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私とレイの熱愛の噂が広まっている。
数日後には新聞にも載ってちょっと恥ずかしい。
“アラン王子殿下の側近と殿下の婚約者が熱愛!”
“結婚前の三角関係!”
相手が王子の側近だから王家から呼び出しを受けないか少し心配だったけど、呼び出されなかった。
多分、来週の王妃様の誕生日パーティで王子はやらかすだろう。
レイはすぐに辞められるように仕事の調整をしているらしい。
公になったので堂々とレイはうちに顔を出しに来ては母とも仲良くしている。レイは父よりも母の方が緊張すると言っていた。なんでだろう。
王妃様の誕生日パーティ当日
普通なら王子の側近だとしても子爵家の次男では招待されない王妃様のパーティにレイが招待されたことには皆で喜んだ。間違いなくパーティで実行するつもりなのだろう。
それでも王子の婚約者としてダンスを踊らなくてはならない。ダンス前にやらかしてくれたらと願う。
会場で貴族達が次々と王妃様に挨拶へ向かった。他の王子の側近もいるから確定だ。王子は今日やらかす。
陛下と王妃様がダンスを踊り、次は王子と私かと思ったら、王子が辞退した。
「足を痛めていてな。好きな男と踊ったらどうだ」
なるほど、レイとダンスが終わったところでやらかすのね。
「では遠慮なく」
レイに向かって手を伸ばすとレイは私の元へきて跪き手の甲にキスをした。
王子が端に行くと演奏が始まった。
「この後だと思います」
「やっとだね」
「はい」
私はいつもの微笑みの仮面を外して心から楽しんだ。王子と踊らなくて済んだこと、レイと大っぴらに踊れること、そしてこの後の自由を想像すると笑顔にならずにはいられない。
ダンスが終わり次の人達と交代しようとすると王子が大きな声で話し始めた。
「エリン・バラン!」
「はい、殿下」
「レイモンドと交際しているというのは本当か」
「はい」
「互いに愛があると?」
「はい」
「心から?」
「はい」
「レイモンド、言ってやれ」
レイは膝を付いて大声を出した。
「エリン!愛してる!私と結婚して欲しい!!」
「はあ!? レイモンド!!何を言っているんだ!」
「何か?」
「“何か”じゃない!違うだろう!」
「仰っている意味がわかりません。邪魔をしないでください」
「レイモンド!」
「エリン、私にだけ素顔を見せてくれる貴女が愛おしい。愛してる」
「レイモンド!!」
「なんでしょう」
「こいつと付き合ったのは作戦だろう!」
「何のです?」
「こいつのバカみたいな仮面を壊すために口説いて、エリンがその気になったら捨てるはずだろう!」
「いつそんなことに?」
「私が執務室でおまえに命じたことなのに何でそれを忘れて求婚してるんだよ!!」
やったわ。このバカ、自白した。
会場は静まり返っていて好奇な目を向ける者達と王子を蔑む者達で分かれていたが、いずれにしても王子の大失態だ。
「アラン!!」
「ち、父上」
振り向くと陛下が怒り心頭に向かってくるし、王妃様は侍女に支えてもらい椅子に座るところだった。
レイは立ち上がり私の肩を抱いて引き寄せた。
両親も私の側に来てくれた。
「一体何をやっているんだ!」
「父上、これはっ」
「しかと聞いたぞ、アラン王子。側近にエリンを口説くように命じて、パーティという公の場でバラしてエリンの気持ちを踏み躙らせ恥をかかせようと策略をしたと自ら白状していたぞ」
「え? いや、バラン伯爵、私はエリンを弄ぶレイモンドに注意をしようと」
「私も聞いておりましたわ。ご自身が命じたと大声で叫んでいたではありませんか、アラン王子殿下」
「バラン伯爵夫人、違うんだ」
「私も聞きましたぞ。
ジョセフ、真実はどうなんだ。嘘を吐けば破門だぞ」
王子の側近の一人の父親バリエーズ侯爵が息子に詰め寄る。
「アラン殿下が我々側近にバラン嬢を口説けと。拒否すると人を雇ってでもやると仰ったので、バラン嬢の安全を考えてレイモンドが…」
「ジョセフっ!
バリエーズ侯爵、誤解が、」
「トニー、おまえも知っていたのか」
王子の側近の一人の父親モントスト伯爵が息子に詰め寄る。
「はい。殿下はバラン嬢が傷付き微笑んでいられなくなる姿が見たいと」
「何故お止めしなかったのだ!側近の仕事だろう!」
「申し訳ございません」
「もういい!おまえはこの仕事には向いてない!今すぐ辞めてしまえ!!」
「モ、モントスト伯爵、落ち着いてくれ」
「レイモンド、一体どういうことだ」
「父上、私はずっと彼女に好意を抱いておりました。ですがアラン殿下の婚約者に横恋慕するわけにはまいりません。気持ちを胸に秘めて過ごしておりましたが、殿下が口説いて彼女が恋に落ちたらバラして傷付けろと仰ったのです。側近の我々は拒否しましたが、殿下は人を雇うと仰ったので私が手を挙げました。殿下が婚約者をそのように扱うのならもう我慢する必要はないと思ったからです。殿下は私が命令で動いていると思っていらっしゃいましたが私は本気でした。愛を込めてエリン・バラン嬢を口説いたのです」
「レイモンド!!」
「アラン王子、側近を怒鳴るのは止めろ。拒否するのがまともな側近だ」
「伯爵!王族に向かってその口のきき方は何だ!」
「私も皇族だが?皇帝の末弟だ。20年以上覚えられなことは一生覚えられないのだろう。そうではないか?国王よ」
「バラン伯爵」
「さすがに結婚させられない。バラン家はエリンとアラン王子の婚約破棄を宣言する!」
申し入れじゃなくて宣言にしたのは協議する余地なしという意思表示ね。
「バラン伯爵、話し合う機会を、」
「国王、無理があるだろう。これからエリンは手記を出版するが、そこには婚約を結んだ日からの王子の暴言や愚行が記される。エリンは8歳のときから王子に攻撃を受けてきた。婚約はバラン家の希望でも娘の希望でもなく仕方なく受けたのに、何故そのような仕打ちを許すのだ。報告は上がっていたはずだろう。
今回の件は許すわけにはいかない。王子有責の婚約破棄を受け入れて、契約通りの慰謝料の支払いを履行せよ」
「アランは厳しく教育をしなおして、」
「エリンが受けた王子妃教育のように?言いがかりをつけて倒れても何度もやらせる日々を送らせようというのか?
鞭で打とうが指を切り落とそうが、この王子は国王には相応しくない。爵位を与え貴族として生かしても無理だ。帝国ならこのような愚かな王子は首を切り落とすぞ。国を衰退させ周辺諸国にも悪影響を及ぼすからな。その者が国王になれば必ず今の王族は根絶やしにされ新たな王が選出されるだろう。それでよければ王子を庇い続けるといい。だが契約も違反も明確だ。なにしろ本人が大勢の前で自白したのだから。今を持ってエリンは自由だ。では、我々は失礼する」
「国王陛下、レイモンドはこれ以上アラン王子殿下の元では働けません。本日をもって辞職させます」
「国王陛下、バリエーズ家もアラン王子殿下の側近の職を辞退させていただきます」
「国王陛下、モントスト家も息子を退職させます」
うちを含む4家は真っ青な王妃様に再度誕生日の祝いの言葉を伝えて退場した。
数日後には新聞にも載ってちょっと恥ずかしい。
“アラン王子殿下の側近と殿下の婚約者が熱愛!”
“結婚前の三角関係!”
相手が王子の側近だから王家から呼び出しを受けないか少し心配だったけど、呼び出されなかった。
多分、来週の王妃様の誕生日パーティで王子はやらかすだろう。
レイはすぐに辞められるように仕事の調整をしているらしい。
公になったので堂々とレイはうちに顔を出しに来ては母とも仲良くしている。レイは父よりも母の方が緊張すると言っていた。なんでだろう。
王妃様の誕生日パーティ当日
普通なら王子の側近だとしても子爵家の次男では招待されない王妃様のパーティにレイが招待されたことには皆で喜んだ。間違いなくパーティで実行するつもりなのだろう。
それでも王子の婚約者としてダンスを踊らなくてはならない。ダンス前にやらかしてくれたらと願う。
会場で貴族達が次々と王妃様に挨拶へ向かった。他の王子の側近もいるから確定だ。王子は今日やらかす。
陛下と王妃様がダンスを踊り、次は王子と私かと思ったら、王子が辞退した。
「足を痛めていてな。好きな男と踊ったらどうだ」
なるほど、レイとダンスが終わったところでやらかすのね。
「では遠慮なく」
レイに向かって手を伸ばすとレイは私の元へきて跪き手の甲にキスをした。
王子が端に行くと演奏が始まった。
「この後だと思います」
「やっとだね」
「はい」
私はいつもの微笑みの仮面を外して心から楽しんだ。王子と踊らなくて済んだこと、レイと大っぴらに踊れること、そしてこの後の自由を想像すると笑顔にならずにはいられない。
ダンスが終わり次の人達と交代しようとすると王子が大きな声で話し始めた。
「エリン・バラン!」
「はい、殿下」
「レイモンドと交際しているというのは本当か」
「はい」
「互いに愛があると?」
「はい」
「心から?」
「はい」
「レイモンド、言ってやれ」
レイは膝を付いて大声を出した。
「エリン!愛してる!私と結婚して欲しい!!」
「はあ!? レイモンド!!何を言っているんだ!」
「何か?」
「“何か”じゃない!違うだろう!」
「仰っている意味がわかりません。邪魔をしないでください」
「レイモンド!」
「エリン、私にだけ素顔を見せてくれる貴女が愛おしい。愛してる」
「レイモンド!!」
「なんでしょう」
「こいつと付き合ったのは作戦だろう!」
「何のです?」
「こいつのバカみたいな仮面を壊すために口説いて、エリンがその気になったら捨てるはずだろう!」
「いつそんなことに?」
「私が執務室でおまえに命じたことなのに何でそれを忘れて求婚してるんだよ!!」
やったわ。このバカ、自白した。
会場は静まり返っていて好奇な目を向ける者達と王子を蔑む者達で分かれていたが、いずれにしても王子の大失態だ。
「アラン!!」
「ち、父上」
振り向くと陛下が怒り心頭に向かってくるし、王妃様は侍女に支えてもらい椅子に座るところだった。
レイは立ち上がり私の肩を抱いて引き寄せた。
両親も私の側に来てくれた。
「一体何をやっているんだ!」
「父上、これはっ」
「しかと聞いたぞ、アラン王子。側近にエリンを口説くように命じて、パーティという公の場でバラしてエリンの気持ちを踏み躙らせ恥をかかせようと策略をしたと自ら白状していたぞ」
「え? いや、バラン伯爵、私はエリンを弄ぶレイモンドに注意をしようと」
「私も聞いておりましたわ。ご自身が命じたと大声で叫んでいたではありませんか、アラン王子殿下」
「バラン伯爵夫人、違うんだ」
「私も聞きましたぞ。
ジョセフ、真実はどうなんだ。嘘を吐けば破門だぞ」
王子の側近の一人の父親バリエーズ侯爵が息子に詰め寄る。
「アラン殿下が我々側近にバラン嬢を口説けと。拒否すると人を雇ってでもやると仰ったので、バラン嬢の安全を考えてレイモンドが…」
「ジョセフっ!
バリエーズ侯爵、誤解が、」
「トニー、おまえも知っていたのか」
王子の側近の一人の父親モントスト伯爵が息子に詰め寄る。
「はい。殿下はバラン嬢が傷付き微笑んでいられなくなる姿が見たいと」
「何故お止めしなかったのだ!側近の仕事だろう!」
「申し訳ございません」
「もういい!おまえはこの仕事には向いてない!今すぐ辞めてしまえ!!」
「モ、モントスト伯爵、落ち着いてくれ」
「レイモンド、一体どういうことだ」
「父上、私はずっと彼女に好意を抱いておりました。ですがアラン殿下の婚約者に横恋慕するわけにはまいりません。気持ちを胸に秘めて過ごしておりましたが、殿下が口説いて彼女が恋に落ちたらバラして傷付けろと仰ったのです。側近の我々は拒否しましたが、殿下は人を雇うと仰ったので私が手を挙げました。殿下が婚約者をそのように扱うのならもう我慢する必要はないと思ったからです。殿下は私が命令で動いていると思っていらっしゃいましたが私は本気でした。愛を込めてエリン・バラン嬢を口説いたのです」
「レイモンド!!」
「アラン王子、側近を怒鳴るのは止めろ。拒否するのがまともな側近だ」
「伯爵!王族に向かってその口のきき方は何だ!」
「私も皇族だが?皇帝の末弟だ。20年以上覚えられなことは一生覚えられないのだろう。そうではないか?国王よ」
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「さすがに結婚させられない。バラン家はエリンとアラン王子の婚約破棄を宣言する!」
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「国王陛下、レイモンドはこれ以上アラン王子殿下の元では働けません。本日をもって辞職させます」
「国王陛下、バリエーズ家もアラン王子殿下の側近の職を辞退させていただきます」
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