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警戒する男
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【 クリス・メットの視点 】
すぐにメット公爵家の者が迎えにきてくれた。
メット公爵邸に移り住んだ。全くの別世界だった。
メット公爵夫妻はとても優しい人達だった。祖父母と同じくらい大事に迎えてくれた。
お披露目では今までの何倍も言い寄られた。婚約者がいる女まで色目を使う。欲の塊にしか見えなかった。
数日後、何故かレオナルド王太子殿下に呼び出された。
多分、メット家の元養子として忠告されるのだろうと思っていた。
「レオナルド王太子殿下にクリス・メットがご挨拶を申し上げます」
「クリス、座ってくれ」
「失礼します」
「血の繋がりもまるで無いが、俺とクリスは兄弟みたいなものだ。そうだろう?」
「え?………はい」
ここは“はい”と言っておいた方いいと思って肯定した。
「実はな、俺の大事な子が留学に来ることになってな。王宮に滞在させたかったが嫌がって寮に入ると言うんだ。そんなの許せるわけがないだろう?」
王太子殿下は足場を固めるために大急ぎで婚約して式も間近なのに大事な子?学園に通うような歳の?
「はあ、」
「それでメット家から通わせることにした」
「……そうですか」
「クリスは騎士になりたくて騎士学校へ?」
「はい。今は養子になりましたので騎士は難しいかと」
「なら貴族学園に編入してくれ」
「何故ですか?」
「アリスティーネが2年から通うから、3年に編入して欲しい。成績は問題ないし、全て手配済みだ」
拒否権はないのだな。
「かしこまりました。ですが王太子殿下の大切な令嬢でしたら私に近付けない方がよろしいのでは?」
後々 その令嬢が私に惚れて王太子殿下の不興を買うのはごめんだ。
「アリスティーネに限ってクリスの見た目で惚れることはない。俺が求婚しても冗談だと受け止めて断るくらいに権力や金に魅力を感じていないし、向こうの第二王子と独占欲の強い公爵家の息子を振り回していたが、見事に3人で拗れていた。王子に至ってはソレにさえ気が付いていない。
アリスティーネは、第二王子と公爵家の息子の幼馴染で、大事にされてきた。
そして王子妃にと候補になったが落ちた。
それがきっかけで元々妬んでいた令嬢達が意地悪をしてな。傷付いたんだ。更に不器用な公爵家の息子が傷付けたのでエスペランサに誘った」
「……」
訳ありか。
「もうすぐ到着するから、連絡をしたら夫妻と一緒に迎えに来るように」
「かしこまりました」
屋敷では令嬢を受け入れるための改装が始まっていた。
「いても2年間ですよ?」
「若い子がくるのよ。ちゃんとしてあげないと」
夫人…母上が張り切っていた。
レオナルド王太子殿下は王太子妃を迎えた。
その後 令嬢が到着したと呼び出された。
王宮の応接間の扉は開いていて、中から話し声が聞こえてきた。
「いつでも第二妃に迎えるからな。その気になったら遠慮するなよ」
「うわ、結婚したばかりなのにバカな冗談ばかり。
レオは相変わらずですね」
「俺に敬語は止めろ」
「嫌ですよ、クビが飛んじゃいます」
「いや、“バカ”呼ばわりした方が不敬だからな」
「やっぱり王太子殿下とお呼びします」
「何でだよ。姉弟の仲だろう」
とんでもなく親しいな。
エスペランサの王太子を捕まえて愛称呼びにバカなんて言うし。
しかし殿下は本当に気に入っているのだな。
それでも声は弾んでいるし敬語を使うなと言っているし、第二妃などと言っているし。
…姉弟って何だ?
「失礼いたします」
「メット公爵、夫人、今回はありがとうございます。彼女がエンブレア侯爵家の長女アリスティーネです」
「初めまして、アリスティーネ・エンブレアと申します。当面お世話になります」
「こちらこそよろしく頼むよ」
「まあ、なんて愛らしいのかしら」
「クリス・メットです。よろしくお願いします」
小さくて可愛い子だった。小動物みたいだ。
アリスティーネを連れ帰ると、彼女はすぐに溶け込んだ。入学前には4人で王都の町に何度か出掛け、買い物をしたり飲食を楽しんだ。
彼女は メット家にいるうちの1人程度の扱いで私に接する。居間にいる時は父上や母上との会話の合間に私に話を少し振る程度、それ以外であまり関わることはない。
だが登校が始まると2人の時間は増えていった。
まず登下校の馬車で、そして学食で。
私とアリスティーネは学園で注目の的だった。
お披露目からお誘いが倍増したから学園でも面倒臭いことになるのかと思っていたが、意外と少なかった。
すぐにメット公爵家の者が迎えにきてくれた。
メット公爵邸に移り住んだ。全くの別世界だった。
メット公爵夫妻はとても優しい人達だった。祖父母と同じくらい大事に迎えてくれた。
お披露目では今までの何倍も言い寄られた。婚約者がいる女まで色目を使う。欲の塊にしか見えなかった。
数日後、何故かレオナルド王太子殿下に呼び出された。
多分、メット家の元養子として忠告されるのだろうと思っていた。
「レオナルド王太子殿下にクリス・メットがご挨拶を申し上げます」
「クリス、座ってくれ」
「失礼します」
「血の繋がりもまるで無いが、俺とクリスは兄弟みたいなものだ。そうだろう?」
「え?………はい」
ここは“はい”と言っておいた方いいと思って肯定した。
「実はな、俺の大事な子が留学に来ることになってな。王宮に滞在させたかったが嫌がって寮に入ると言うんだ。そんなの許せるわけがないだろう?」
王太子殿下は足場を固めるために大急ぎで婚約して式も間近なのに大事な子?学園に通うような歳の?
「はあ、」
「それでメット家から通わせることにした」
「……そうですか」
「クリスは騎士になりたくて騎士学校へ?」
「はい。今は養子になりましたので騎士は難しいかと」
「なら貴族学園に編入してくれ」
「何故ですか?」
「アリスティーネが2年から通うから、3年に編入して欲しい。成績は問題ないし、全て手配済みだ」
拒否権はないのだな。
「かしこまりました。ですが王太子殿下の大切な令嬢でしたら私に近付けない方がよろしいのでは?」
後々 その令嬢が私に惚れて王太子殿下の不興を買うのはごめんだ。
「アリスティーネに限ってクリスの見た目で惚れることはない。俺が求婚しても冗談だと受け止めて断るくらいに権力や金に魅力を感じていないし、向こうの第二王子と独占欲の強い公爵家の息子を振り回していたが、見事に3人で拗れていた。王子に至ってはソレにさえ気が付いていない。
アリスティーネは、第二王子と公爵家の息子の幼馴染で、大事にされてきた。
そして王子妃にと候補になったが落ちた。
それがきっかけで元々妬んでいた令嬢達が意地悪をしてな。傷付いたんだ。更に不器用な公爵家の息子が傷付けたのでエスペランサに誘った」
「……」
訳ありか。
「もうすぐ到着するから、連絡をしたら夫妻と一緒に迎えに来るように」
「かしこまりました」
屋敷では令嬢を受け入れるための改装が始まっていた。
「いても2年間ですよ?」
「若い子がくるのよ。ちゃんとしてあげないと」
夫人…母上が張り切っていた。
レオナルド王太子殿下は王太子妃を迎えた。
その後 令嬢が到着したと呼び出された。
王宮の応接間の扉は開いていて、中から話し声が聞こえてきた。
「いつでも第二妃に迎えるからな。その気になったら遠慮するなよ」
「うわ、結婚したばかりなのにバカな冗談ばかり。
レオは相変わらずですね」
「俺に敬語は止めろ」
「嫌ですよ、クビが飛んじゃいます」
「いや、“バカ”呼ばわりした方が不敬だからな」
「やっぱり王太子殿下とお呼びします」
「何でだよ。姉弟の仲だろう」
とんでもなく親しいな。
エスペランサの王太子を捕まえて愛称呼びにバカなんて言うし。
しかし殿下は本当に気に入っているのだな。
それでも声は弾んでいるし敬語を使うなと言っているし、第二妃などと言っているし。
…姉弟って何だ?
「失礼いたします」
「メット公爵、夫人、今回はありがとうございます。彼女がエンブレア侯爵家の長女アリスティーネです」
「初めまして、アリスティーネ・エンブレアと申します。当面お世話になります」
「こちらこそよろしく頼むよ」
「まあ、なんて愛らしいのかしら」
「クリス・メットです。よろしくお願いします」
小さくて可愛い子だった。小動物みたいだ。
アリスティーネを連れ帰ると、彼女はすぐに溶け込んだ。入学前には4人で王都の町に何度か出掛け、買い物をしたり飲食を楽しんだ。
彼女は メット家にいるうちの1人程度の扱いで私に接する。居間にいる時は父上や母上との会話の合間に私に話を少し振る程度、それ以外であまり関わることはない。
だが登校が始まると2人の時間は増えていった。
まず登下校の馬車で、そして学食で。
私とアリスティーネは学園で注目の的だった。
お披露目からお誘いが倍増したから学園でも面倒臭いことになるのかと思っていたが、意外と少なかった。
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