【完結】新皇帝の後宮に献上された姫は、皇帝の寵愛を望まない

ユユ

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恥ずかしいのに呼ばないで!

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眠れなかった。

「ユピルピア様、朝食は食堂に集まるようエルダ様から指示がありました」

「行きたくない」

「熱でも出ない限り断れません。お支度をいたします」

「ん~!!」

「たくさん食べて、戻ってきたら直ぐ眠れるように楽な服にしますから」

昔からこうやってぐずると宥めてくれるペルペナに甘えるのが大好きだ。

ニコニコしていると、

「まだまだ甘えん坊ですね」

「ペルペナにだけよ」



一切締め付けのない、エンパイアドレスに着替えて食堂へ向かうとエルダが待っていた。

「中でお待ちください」

食堂の中には多くの女性がいた。
最後にヴィヴィアン様が到着するとエルダが指示を出す。

「本日は、本宮殿の小広間に席をご用意しました。
ご案内しますので付いて来て下さい」

渡り廊下を逆行するとは思わなかった。

ゾロゾロとエルダについて歩き、到着した小広間の前でエルダが注意事項を告げる。

「呼ばれた順に指定された席へ座ってください。
違う席に座れば、即部屋へ戻っていただきます。
話しかけるのは皇帝陛下のみ。尋ねられた者にだけ返事をする権利があります。よろしいですね」

今から陛下との朝食会だと知って女性達が騒ぎ出した。

パンパン!

「お静かに。
入室したらカーテシーをして席に座ってください。言葉を発してはいけません。
名前を呼んだら末席から座ってください。中でメイドが椅子を引いていますので分かると思います」

手を叩き、女性達を黙らせて告げた言葉に緊張が走る。末席に座る者から呼ばれる…それは寵愛から程遠い存在ということになる。

先ず私が呼ばれるだろうと前に出た。だけど…

「ヴィヴィアン様」

「は!? 私!?」

「はい」

「何かの間違いよ!」

「では お部屋へお戻りください」

「確かめて来て!逆じゃないの?」

「次の方は、」

「分かったわよ!」

ヴィヴィアン様が怒りながら入室した。

次々と呼ばれるのに私の名前が呼ばれない。
きっとリストにも載っていなくて、帰されるパターンね。
どうでもいいけど朝食は運んでくれるのかな などと思っていた。

「モアナ様、シャンティ様、ユピルピア様、ご一緒にお入りください」

私達は顔を見合わせた。

「どうぞ」

中に入ると、陛下の右手側に2席、左手側に1席が空いていた。

メイドに促された席は、右手側直ぐの席に私、その隣の席にモアナ様、左手側の席にシャンティ様だった。

「……」

座ったはいいが、陛下の顔は見れない。
だって昨夜 胸を見られてしまったから。
顔が熱い。きっと赤くなっているんだわ。
下を向いてやり過ごすことにした。

「……おはよう。
問題無く過ごしていると報告を受けている。
これからもそうあって欲しい。
昨日、シャンティの実家シトール家から後宮に差し入れが届いた。シトール領の最高級ブドウジュースだ。皆でいただきたいと思う。シャンティ、ありがとう。其方が送るように手紙に書いてくれたと聞いた」

「はい。
実は、ユピルピア様と特産品の話になりまして、ワインよりジュースがいいと仰るので、特別にワイン用の最高級ブドウをジュースにしていただきましたの」

「そうか。良かったな、ユピルピア」

「はい、シャンティ様、ありがとうございます。
ご家族にお礼のお手紙を書かせてください」

シャンティ様はニッコリ微笑んで返事をした。

「さて、食事にしよう」


ジュースが美味しくて食も進む。

「ユピルピアにジュースを注いでやってくれ」

日頃質素な献立にしてもらっているからか、もったいないと全部食べた。陛下の顔も見れないからひたすらナイフとフォークを動かして口に入れるしかなかったし。
そして美味しいジュースも飲んだ。

「そろそろデザートにしてくれ」

カクンカクンと身体が揺れる。強烈な眠気が襲っているのが分かる。

「(ユピルピア様)」

モアナ様が小声で私の名を呼んでいる。

目の前にフルーツが…

口に入れたけど、そこから記憶がなかった。

「……私が連れて行こう」

最後にそんな声が聞こえた気がする。

ふわりと浮いた。

抱き上げられて運ばれてる。きっとお父様かお兄様が運んでくださっているのだわ。

「…大好き」

「……ユピルピア」
 
「お父様…お兄様…」

「……」


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