17 / 18
後悔
しおりを挟む
【 アラン王子の視点 】
パーティは中止となり、居間のソファで母上は横になり侍女が扇子であおいでいる。
父上はグラスの酒を一気に飲み干した。
「アラン、床に座れ」
「はい」
「今夜改めて聴取のために側近達の屋敷に調査官を派遣するが、結果は変わらぬどころか酷くなるだろう。それはエリンを虐げた過去を遡って側近達に証言されてしまうからだ。しかも伯爵は出版と言っていた。手記が出版できるほどのものなら、おまえがエリンにやらかしたのは一件や二件ではなく何十件とあるということだ。
はぁ……。12年間かけて悪化したと世に証明してしまった。金をかけて最高の環境下で教育を受けたおまえがだ。そんな愚か者が治める国の末路がわかるか?悪政を重ね困窮させた結果、王族狩りが始まる。もしくは領主達が一斉に独立宣言をして帝国の傘下に入り、王都から人が逃げ出すだろう」
「独立?そんなこと…できるわけが、」
「できる。1つ2つなら他の領主達に応援要請をして制圧できるが、全員もしくは多数の領主が一斉に事を起こせば惨敗だ。国で雇っている兵士は残って王族を守ると思うか?尊敬されない王族を守る者は少ないだろう。多くの者が故郷や縁のある領地へ駆け込む。そのまま相手の戦力に変わるんだぞ。
強制的に独立された後はどうなると思う?王都は狙われやすくなり犯罪が蔓延り、更に閑散とする。王都は独立した領主達に囲まれた土地になるから、人が通るにも物を運ぶにも多額の通行税を課せられる。例えば野菜売りが王都に入るのに金貨を何枚も払わなくてはならなかったら、トマト1つがいくらになってしまうか。売れるならいいが売れなければ食べ物は傷んで無駄になるし金も回収できないから売りに来なくなる。王宮は領主からの収入がなくなるから、今ある資金で食糧を調達しなくてはならない。王都だけ尋常じゃない物価高になったなら資金が底をつくのはあっという間だろう。
食糧も薬も何もかも届かない。王都は餓死か病死か殺された者達の腐乱死体がそこら中に溢れかえり、王宮内ももれなく飢餓に苦しむことになる。伝染病も蔓延して死の都となる。その最後の国王がアランだということだ。このままだとな。
馬鹿なことをしてくれたものだ。いつか大人になると信じていたのにこんなことをしでかしおって。あれだけ多くの貴族達の前で自白したらどうしようもない。アラン、廃嫡だ」
「父上!?」
「もう1人側妃を娶らなければ」
「父上っ!」
「王子が1人だけになったんだ。最低でももう1人産ませないと。これは義務だからな」
母上は蒼白だ。
「父上、本気じゃありませんよね?」
「驚く顔が見たくて おまえのように騙していると?おまえと違ってそんなことはしない。
後の処理はこちらでやる。おまえは自分の部屋に戻り外に出るな、謹慎だ」
「父上、もう一度チャンスをください!今度は馬鹿なことはせず将来良き王となるよう気を引き締めます!」
「チャンス?何度もやっただろう。もう国王であっても回避はできん。
誰か、アランを連れて行け。部屋から絶対に出すな」
兵士に囲まれ部屋に戻された。部屋の入り口には兵士が立ち、そのまま何日も閉じ込められた。
3週間後、メイドが何人も入ってきて引き出しなどを開けて物を箱や鞄に詰め始めた。
「勝手に触るな!止めろ!」
止めようとしても兵士達に押さえられてどうすることもできない。
次に入室したのは執行官だった。腕章は紫、つまり王族に処罰を執行させる者だ。
「決議権保持者の全票による第一王子の王位継承権剥奪と王族籍剥奪が決議された。本日をもって王族籍から除籍し、ただのアランとして追放をする。今後本人にも子孫にも王族を名乗ることは許されない。北東の離宮で生涯を終えることになる。最低限の使用人と食糧などの生活に必要な支援はする。使用人は兵士兼外回りの雑用3人、料理もできるメイドは2人、交代制だ。よからぬ企てなどのないよう任期は一年。
自分で薪を割り、水を汲み湯を沸かし人の手を借りずに風呂に入ること。トイレ風呂を含む自分の部屋の掃除と、自身で使ったシーツや服などの洗濯は自分で行うこと。馬や馬車に乗ることは許されない。逃走をはかれば探すことはないし戻っても受け入れない。浮浪者として全て自力で生きていくことになる。襲われても守ってくれる者はいない。
与えられる物は一般的な平民の暮らしなので、高級な布を使った下着や服は今ある限りだ。パンも硬いパンだし肉など普通には出てこない。
怪我をしても病気をしても簡単には医者を呼んでもらえない。気を付けて生活するように」
決議権を持つのは侯爵位以上。それが全票!?父上が回避できないと言っていたのはこれか!
「誰が決議案を上げたんだ」
「ヴィクセント大公閣下だ」
「叔父上が!?…まさかそんなことを決めるだなんて」
「“大公閣下”とお呼びするように。次からは打たれるぞ」
「母…王妃様は」
「5日前に廃位されたので実家に向けて出発なさった。来月カトリーヌ妃が冠をいただくことになる」
侯爵以上が同じ意志を持って王子を引きずり下ろし、母上(王妃)は女性の最高位を退き父と離縁して去った。
父上の言ったことが本当に起こりうることなのだとわかり血の気が引いてきた。領主達の独立、高額な通行税、死の都…。
「明日、離宮へ向けた馬車の中で読むといい」
執行官は薄い本を手渡した。本のタイトルは
“王子の婚約者に選ばれて”
翌朝、馬車に揺られながら昨夜読んだ本を思い返していた。エリン・バランが婚約の打診を受けた時からの物語になっている。私とのやりとり、教育係からの虐待、学園での令嬢達からの心無い言葉、怪我をしたことも記してあった。最後のパーティの出来事も。
“王子は何故私の心を壊したかったのか今でも理解できない。ただ貴族令嬢として微笑みの仮面をつけていただけ。あなたと結婚したくないという仏頂面で顔合わせをすれば満足だったのだろうか。私が伯爵家の娘だから?王女や公爵令嬢じゃないから不相応?でも伯爵家だったからこそ嫌とは言えなかった。8歳から20歳を目前にしたあの日までの女性としての大事な時間が無駄に辛いものになってしまった。王子とは貴族を含めた国民を守る存在だと思っていた。
不幸中の幸いは王子が国王になることはないであろうこと。この本が出版される頃には確定しているはず。どうかこの教訓を生かして欲しい”
改めて文字で自分がしたことや言ったことを読むと、こんなことをしていたのかと驚いた。挿絵も効果的だった。13歳の男が8歳の小さな少女に怒鳴っている絵だ。体格差がその異様さを表していた。
わざとテーブルを蹴ってティーカップを倒し、エリンのドレスに茶をかけた後、彼女が屋敷に帰り母親に謝っている絵もあった。ドレスは母親がエリンの誕生日に贈ったものだった。
冬にテラスでのティータイムをすっぽかしたあと、エリンが風邪を引いてベッドに寝ている絵。
夏に庭園でのティータイムをすっぽかしたとき、エリンが暑さに倒れた絵。
あの本は虐待日誌だった。教育係の仕打ちも酷かった。同じことをやれと言われたらできる気がしない。
最後のパーティでエリンはレイモンドに見たことのない笑顔を向けていた。女神のように美しかった。
こんなことをしていたのだから私に対して仮面を外して本物の笑顔を見せてくれるはずなんかなかった。あのダンスでレイモンドもエリンが好きなのだと知って、すぐに2人を引き離さないといけないと感じた。焦って全部バラしてしまった。
どれもこれも自分のせいだとよく理解した。
離宮といっても古びた小さな建物らしい。
使用人から続編が発刊されないようにするかと開き直ることにした。もうできることはそれしかないから。
母上にも申し訳ないことをしたな。
パーティは中止となり、居間のソファで母上は横になり侍女が扇子であおいでいる。
父上はグラスの酒を一気に飲み干した。
「アラン、床に座れ」
「はい」
「今夜改めて聴取のために側近達の屋敷に調査官を派遣するが、結果は変わらぬどころか酷くなるだろう。それはエリンを虐げた過去を遡って側近達に証言されてしまうからだ。しかも伯爵は出版と言っていた。手記が出版できるほどのものなら、おまえがエリンにやらかしたのは一件や二件ではなく何十件とあるということだ。
はぁ……。12年間かけて悪化したと世に証明してしまった。金をかけて最高の環境下で教育を受けたおまえがだ。そんな愚か者が治める国の末路がわかるか?悪政を重ね困窮させた結果、王族狩りが始まる。もしくは領主達が一斉に独立宣言をして帝国の傘下に入り、王都から人が逃げ出すだろう」
「独立?そんなこと…できるわけが、」
「できる。1つ2つなら他の領主達に応援要請をして制圧できるが、全員もしくは多数の領主が一斉に事を起こせば惨敗だ。国で雇っている兵士は残って王族を守ると思うか?尊敬されない王族を守る者は少ないだろう。多くの者が故郷や縁のある領地へ駆け込む。そのまま相手の戦力に変わるんだぞ。
強制的に独立された後はどうなると思う?王都は狙われやすくなり犯罪が蔓延り、更に閑散とする。王都は独立した領主達に囲まれた土地になるから、人が通るにも物を運ぶにも多額の通行税を課せられる。例えば野菜売りが王都に入るのに金貨を何枚も払わなくてはならなかったら、トマト1つがいくらになってしまうか。売れるならいいが売れなければ食べ物は傷んで無駄になるし金も回収できないから売りに来なくなる。王宮は領主からの収入がなくなるから、今ある資金で食糧を調達しなくてはならない。王都だけ尋常じゃない物価高になったなら資金が底をつくのはあっという間だろう。
食糧も薬も何もかも届かない。王都は餓死か病死か殺された者達の腐乱死体がそこら中に溢れかえり、王宮内ももれなく飢餓に苦しむことになる。伝染病も蔓延して死の都となる。その最後の国王がアランだということだ。このままだとな。
馬鹿なことをしてくれたものだ。いつか大人になると信じていたのにこんなことをしでかしおって。あれだけ多くの貴族達の前で自白したらどうしようもない。アラン、廃嫡だ」
「父上!?」
「もう1人側妃を娶らなければ」
「父上っ!」
「王子が1人だけになったんだ。最低でももう1人産ませないと。これは義務だからな」
母上は蒼白だ。
「父上、本気じゃありませんよね?」
「驚く顔が見たくて おまえのように騙していると?おまえと違ってそんなことはしない。
後の処理はこちらでやる。おまえは自分の部屋に戻り外に出るな、謹慎だ」
「父上、もう一度チャンスをください!今度は馬鹿なことはせず将来良き王となるよう気を引き締めます!」
「チャンス?何度もやっただろう。もう国王であっても回避はできん。
誰か、アランを連れて行け。部屋から絶対に出すな」
兵士に囲まれ部屋に戻された。部屋の入り口には兵士が立ち、そのまま何日も閉じ込められた。
3週間後、メイドが何人も入ってきて引き出しなどを開けて物を箱や鞄に詰め始めた。
「勝手に触るな!止めろ!」
止めようとしても兵士達に押さえられてどうすることもできない。
次に入室したのは執行官だった。腕章は紫、つまり王族に処罰を執行させる者だ。
「決議権保持者の全票による第一王子の王位継承権剥奪と王族籍剥奪が決議された。本日をもって王族籍から除籍し、ただのアランとして追放をする。今後本人にも子孫にも王族を名乗ることは許されない。北東の離宮で生涯を終えることになる。最低限の使用人と食糧などの生活に必要な支援はする。使用人は兵士兼外回りの雑用3人、料理もできるメイドは2人、交代制だ。よからぬ企てなどのないよう任期は一年。
自分で薪を割り、水を汲み湯を沸かし人の手を借りずに風呂に入ること。トイレ風呂を含む自分の部屋の掃除と、自身で使ったシーツや服などの洗濯は自分で行うこと。馬や馬車に乗ることは許されない。逃走をはかれば探すことはないし戻っても受け入れない。浮浪者として全て自力で生きていくことになる。襲われても守ってくれる者はいない。
与えられる物は一般的な平民の暮らしなので、高級な布を使った下着や服は今ある限りだ。パンも硬いパンだし肉など普通には出てこない。
怪我をしても病気をしても簡単には医者を呼んでもらえない。気を付けて生活するように」
決議権を持つのは侯爵位以上。それが全票!?父上が回避できないと言っていたのはこれか!
「誰が決議案を上げたんだ」
「ヴィクセント大公閣下だ」
「叔父上が!?…まさかそんなことを決めるだなんて」
「“大公閣下”とお呼びするように。次からは打たれるぞ」
「母…王妃様は」
「5日前に廃位されたので実家に向けて出発なさった。来月カトリーヌ妃が冠をいただくことになる」
侯爵以上が同じ意志を持って王子を引きずり下ろし、母上(王妃)は女性の最高位を退き父と離縁して去った。
父上の言ったことが本当に起こりうることなのだとわかり血の気が引いてきた。領主達の独立、高額な通行税、死の都…。
「明日、離宮へ向けた馬車の中で読むといい」
執行官は薄い本を手渡した。本のタイトルは
“王子の婚約者に選ばれて”
翌朝、馬車に揺られながら昨夜読んだ本を思い返していた。エリン・バランが婚約の打診を受けた時からの物語になっている。私とのやりとり、教育係からの虐待、学園での令嬢達からの心無い言葉、怪我をしたことも記してあった。最後のパーティの出来事も。
“王子は何故私の心を壊したかったのか今でも理解できない。ただ貴族令嬢として微笑みの仮面をつけていただけ。あなたと結婚したくないという仏頂面で顔合わせをすれば満足だったのだろうか。私が伯爵家の娘だから?王女や公爵令嬢じゃないから不相応?でも伯爵家だったからこそ嫌とは言えなかった。8歳から20歳を目前にしたあの日までの女性としての大事な時間が無駄に辛いものになってしまった。王子とは貴族を含めた国民を守る存在だと思っていた。
不幸中の幸いは王子が国王になることはないであろうこと。この本が出版される頃には確定しているはず。どうかこの教訓を生かして欲しい”
改めて文字で自分がしたことや言ったことを読むと、こんなことをしていたのかと驚いた。挿絵も効果的だった。13歳の男が8歳の小さな少女に怒鳴っている絵だ。体格差がその異様さを表していた。
わざとテーブルを蹴ってティーカップを倒し、エリンのドレスに茶をかけた後、彼女が屋敷に帰り母親に謝っている絵もあった。ドレスは母親がエリンの誕生日に贈ったものだった。
冬にテラスでのティータイムをすっぽかしたあと、エリンが風邪を引いてベッドに寝ている絵。
夏に庭園でのティータイムをすっぽかしたとき、エリンが暑さに倒れた絵。
あの本は虐待日誌だった。教育係の仕打ちも酷かった。同じことをやれと言われたらできる気がしない。
最後のパーティでエリンはレイモンドに見たことのない笑顔を向けていた。女神のように美しかった。
こんなことをしていたのだから私に対して仮面を外して本物の笑顔を見せてくれるはずなんかなかった。あのダンスでレイモンドもエリンが好きなのだと知って、すぐに2人を引き離さないといけないと感じた。焦って全部バラしてしまった。
どれもこれも自分のせいだとよく理解した。
離宮といっても古びた小さな建物らしい。
使用人から続編が発刊されないようにするかと開き直ることにした。もうできることはそれしかないから。
母上にも申し訳ないことをしたな。
1,501
あなたにおすすめの小説
夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします
希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。
国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。
隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。
「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」
皆様ありがとう!今日で王妃、やめます!〜十三歳で王妃に、十八歳でこのたび離縁いたしました〜
百門一新
恋愛
セレスティーヌは、たった十三歳という年齢でアルフレッド・デュガウスと結婚し、国王と王妃になった。彼が王になる多には必要な結婚だった――それから五年、ようやく吉報がきた。
「君には苦労をかけた。王妃にする相手が決まった」
ということは……もうつらい仕事はしなくていいのねっ? 夫婦だと偽装する日々からも解放されるのね!?
ありがとうアルフレッド様! さすが私のことよく分かってるわ! セレスティーヌは離縁を大喜びで受け入れてバカンスに出かけたのだが、夫、いや元夫の様子が少しおかしいようで……?
サクッと読める読み切りの短編となっていります!お楽しみいただけましたら嬉しく思います!
※他サイト様にも掲載
戦場から帰らぬ夫は、隣国の姫君に恋文を送っていました
Mag_Mel
恋愛
しばらく床に臥せていたエルマが久方ぶりに参加した祝宴で、隣国の姫君ルーシアは戦地にいるはずの夫ジェイミーの名を口にした。
「彼から恋文をもらっていますの」。
二年もの間、自分には便りひとつ届かなかったのに?
真実を確かめるため、エルマは姫君の茶会へと足を運ぶ。
そこで待っていたのは「身を引いて欲しい」と別れを迫る、ルーシアの取り巻きたちだった。
※小説家になろう様にも投稿しています
婚約破棄ありがとう!と笑ったら、元婚約者が泣きながら復縁を迫ってきました
ほーみ
恋愛
「――婚約を破棄する!」
大広間に響いたその宣告は、きっと誰もが予想していたことだったのだろう。
けれど、当事者である私――エリス・ローレンツの胸の内には、不思議なほどの安堵しかなかった。
王太子殿下であるレオンハルト様に、婚約を破棄される。
婚約者として彼に尽くした八年間の努力は、彼のたった一言で終わった。
だが、私の唇からこぼれたのは悲鳴でも涙でもなく――。
皇帝の命令で、側室となった私の運命
ぱんだ
恋愛
フリード皇太子との密会の後、去り行くアイラ令嬢をアーノルド皇帝陛下が一目見て見初められた。そして、その日のうちに側室として召し上げられた。フリード皇太子とアイラ公爵令嬢は幼馴染で婚約をしている。
自分の婚約者を取られたフリードは、アーノルドに抗議をした。
「父上には数多くの側室がいるのに、息子の婚約者にまで手を出すつもりですか!」
「美しいアイラが気に入った。息子でも渡したくない。我が皇帝である限り、何もかもは我のものだ!」
その言葉に、フリードは言葉を失った。立ち尽くし、その無慈悲さに心を打ちひしがれた。
魔法、ファンタジー、異世界要素もあるかもしれません。
あなたの言うことが、すべて正しかったです
Mag_Mel
恋愛
「私に愛されるなどと勘違いしないでもらいたい。なにせ君は……そうだな。在庫処分間近の見切り品、というやつなのだから」
名ばかりの政略結婚の初夜、リディアは夫ナーシェン・トラヴィスにそう言い放たれた。しかも彼が愛しているのは、まだ十一歳の少女。彼女が成人する五年後には離縁するつもりだと、当然のように言い放たれる。
絶望と屈辱の中、病に倒れたことをきっかけにリディアは目を覚ます。放漫経営で傾いたトラヴィス商会の惨状を知り、持ち前の商才で立て直しに挑んだのだ。執事長ベネディクトの力を借りた彼女はやがて商会を支える柱となる。
そして、運命の五年後。
リディアに離縁を突きつけられたナーシェンは――かつて自らが吐いた「見切り品」という言葉に相応しい、哀れな姿となっていた。
*小説家になろうでも投稿中です
旦那様から出て行ってほしいと言われたのでその通りにしたら、今になって後悔の手紙が届きました
睡蓮
恋愛
ドレッド第一王子と婚約者の関係にあったサテラ。しかし彼女はある日、ドレッドが自分の家出を望んでいる事を知ってしまう。サテラはそれを叶える形で、静かに屋敷を去って家出をしてしまう…。ドレッドは最初こそその状況に喜ぶのだったが、サテラの事を可愛がっていた国王の逆鱗に触れるところとなり、急いでサテラを呼び戻すべく行動するのであったが…。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる