!」
「良かった」
顆粒だしを少し入れたたまご粥に 野菜の塩漬けを細かく切ったものを乗せて食べさせられた。
フーフーしてくれているのはアレン様だ。自分で食べると言ったけど、スプーンを渡してくれず、食べさせてくれている。
エヴァン様はその隙に、天日干しのためバルコニーに椅子を出してウサギのぬいぐるみを座らせてくれた。
パン粥を作ると言われ拒否。だってお米があるんだもん。作り方を伝えて作ってもらった。
食べ終えると薬を飲まされて、横になった。
ウサギのぬいぐるみがいない。
バルコニーを見つめるとアレン様がベッドに入ってきた。
「な、何ですか!?」
「寂しいんだろう?」
「感染しますよ」
「喜んで」
「もう」
「ほら、熱が上がるから大人しく寝てくれ」
「あ~ずるい!」
反対側にエヴァン様が潜り込んだ。
〈双子に挟まれて寝れるのかな…〉
グゥ
【 エヴァンの視点 】
メイは熱があった。体が怠く寒気があったらしい。
学園食堂から教室に戻る途中にめまいを起こして倒れた。
神様に嫉妬してギクシャクしていたアレンは、メイが死んだかのような慌てようで、抱き上げ医務室へ運んだ。
熱が高めだと言われて僕達3人は屋敷に戻った。
医者が来るまでに意識を取り戻したメイは、覚えていなかった。
「え?倒れたのですか?…ごめんなさい」
「具合が悪いときは言わないと」
「倒れて打ちどころが悪かったら死ぬぞ」
「……」
「アレンなんか、この世の終わりみたいな顔をして、メイを医務室へ運んだんだよ。すごく心配したんだ」
「エヴァンは泣いていたじゃないか」
「あれは余分な水分が目から出てきたんだよ」
「心配してくださったのですね。ありがとうございます。
今日は寒い日なんだと勘違いしていました。まさか熱があるとは」
「「まったく!」」
「うさちゃん?」
「うさぎは診察があるからソファに座っているよ」
よっぽど気に入ったんだな。
ハイクオリティのサファイアを選んで良かった。サイズも大きいから高めだった。メイに知られないように使用人やオーロラ商会の者には口止めをした。
医者が診察問診をした結果。
「疲れと環境の変化が病気を跳ね除ける力を弱めたのでしょう。以前は栄養不足の生活環境の中にいたようですし、まだ細いですから罹りやすいのかもしれません。元気だと思っても、ちゃんと休む日を使ってあげないといけません。体を壊しては意味がありません。勉強も休む日にはさせないようにしてください。心も体も休ませるのです」
「風邪ということですか?」
「はい。王宮でも風邪に罹った方が複数人出ていると聞いております」
「「「 あっ… 」」」
メイの心の声が聞こえてくる。
〈あいつ、公務じゃなくて風邪だな〉
王子殿下をあいつ呼ばわりしている。
その後、パン粥でも用意しようかと言ったら、メイは食べたくないと言い出した。
「駄目だよ。食べないと治らないよ?」
「お粥が食べたい」
「だからパン粥を、」
「ソランさんを呼んでください」
「メイ?」
「ソランさんを呼んで」
ソランを呼び、何やら作り方を教えていた。
「お米の研ぎ方は分かりました」
「お粥はものすごく増えるから、お米は少しでいいの。お水は7~8倍ね。吹きこぼれを注意して」
「分かりました」
「出来上がったら顆粒だしを少し入れて、器で生卵をといて回し入れて。少し蓋をして熱を通すだけでいいの」
「分かりました」
「炊ける間に、胡瓜を薄切りにして…」
メイは野菜の塩漬けの作り方を説明した後、お茶とすりおろし生姜と蜂蜜を注文した。
メイドが持ってくると混ぜて飲んでいた。
試しに飲んでみたら美味しかった。
〈昆布いるなぁ。梅干しも海苔も味醂も欲しいな。
夢の中にファラルたん出てこないかな〉
彼女の欲しがる物で僕達は改めてメイとの距離を感じる。僕達は公爵家の息子で金もコネもある。メイを迎えたときは何でも与えてあげられると思っていた。だけど今の僕達は無力感に襲われている。
特にアレンは本気で神に嫉妬までしている。独占欲 支配欲、ずっと他人に無関心だったアレンにそんな欲を湧き立たせる。公爵家で過ごすにつれ 元々可愛かったメイは更に綺麗に可愛くなっていく。
たまご粥が出来上がり運ばれると、とても熱いものだとメイは言った。
アレンがスプーンで掬いフーフーと冷ましている。
おかわりするほど口に合うようだ。
うさぎのぬいぐるみの代わりに、僕達がメイの添い寝をした。
寝れるのかななどと言っていたのに、お腹を優しくトントンすると直ぐに寝た。
僕達は顔を見合わせながら笑うのを堪えた。
「ああ…厨房 予約していたのに」
「駄目ですよメイ様」
翌朝、たまご粥を食べた後、思い出したかのように口にした。
ソランは何のことか分かっているようで、うさぎに話しかけた。
「うさぎ様。メイ様が大人しく寝ていない場合は、あなたに責任をとってもらいますよ」
「お、鬼!」
「オニ?なんですかそれは」
「筋肉ムキムキの怪力で無慈悲な生き物です」
「ご希望ですか?」
「び、病気なのに」
「そうですね。だから厨房は駄目です」
「…はい」
ソランは適任だったな。
「美味しい!」
「良かった」
顆粒だしを少し入れたたまご粥に 野菜の塩漬けを細かく切ったものを乗せて食べさせられた。
フーフーしてくれているのはアレン様だ。自分で食べると言ったけど、スプーンを渡してくれず、食べさせてくれている。
エヴァン様はその隙に、天日干しのためバルコニーに椅子を出してウサギのぬいぐるみを座らせてくれた。
パン粥を作ると言われ拒否。だってお米があるんだもん。作り方を伝えて作ってもらった。
食べ終えると薬を飲まされて、横になった。
ウサギのぬいぐるみがいない。
バルコニーを見つめるとアレン様がベッドに入ってきた。
「な、何ですか!?」
「寂しいんだろう?」
「感染しますよ」
「喜んで」
「もう」
「ほら、熱が上がるから大人しく寝てくれ」
「あ~ずるい!」
反対側にエヴァン様が潜り込んだ。
〈双子に挟まれて寝れるのかな…〉
グゥ
【 エヴァンの視点 】
メイは熱があった。体が怠く寒気があったらしい。
学園食堂から教室に戻る途中にめまいを起こして倒れた。
神様に嫉妬してギクシャクしていたアレンは、メイが死んだかのような慌てようで、抱き上げ医務室へ運んだ。
熱が高めだと言われて僕達3人は屋敷に戻った。
医者が来るまでに意識を取り戻したメイは、覚えていなかった。
「え?倒れたのですか?…ごめんなさい」
「具合が悪いときは言わないと」
「倒れて打ちどころが悪かったら死ぬぞ」
「……」
「アレンなんか、この世の終わりみたいな顔をして、メイを医務室へ運んだんだよ。すごく心配したんだ」
「エヴァンは泣いていたじゃないか」
「あれは余分な水分が目から出てきたんだよ」
「心配してくださったのですね。ありがとうございます。
今日は寒い日なんだと勘違いしていました。まさか熱があるとは」
「「まったく!」」
「うさちゃん?」
「うさぎは診察があるからソファに座っているよ」
よっぽど気に入ったんだな。
ハイクオリティのサファイアを選んで良かった。サイズも大きいから高めだった。メイに知られないように使用人やオーロラ商会の者には口止めをした。
医者が診察問診をした結果。
「疲れと環境の変化が病気を跳ね除ける力を弱めたのでしょう。以前は栄養不足の生活環境の中にいたようですし、まだ細いですから罹りやすいのかもしれません。元気だと思っても、ちゃんと休む日を使ってあげないといけません。体を壊しては意味がありません。勉強も休む日にはさせないようにしてください。心も体も休ませるのです」
「風邪ということですか?」
「はい。王宮でも風邪に罹った方が複数人出ていると聞いております」
「「「 あっ… 」」」
メイの心の声が聞こえてくる。
〈あいつ、公務じゃなくて風邪だな〉
王子殿下をあいつ呼ばわりしている。
その後、パン粥でも用意しようかと言ったら、メイは食べたくないと言い出した。
「駄目だよ。食べないと治らないよ?」
「お粥が食べたい」
「だからパン粥を、」
「ソランさんを呼んでください」
「メイ?」
「ソランさんを呼んで」
ソランを呼び、何やら作り方を教えていた。
「お米の研ぎ方は分かりました」
「お粥はものすごく増えるから、お米は少しでいいの。お水は7~8倍ね。吹きこぼれを注意して」
「分かりました」
「出来上がったら顆粒だしを少し入れて、器で生卵をといて回し入れて。少し蓋をして熱を通すだけでいいの」
「分かりました」
「炊ける間に、胡瓜を薄切りにして…」
メイは野菜の塩漬けの作り方を説明した後、お茶とすりおろし生姜と蜂蜜を注文した。
メイドが持ってくると混ぜて飲んでいた。
試しに飲んでみたら美味しかった。
〈昆布いるなぁ。梅干しも海苔も味醂も欲しいな。
夢の中にファラルたん出てこないかな〉
彼女の欲しがる物で僕達は改めてメイとの距離を感じる。僕達は公爵家の息子で金もコネもある。メイを迎えたときは何でも与えてあげられると思っていた。だけど今の僕達は無力感に襲われている。
特にアレンは本気で神に嫉妬までしている。独占欲 支配欲、ずっと他人に無関心だったアレンにそんな欲を湧き立たせる。公爵家で過ごすにつれ 元々可愛かったメイは更に綺麗に可愛くなっていく。
たまご粥が出来上がり運ばれると、とても熱いものだとメイは言った。
アレンがスプーンで掬いフーフーと冷ましている。
おかわりするほど口に合うようだ。
うさぎのぬいぐるみの代わりに、僕達がメイの添い寝をした。
寝れるのかななどと言っていたのに、お腹を優しくトントンすると直ぐに寝た。
僕達は顔を見合わせながら笑うのを堪えた。
「ああ…厨房 予約していたのに」
「駄目ですよメイ様」
翌朝、たまご粥を食べた後、思い出したかのように口にした。
ソランは何のことか分かっているようで、うさぎに話しかけた。
「うさぎ様。メイ様が大人しく寝ていない場合は、あなたに責任をとってもらいますよ」
「お、鬼!」
「オニ?なんですかそれは」
「筋肉ムキムキの怪力で無慈悲な生き物です」
「ご希望ですか?」
「び、病気なのに」
「そうですね。だから厨房は駄目です」
「…はい」
ソランは適任だったな。
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