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第二王子のやらかしをバラす
宰相執務室へ繋がる階段や廊下には警備兵が配置された。
そして宰相執務室のドアの前にも警備が一人、内側に一人。
内側の警備兵はセヴリアン兄様だった。
カメレオンでもない彼を見て私が驚くと、彼も顔がフリーズした。
考えてみれば、シェイナが会ったこともないセヴリアンに気が付くのはおかしなことだった。
「おはよう、シェイナ」
「おはようございます、宰相閣下、フィロ様、ヘスラン様、バルクス様」
「モテる女は大変だね」
「強引なんだって?」
「ヘスラン様、バルクス様、揶揄わないでください」
「シェイナは相手がいないし、辺境伯なら有りじゃないか?」
「宰相閣下、私、女ったらしは嫌いです」
「ん~、まあ、確かにフェリシアンは遊んでいたが、婚約したら慎むんじゃないか?
ヴェリテ公爵を敵に回したくないだろう」
「絶対手を出しますよ。そういうふしだらな男です」
「断定的だな」
「聞きましたよ。前に婚約していた時も遊んでいたって」
「あ~、そうだったな。でも随分前のことだ。今は落ち着いているかも」
「落ち着いていませんから!
だいたい宰相閣下はどうして私と辺境伯をくっつけたがるのですか!酷いですわ!」
「辺境を守る騎士は重要だ。剣豪の子孫は残して欲しいし、彼を支える妻は必要だ」
「私でなくてもいいじゃないですか!
名乗りをあげる令嬢を取り持ってあげてください!」
「ずっとやってるが、断られてきた。
やっとその気になってくれたんだ」
「なんだか裏切られた気分です。
転属願いをだそうかしら」
「すまん、すまん。
しかし、なんでそんなに嫌がるんだ。
男は、特に剣を握る者は女を求めがちだ。
妻がいないから外で遊ぶのだろう。
体躯のいい美丈夫だ。金もある。
いい条件だと思うがな。
そんな男がパーティ会場で跪いて求婚するんだ。頬を染めたりするどころか厳戒態勢にするなんて」
「警備は私も知りませんでした。
それに、跪いたのは求婚ではなく謝罪です」
「謝罪?何をしたんだ?」
「言いたくありませんが、とても失礼でした」
「許す方法は?」
「時を戻す奇跡を起こせたら」
「何を探してるんだ?」
「転属願いの書類です」
「分かった、分かった。もう言わないから」
午前中はエリオット殿下が揶揄いに来た。
「辺境伯で手を打ってやらないのか?」
「リオ兄様、余計なお世話です!」
「ちょっと遊んでるらしいが、いい男だぞ。
だからこそ女が寄ってくるんだ。
過去の女達は忘れてやれよ」
「エリオット王子殿下。仕事にお戻りください」
「シェイナっ」
「長いようで短いお付き合いをありがとうございました。王子殿下のご活躍を一貴族として、」
「シェイナ、ごめん!もう言わないから!」
「出口はあちらです。王子殿下」
「シェイナ~!」
「昔、ペルマナント王国からの寄贈品を壊したことを黙っていたのに残念ですわ」
「シェ、シェイナっ!」
「そういえば宝剣の一つを振り回して刃毀れさせたこともございました」
「止めて!シェイナ!」
「手入れされて戻ってきた王冠を、」
「シェイナ様!申し訳ございませんでした~!!」
領地の屋敷からほとんど出なかったけど、国王陛下の誕生日は11歳から王宮に泊まっていたのよね。エリオット兄様とも遊んだわ。
「シェイナ、第二王子を土下座させるな」
「フィロ兄様もですか?」
「そんなわけあるか。
エリオット殿下、お戻りください」
「シェイナ、ごめんね?」
プイッ
「シェイナ~!」
エリオットが去ってようやく静かになった。
ヘスラン様、バルクス様は唖然としていた。
お昼はクリス兄様が迎えにきた。
「シェイナ、私と食事に行こう」
「はい、兄様」
連れてこられたのは王妃様のサロンだった。
「ここ、いいのですか?」
「断りをいれてある」
「兄様がいてくださって良かったです」
「何かあった?」
「何故か辺境伯の求婚を受けろって空気があるんです。過去の女遊びくらい目を瞑れとか、剣を握る男はそういうものだとか」
「シェイナは気乗りしない縁談を受ける必要は無い」
「ありがとうございます、クリス兄様」
食事を終えてお茶を飲んだ。
「やっぱりクリス兄様は最高です。
兄様みたいな方から求婚されたいです」
「……シェイナ」
「例え従兄妹じゃなかったとしても王太子殿下であるクリス兄様のお相手には選ばれなかったと思いますが」
「選ばれるよ。間違って選ばれなかったら王太子の座は辞退して爵位をもらうよ」
「クリス兄様から優しい言葉をもらえて、今夜は眠れそうです」
「眠れなかったのか」
「いろいろ考えてしまって」
「私の宮に匿ってもいいんだぞ」
「ありがとうございます」
そして、終業後、クリス兄様に抱っこしてもらって地下トンネルを抜けてノワール邸に戻った。
そして宰相執務室のドアの前にも警備が一人、内側に一人。
内側の警備兵はセヴリアン兄様だった。
カメレオンでもない彼を見て私が驚くと、彼も顔がフリーズした。
考えてみれば、シェイナが会ったこともないセヴリアンに気が付くのはおかしなことだった。
「おはよう、シェイナ」
「おはようございます、宰相閣下、フィロ様、ヘスラン様、バルクス様」
「モテる女は大変だね」
「強引なんだって?」
「ヘスラン様、バルクス様、揶揄わないでください」
「シェイナは相手がいないし、辺境伯なら有りじゃないか?」
「宰相閣下、私、女ったらしは嫌いです」
「ん~、まあ、確かにフェリシアンは遊んでいたが、婚約したら慎むんじゃないか?
ヴェリテ公爵を敵に回したくないだろう」
「絶対手を出しますよ。そういうふしだらな男です」
「断定的だな」
「聞きましたよ。前に婚約していた時も遊んでいたって」
「あ~、そうだったな。でも随分前のことだ。今は落ち着いているかも」
「落ち着いていませんから!
だいたい宰相閣下はどうして私と辺境伯をくっつけたがるのですか!酷いですわ!」
「辺境を守る騎士は重要だ。剣豪の子孫は残して欲しいし、彼を支える妻は必要だ」
「私でなくてもいいじゃないですか!
名乗りをあげる令嬢を取り持ってあげてください!」
「ずっとやってるが、断られてきた。
やっとその気になってくれたんだ」
「なんだか裏切られた気分です。
転属願いをだそうかしら」
「すまん、すまん。
しかし、なんでそんなに嫌がるんだ。
男は、特に剣を握る者は女を求めがちだ。
妻がいないから外で遊ぶのだろう。
体躯のいい美丈夫だ。金もある。
いい条件だと思うがな。
そんな男がパーティ会場で跪いて求婚するんだ。頬を染めたりするどころか厳戒態勢にするなんて」
「警備は私も知りませんでした。
それに、跪いたのは求婚ではなく謝罪です」
「謝罪?何をしたんだ?」
「言いたくありませんが、とても失礼でした」
「許す方法は?」
「時を戻す奇跡を起こせたら」
「何を探してるんだ?」
「転属願いの書類です」
「分かった、分かった。もう言わないから」
午前中はエリオット殿下が揶揄いに来た。
「辺境伯で手を打ってやらないのか?」
「リオ兄様、余計なお世話です!」
「ちょっと遊んでるらしいが、いい男だぞ。
だからこそ女が寄ってくるんだ。
過去の女達は忘れてやれよ」
「エリオット王子殿下。仕事にお戻りください」
「シェイナっ」
「長いようで短いお付き合いをありがとうございました。王子殿下のご活躍を一貴族として、」
「シェイナ、ごめん!もう言わないから!」
「出口はあちらです。王子殿下」
「シェイナ~!」
「昔、ペルマナント王国からの寄贈品を壊したことを黙っていたのに残念ですわ」
「シェ、シェイナっ!」
「そういえば宝剣の一つを振り回して刃毀れさせたこともございました」
「止めて!シェイナ!」
「手入れされて戻ってきた王冠を、」
「シェイナ様!申し訳ございませんでした~!!」
領地の屋敷からほとんど出なかったけど、国王陛下の誕生日は11歳から王宮に泊まっていたのよね。エリオット兄様とも遊んだわ。
「シェイナ、第二王子を土下座させるな」
「フィロ兄様もですか?」
「そんなわけあるか。
エリオット殿下、お戻りください」
「シェイナ、ごめんね?」
プイッ
「シェイナ~!」
エリオットが去ってようやく静かになった。
ヘスラン様、バルクス様は唖然としていた。
お昼はクリス兄様が迎えにきた。
「シェイナ、私と食事に行こう」
「はい、兄様」
連れてこられたのは王妃様のサロンだった。
「ここ、いいのですか?」
「断りをいれてある」
「兄様がいてくださって良かったです」
「何かあった?」
「何故か辺境伯の求婚を受けろって空気があるんです。過去の女遊びくらい目を瞑れとか、剣を握る男はそういうものだとか」
「シェイナは気乗りしない縁談を受ける必要は無い」
「ありがとうございます、クリス兄様」
食事を終えてお茶を飲んだ。
「やっぱりクリス兄様は最高です。
兄様みたいな方から求婚されたいです」
「……シェイナ」
「例え従兄妹じゃなかったとしても王太子殿下であるクリス兄様のお相手には選ばれなかったと思いますが」
「選ばれるよ。間違って選ばれなかったら王太子の座は辞退して爵位をもらうよ」
「クリス兄様から優しい言葉をもらえて、今夜は眠れそうです」
「眠れなかったのか」
「いろいろ考えてしまって」
「私の宮に匿ってもいいんだぞ」
「ありがとうございます」
そして、終業後、クリス兄様に抱っこしてもらって地下トンネルを抜けてノワール邸に戻った。
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