【完結】責任など取らなくて結構です!

ユユ

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ベアトリス(接見)

【 ベアトリスの視点 】


食後にしばらくするとモリスが呼びにきた。

「ベアトリス様、本当にそのお姿でよろしいのですか?」

「余計なことは言わなくていいの」

「かしこまりました」


すれ違う使用人がチラチラと私を見てる。


応接間の外で待っていたギルバートが声をかけてドアを開けた。

「ベアトリス様がお見えになりました」

「通してくれ」

入室すると、ローエン様、お義父様がいて、間には小娘が立っていた。

「……ベアトリス。こちらはヴェリテ公爵家の長女、シェイナ嬢だ。王兄殿下の愛するご令嬢だ。

現在、宰相執務室に勤務している。
シェイナの兄はパラストラジル侯爵家に婿入りをしている。

彼女は自立して父上所有の部屋に住んでいる。

今回の滞在は、とある男が付き纏っているのでノワール家で保護した。

シェイナ、彼女は第一夫人だ」

「お初にお目にかかります。シェイナ・ヴェリテと申します。ご挨拶が遅くなりご無礼をいたしました」

ヴェリテ!? 王族の血を引く公爵令嬢だなんて!

自立?働いている!?とても若いけどいくつなの?学校を出ているようには見えないわ。

「ノワール公爵の妻、ベアトリスと申します。やっとお会いできましたわ」

「シェイナは挨拶をしたがったが、私が許可しなかった。シェイナが気にすることはない。座ろう」

プチッ プチッ

まただわ。何の音かしら。

「ベアトリスは息子と娘を産んでいる。
昨夜失礼をしたのが兄のタイラーだ。
申し訳なかった」

「いえ、挨拶もない他人が滞在していては気になりますもの」

そうよ、その通りよ。いくら身分が高いからといっても私はノワール公爵夫人なのよ!

「シェイナ、膝掛けを使え」

ローエン様が小娘の膝に膝掛けをかけた。
そんな優しい気遣いをしてもらったことがない。

「ローエン様、ありがとうございます」

ローエン様?
今、ローエン様と言ったの!?
妻の私でさえ名前呼びを許されないのに!?

「ベアトリス、何か聞きたいことはあるか」

「シェイナ様はおいくつでいらっしゃいますか」

「16歳です」

16歳!?

「とても若いのですね。学校は行かずに働いているだなんて、何か事情でも?」

きっと頭が悪くて入学できなかったのね。
兄の伝手で就職できたんだわ。

「母も行っていませんし、必要無いと思いまして」

馬鹿は母親の遺伝なのね。

「お仕事は大変でしょう。学校に行かれていないのであれば難しいことばかりでは?」

どうせお茶を淹れてニコニコ微笑んでいるだけね。

「ベアトリス」

夫の声が低くなった。

「シェイナの母君は才女で、成人前から王家の相談役だ。同時にオリジナルの商品を考案して店を構えている。

取り扱う物の異なる店を王都に六店舗だ。
支店の話がでても首を縦に振らない。

固定客も抱え、混み合う人気店だ。他国からも買い付けに来る。

ヴェリテ公爵夫人は忙しいから学校へ行くという選択はしなかった。


シェイナも才女で既に学校で学ぶようなことは終えている。

宰相が気まぐれに仕事を手伝わせてみたら有能で、断られても宰相執務室で働いて欲しいとヴェリテ家に懇願しに出向き頭を下げるほどだ。

入試の結果は一位だったし、既に学んだことを習いに三年通うのは時間の無駄だと入学を辞退した。

父上の店の帳簿付けを手伝い、今は週末 ノワール家の書類仕事を手伝ってもらっている。

王都のノワール邸で働くには並みの実力では難しいのは知っているな」

「そ、それはすごいことですわね。
疲労が溜まりますでしょう」

「大して難しいことはしておりません。
ただ書類に間違いがないか確認しているだけです。

法案を作ったり外交をするわけでも天災被害の対処をするわけでも犯罪組織を壊滅させるわけでもありませんので」

「宰相執務室の書類のチェックなど、幅広い知識がないとできないことだ。

今回、難航していたミラージュ公国の下水の濾過装置の導入を破格で契約させたと陛下が喜んでおられた」

「世間話しをしただけなのです」

「本来の社交の姿だな。情報交換と適切な議論。流石、次期国王と言われていたセイン殿下と軍師と呼ばれるティーティア夫人の愛娘だ」

「新聞を読んで知っていただけです」

「ミラージュ公国の新聞まで読んで情報を仕入れている夫人や令嬢はサンセールに何人いるだろうか。

そうだろう?ベアトリス」

「そうですわね、素晴らしいですわ。
シェイナ様の元に多くの縁談申し込みがあるのでは?」

「そうみたいです。
父が判断していましたのでどの程度来ているかは分かりませんし、一度も見合いをしたことがありません。

今回はバロウ伯爵がパーティ会場で騒いでしまわれたので公に知られてしまいました」

辺境伯のフェリシアン様……
財力もあって体躯もよく、ワイルドな美男子だった。

学校で声を掛けても相手にしてもらえなかったわ。

“一晩限りの体の関係でよければ相手をしよう”

そう言われて引き下がった。

この私にそんな扱いをしようとするなんて許せなかったし、純潔は良家に嫁ぐためには大事だもの。

まあ、お陰でノワール公爵夫人になれたのだけど。

あのフェリシアン様にパーティ会場で求婚されて、付き纏われているの……それなのに私の夫まで誘惑したわけ?

きっと、もう身体を許しているのね。
確かに美しくて可愛らしいわ。でも……

「バロウ伯爵は学校でもとても令嬢に人気がありましたのよ。身分も財力も容姿も問題ないのではありませんか」

「性格の不一致です」

「ベアトリス、余計だ」

「申し訳ございません」





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