【完結】お前も遊べばいいと言われたので

ユユ

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隣国の叔母

南北に細長く伸びたアロンジェ王国は小国だ。
南の土地は他国へ輸出できるほどの豊かな実りがあり、北は希少な薬草を数種類栽培している。

南寄りの中央に王都と王城があるが、細長いため攻め込まれたら王城まであっという間である。
大昔に薬草を一定量優先して納める代わりに従属国として隣国ペルマナント王国が守るという約束をした。

薬草は希少ではあるがペルマナントでも多少は採取出来るのでどうしても輸入しなくてはならない物ではない。
吸収してしまわないのはペルマナントの善意に近い。


ペルマナントに隣接する領地を構える家門はいくつかあるが、その内のひとつがリュフードゥル侯爵家。

父のベルナード、母のコーネリア、兄のアベル、そして私は学園を卒業したばかりの今年19歳になる長女だ。

私はペルマナント側の隣の領地に来ている。

父の妹がドミナシオン公爵家の分家であるレヴェルスマン伯爵家に嫁いでいて、私は2日前から滞在している。

護衛兼侍女のシルビーも一緒だ。




「リディアーヌ、今日の夜会はこの髪飾りをつけて行きなさい」

「黒いお花の髪飾りをですか?」

「これはね、『今夜はを楽しみます』という意味なのよ。
普通は赤い花にするのだけど黒は初心者という意味なの。

これを付けていれば経験が浅いか、未経験の者だとわかるから優しくしてくださるわ」

「男性もあるのですか」

「胸元に黒い花のブローチを付けていたら、この手の集いには初参加という意味よ」

「叔母様は行ったことがあるのですか」

「内緒だけどあるのよ。ガエルが浮気してると分かった時に行ったわ。彼とは半年くらい続いたわね」

「その後はどうなさったのですか」

「実は2ヶ月後に出会いの夜会で鉢合わせして私の遊びがバレてしまったのだけど、私の浮気はガエルが浮気したからだと知ったガエルが自分も別れるから私にも別れて欲しいと迫ってきたの。

拒否して、堂々と彼と交際したのだけどガエルが塞ぎ込むようになって痩せてしまって、交際期間半年でお別れしたわ。

腹立たしいけど死なれては困るから。
働いてもらわないとね。ふふっ」

そう言いながら仮面を箱から取り出した。
髪飾りと一緒に付けなくてはならないから。

ペルマナント王国の夫婦間において、女性の権利がしっかりしている。
国王以外は一夫一妻制で、浮気を理由に離縁できる。離縁せず自身も浮気する道を選ぶ人もいる。

離縁する際は婚前契約書に則って財産分与をする。それ以外に過失がある方が慰謝料を支払う。

婚前契約書は必ず国が介入し一方的なものでないか確認をしないと婚約・婚姻は認められない。慰謝料も妥当以上でないと国が介入して制裁をする。

王族へ嫁ぐ場合を除いて女性に処女であることを求めてはならずそれを理由に破棄はできない。

ただし、婚姻の3ヶ月前に検診をした後は婚家にて生活をして再度婚前に妊娠検査を行う。
貴族の血筋を守る為だ。これを拒否すれば女性側は多額の慰謝料と婚約破棄を受け入れなければならない。
妊娠はしているが相手が婚約者の場合は双方弁護士を交えて話し合う。

この国は女性が爵位をつぐことも可能で我が国とは大違いだ。


アロンジェ王国は男性優位の国で爵位も男性しか継げない。
貴族の妻には処女でない嫌がられる。それを理由に離縁されることもある。王族との縁談では絶対だ。

余裕があれば複数の妻を持ち、妻には貞淑が求められる。


「仮面と避妊薬とよ。
避妊薬は今飲んでしまいなさい。
乙女の祈りは初めての女性に苦痛を感じさせずに事を成す為のものよ。

自分で塗り込んでもいいし、相手にお願いしてもいいわ」

「ありがとうございます」

「閨教育は終わっているのよね」

「はい」

「薄明かりにして男性器を確認した方がいいわ。変な出来物があったり膿や悪臭、湿疹があったら症状を指摘して中断なさい。

口や舌に白っぽい出来物がある人も避けた方がいいわ」

「はい」

「シルビーも一緒に?」

「はい、奥様。お嬢様をお守りいたします」

「よろしくね。

リディアーヌ、支度をする間にもう一度よく考えてね。後戻りはできないから」

「決心は変わりませんわ」

「そう。素敵な殿方と出会えるといいわね」

「はい。叔母、ありがとうございます。
こうしていられるのも叔母様のお陰ですわ」

「手紙を読んだら許せなかったの。私の可愛い姪を大事にしない婚約者など放っておきなさい。それに先方が言い出したことなのだから」

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