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攻防
【 シエナの視点 】
「シエナにね、カルデック公爵家から打診があったの。
あの家には双子の男の子がいて、あなたと同い歳よ。
とても気難しくて有名で第五王子ニコラ殿下の友人として知られているわ。ニコラ殿下も相当気難しいと有名なのだけど。
双子の弟エヴァン公子のお嫁さんを探しているの。条件は白い結婚と次期公爵夫人の仕事を請け負うことよ。そして沈黙を守ること。
一緒に暮らすことにはなるけど、閨事は無いし当然子も産まなくていいの。仕事があるから暇にはならないわ。
会うだけ会ってみる?駄目なら修道院を探してあげる」
「分かりました」
その後、カルデック邸を訪れて面談をした。
双子は本当に瓜二つで美しく中性的だった。若干長男アレン公子の方が筋肉が付いているように見えた。
双子は前評判通り気難しそうだけど、間にいる令嬢に対しては別人のように接した。
幼い時のことを話すと、双子は顔を見合わせた。
「どうする?」
「このくらいはいいだろう」
双子のこの会話を、私が穢れているからどうするかという相談だと思っていた。
最終決定はメイ様に一任された。
無事に契約を結び、近々婚約パーティーを開くことになった。
帰る際、馬車に乗り込むと、弟エヴァン公子がドアを開けた。
「シエナ嬢。僕達は嘘に敏感だ。今日の嘘は許すが、僕達に二度と嘘は言わないように。真実を言えないなら言えないと言ってくれたら、聞かなくてもいいことなら追求しない。
あと、僕達に接し方を教えてくれたらその通りに気を付ける。遠慮なく言ってくれ」
それだけ言ってドアを閉めてメイ様の隣に戻った。
「お母様、彼らが気難しいと呼ばれる理由が分かりましたわ。知りたくもない嘘を見抜いて傷付いてしまうのです。お父様から事件のことを話に行ってもらえませんか。その上でやっぱり止めるということなら構いません。とにかく、双子に嘘はつかないようお願いします」
即日、お父様がカルデック邸に行き、本当のことを話した。双子の返事は“契約を守り、メイを大事にするならカルデックが君を守る”というものだった。
「ううっ…」
「良かったわね、シエナ」
「シエナ、くれぐれもメイ嬢を敵に回すな。
私が訪問したときにはニコラ王子が遊びに来ていた。殿下は約束なく来るらしく、どちらかというとメイ嬢に会いに来ている。学園時代から続いているようだから、王家公認ということだ」
「はい。肝に銘じます」
婚約パーティーは終始双子とメイ様が盾のようになってくれて、パニックになるようなことはなかった。私に近寄る異性がいると、サッと間にメイ様が入り、双子のどちらかがメイ様の前に立つ。本当に嬉しかった。
結婚していきなり同居だと不安なので婚約期間中にカルデック邸に頻繁に出入りして慣らした。
メイ様と一緒に公爵夫人から教育を受けたりもした。
メイ様はどちらかというとアレン公子によく甘えている。双子はメイ様を溺愛しているし、メイ様も双子が大好きみたい。だけどどちらかというとアレン公子なのだと分かる。
表向きはアレン公子とメイ様、エヴァン公子と私。
だけど実際は双子とメイ様なのだ。
そのメイ様は極端な才能を見せる。まだ聴いたことはないけどピアノの演奏が素晴らしいみたい。数学は教師かそれ以上、外国語は世界一と言われるレベルなのに母国語は並。他のことも並かそれ以下。
基本面倒臭がりでゴロゴロしているのが好き。
だけど異国の食文化の虜になっていて、珍しい調味料を揃えて料理をする。
双子はメイ様の料理について 美味しいと思うものとそうでないものに分かれるらしいから、日常は料理人の作った普通の食事をとる。
だけどニコラ殿下はメイ様と味覚が合うらしく頻繁に食べに現れる。
実は私もメイ様の料理が好きだ。
結婚式の2ヶ月前に王太子夫妻が訪ねていらした。
メイ様のピアノが聴きたいと言いながらメイ様に何かを手渡された。
メイ様は大喜びで三曲奏でた。
私は感動して涙が止まらなかった。あの日我慢をした心の痛みが一気に押し寄せたような気がした。
三曲目が終わる頃にはエヴァン公子に背中を摩ってもらっていた。
怖くない。鳥肌も立たない。
世界が眩しく見えた。
曲を弾き終えたメイ様は私の元へ来て抱きしめてくれた。
「大丈夫。私達が守ってあげるわ」
私は多分恋に落ちた。
だからすぐに双子から尋問を受けた。
「分かっているとは思うけど、メイは私達のものだ」
「はい。ですが、メイ様に惚れてはならないという条項はありません。
私は私なりにメイ様と仲良くなります」
「「チッ」」
相変わらず双子は優しくしてくれるけど、メイ様の隣を譲らなくなった。
そしてニコラ殿下も察したようで、メイ様からの寵愛争いをして楽しんでいる。
「メイ様、私の膝の上もいかがですか」
「シエナ様の膝の上に乗ったら折れるかすぐに痺れちゃいますよ」
「私も殿方にうまれたらメイ様の婚約者になれましたのに」
「「無理だな」」
「何言ってるんだ」
「だって、私が男だったら美男子ですよ?」
「私達だって美男子だ」
「私の方が美男子だ……いや、セレスが一番だな」
「確かにセレス嬢が男なら僕達は太刀打ち出来ませんね」
そしてセレス様に会って嫉妬した。
メイ様の瞳はキラキラと輝いてセレス公女と相思相愛という雰囲気だったから。
だけどセレス公女は結婚したら頻繁に会えない。
だって、ニコラ殿下と婚約したから。
セレス公女の婚約者が流行病で亡くなったのは、セレス公女達の卒業後。どんどん熱が上がって脳が耐えられなかったらしい。
良好な婚約関係だったのでショックが大きかったとか。
最近王家からの打診を受けて婚約が公になった。
結局は一緒に暮らす同性の私が有利だと思っている。
「シエナにね、カルデック公爵家から打診があったの。
あの家には双子の男の子がいて、あなたと同い歳よ。
とても気難しくて有名で第五王子ニコラ殿下の友人として知られているわ。ニコラ殿下も相当気難しいと有名なのだけど。
双子の弟エヴァン公子のお嫁さんを探しているの。条件は白い結婚と次期公爵夫人の仕事を請け負うことよ。そして沈黙を守ること。
一緒に暮らすことにはなるけど、閨事は無いし当然子も産まなくていいの。仕事があるから暇にはならないわ。
会うだけ会ってみる?駄目なら修道院を探してあげる」
「分かりました」
その後、カルデック邸を訪れて面談をした。
双子は本当に瓜二つで美しく中性的だった。若干長男アレン公子の方が筋肉が付いているように見えた。
双子は前評判通り気難しそうだけど、間にいる令嬢に対しては別人のように接した。
幼い時のことを話すと、双子は顔を見合わせた。
「どうする?」
「このくらいはいいだろう」
双子のこの会話を、私が穢れているからどうするかという相談だと思っていた。
最終決定はメイ様に一任された。
無事に契約を結び、近々婚約パーティーを開くことになった。
帰る際、馬車に乗り込むと、弟エヴァン公子がドアを開けた。
「シエナ嬢。僕達は嘘に敏感だ。今日の嘘は許すが、僕達に二度と嘘は言わないように。真実を言えないなら言えないと言ってくれたら、聞かなくてもいいことなら追求しない。
あと、僕達に接し方を教えてくれたらその通りに気を付ける。遠慮なく言ってくれ」
それだけ言ってドアを閉めてメイ様の隣に戻った。
「お母様、彼らが気難しいと呼ばれる理由が分かりましたわ。知りたくもない嘘を見抜いて傷付いてしまうのです。お父様から事件のことを話に行ってもらえませんか。その上でやっぱり止めるということなら構いません。とにかく、双子に嘘はつかないようお願いします」
即日、お父様がカルデック邸に行き、本当のことを話した。双子の返事は“契約を守り、メイを大事にするならカルデックが君を守る”というものだった。
「ううっ…」
「良かったわね、シエナ」
「シエナ、くれぐれもメイ嬢を敵に回すな。
私が訪問したときにはニコラ王子が遊びに来ていた。殿下は約束なく来るらしく、どちらかというとメイ嬢に会いに来ている。学園時代から続いているようだから、王家公認ということだ」
「はい。肝に銘じます」
婚約パーティーは終始双子とメイ様が盾のようになってくれて、パニックになるようなことはなかった。私に近寄る異性がいると、サッと間にメイ様が入り、双子のどちらかがメイ様の前に立つ。本当に嬉しかった。
結婚していきなり同居だと不安なので婚約期間中にカルデック邸に頻繁に出入りして慣らした。
メイ様と一緒に公爵夫人から教育を受けたりもした。
メイ様はどちらかというとアレン公子によく甘えている。双子はメイ様を溺愛しているし、メイ様も双子が大好きみたい。だけどどちらかというとアレン公子なのだと分かる。
表向きはアレン公子とメイ様、エヴァン公子と私。
だけど実際は双子とメイ様なのだ。
そのメイ様は極端な才能を見せる。まだ聴いたことはないけどピアノの演奏が素晴らしいみたい。数学は教師かそれ以上、外国語は世界一と言われるレベルなのに母国語は並。他のことも並かそれ以下。
基本面倒臭がりでゴロゴロしているのが好き。
だけど異国の食文化の虜になっていて、珍しい調味料を揃えて料理をする。
双子はメイ様の料理について 美味しいと思うものとそうでないものに分かれるらしいから、日常は料理人の作った普通の食事をとる。
だけどニコラ殿下はメイ様と味覚が合うらしく頻繁に食べに現れる。
実は私もメイ様の料理が好きだ。
結婚式の2ヶ月前に王太子夫妻が訪ねていらした。
メイ様のピアノが聴きたいと言いながらメイ様に何かを手渡された。
メイ様は大喜びで三曲奏でた。
私は感動して涙が止まらなかった。あの日我慢をした心の痛みが一気に押し寄せたような気がした。
三曲目が終わる頃にはエヴァン公子に背中を摩ってもらっていた。
怖くない。鳥肌も立たない。
世界が眩しく見えた。
曲を弾き終えたメイ様は私の元へ来て抱きしめてくれた。
「大丈夫。私達が守ってあげるわ」
私は多分恋に落ちた。
だからすぐに双子から尋問を受けた。
「分かっているとは思うけど、メイは私達のものだ」
「はい。ですが、メイ様に惚れてはならないという条項はありません。
私は私なりにメイ様と仲良くなります」
「「チッ」」
相変わらず双子は優しくしてくれるけど、メイ様の隣を譲らなくなった。
そしてニコラ殿下も察したようで、メイ様からの寵愛争いをして楽しんでいる。
「メイ様、私の膝の上もいかがですか」
「シエナ様の膝の上に乗ったら折れるかすぐに痺れちゃいますよ」
「私も殿方にうまれたらメイ様の婚約者になれましたのに」
「「無理だな」」
「何言ってるんだ」
「だって、私が男だったら美男子ですよ?」
「私達だって美男子だ」
「私の方が美男子だ……いや、セレスが一番だな」
「確かにセレス嬢が男なら僕達は太刀打ち出来ませんね」
そしてセレス様に会って嫉妬した。
メイ様の瞳はキラキラと輝いてセレス公女と相思相愛という雰囲気だったから。
だけどセレス公女は結婚したら頻繁に会えない。
だって、ニコラ殿下と婚約したから。
セレス公女の婚約者が流行病で亡くなったのは、セレス公女達の卒業後。どんどん熱が上がって脳が耐えられなかったらしい。
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