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信じてもらえぬ愛
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【 ノエルの視点 】
私のせいだ。
クリスティーナの美しく柔らか頬にハサミの傷が入ったのも、艶めき滑る髪が切り落とされたのも、頬や服が血に染まったのも私のせいだ。
尋「バーバラ・ノマックはファーズ侯爵令嬢の髪が気に入らず切ろうとしただけで、頬は令嬢が振り向いて刃が当たってしまったと申しております」
尋問官の報告に思考が鈍る。
髪…少し前に彼女の髪と比べて追い払った。
侯「普通の令嬢にとって髪はとても大事なもの。なのに“だけ” ?
私の最愛の娘に?」
子「も、申し訳ございません」
平謝りをするのはノマック子爵だ。
陛「クリスティーナ嬢の怪我は?」
医「頬の傷は刃が当たって切れたと言うよりは、ハサミで切ったという表現が妥当です。刃と刃を合わせて挟んで切ったということです。
よって傷は然程長くはありませんが少し深さがあります。
麻酔をして縫合し、安静にしていただいております。
顔の筋肉は思う以上に使いますので、何をするにしても痛むでしょう。
傷自体は治ってくれるとは思います。
時には傷が悪化して重篤になる場合も無くもありませんが、普通なら治ります。…ただ傷跡は残るでしょう」
残る? クリスティーナの顔に?
子「娘が悪いのは百も承知ですが、娘も鼻を折られて、」
父「正当防衛だろう。
突然顔に刃物で攻撃されたら命の危険を感じるのが普通だ。
首を刺されるかも、目を刺されるかもと咄嗟に手が伸びて運悪く鼻に当たっただけじゃないか」
陛「その通りだ。後ろから顔をハサミで切られたら 誰もがクリスティーナ嬢と同じことをするだろう」
私「子爵。スプラナード家は何度も縁談を断ったのに何故娘を諌めなかったのですか」
子「公子?」
私「事件の前にノマック嬢に言い寄られてはっきりと断りました。何度も断っているのだから止めてほしいと。
矛先をクリスティーナに向けるくらいなら私を刺せば良かっただろう!」
ウ「子爵。貴方の娘は茶会などでクリスティーナ嬢について“アバズレだ、淫乱だ” 、“王子の私と公子のノエルの二股をかけている” と吹聴していた。
その結果、クリスティーナ嬢は女生徒達に心無い言葉を浴びせられるようになった。
机に落書きがされていたり 悪辣な手紙が入っていたり 私物が消えたりといった嫌がらせを受けていた。
私達は幼馴染で友人同士だ。やましい事など一つもない」
子「バーバラがやったというのは何かの間違いです!」
ウ「被害を確認してから見張りを置いたのだ。
ノマック邸に招かれて、子爵令嬢から侯爵令嬢を侮辱する言葉を聞かされたそうだ。
一度ではないぞ」
子「そんなまさか」
陛「こうなっては子爵も拘束するしかない」
子「え!?」
陛「子爵邸で王族と侯爵令嬢への名誉を穢すことを度々言われてはなぁ。
調べが済むまで拘束する」
子「陛下! 陛下!!」
子爵が連れていかれると、陛下は溜息を吐いた。
陛「ノマック子爵家の捜索ができるな」
侯「直ぐに王都の屋敷と領地を調べます」
陛「クリスティーナ嬢は…」
侯「まあ、大丈夫でしょう。私がついておりますから」
その夜、父上にクリスティーナへの求婚の許可を願い出た。
「やっとか」
「はい」
嫌われたくなくて、避けられたくなくて、ずっと躊躇ってきた求婚だった。
セ「タイミングが悪いかもな」
私「どういうことですか セイル兄上」
セ「もしかしたら、傷の件で同情して求婚しているのだと思われかねないぞ」
エ「そうね。事件の前から求婚しているのと そうでないのとでは まるで違うもの。
クリスティーナちゃんが少しでも貴方の気持ちに気付けていたら良かったけど、鈍感だったから」
セ「正攻法の求婚では無理かもしれない」
それは現実となった。
私のせいだ。
クリスティーナの美しく柔らか頬にハサミの傷が入ったのも、艶めき滑る髪が切り落とされたのも、頬や服が血に染まったのも私のせいだ。
尋「バーバラ・ノマックはファーズ侯爵令嬢の髪が気に入らず切ろうとしただけで、頬は令嬢が振り向いて刃が当たってしまったと申しております」
尋問官の報告に思考が鈍る。
髪…少し前に彼女の髪と比べて追い払った。
侯「普通の令嬢にとって髪はとても大事なもの。なのに“だけ” ?
私の最愛の娘に?」
子「も、申し訳ございません」
平謝りをするのはノマック子爵だ。
陛「クリスティーナ嬢の怪我は?」
医「頬の傷は刃が当たって切れたと言うよりは、ハサミで切ったという表現が妥当です。刃と刃を合わせて挟んで切ったということです。
よって傷は然程長くはありませんが少し深さがあります。
麻酔をして縫合し、安静にしていただいております。
顔の筋肉は思う以上に使いますので、何をするにしても痛むでしょう。
傷自体は治ってくれるとは思います。
時には傷が悪化して重篤になる場合も無くもありませんが、普通なら治ります。…ただ傷跡は残るでしょう」
残る? クリスティーナの顔に?
子「娘が悪いのは百も承知ですが、娘も鼻を折られて、」
父「正当防衛だろう。
突然顔に刃物で攻撃されたら命の危険を感じるのが普通だ。
首を刺されるかも、目を刺されるかもと咄嗟に手が伸びて運悪く鼻に当たっただけじゃないか」
陛「その通りだ。後ろから顔をハサミで切られたら 誰もがクリスティーナ嬢と同じことをするだろう」
私「子爵。スプラナード家は何度も縁談を断ったのに何故娘を諌めなかったのですか」
子「公子?」
私「事件の前にノマック嬢に言い寄られてはっきりと断りました。何度も断っているのだから止めてほしいと。
矛先をクリスティーナに向けるくらいなら私を刺せば良かっただろう!」
ウ「子爵。貴方の娘は茶会などでクリスティーナ嬢について“アバズレだ、淫乱だ” 、“王子の私と公子のノエルの二股をかけている” と吹聴していた。
その結果、クリスティーナ嬢は女生徒達に心無い言葉を浴びせられるようになった。
机に落書きがされていたり 悪辣な手紙が入っていたり 私物が消えたりといった嫌がらせを受けていた。
私達は幼馴染で友人同士だ。やましい事など一つもない」
子「バーバラがやったというのは何かの間違いです!」
ウ「被害を確認してから見張りを置いたのだ。
ノマック邸に招かれて、子爵令嬢から侯爵令嬢を侮辱する言葉を聞かされたそうだ。
一度ではないぞ」
子「そんなまさか」
陛「こうなっては子爵も拘束するしかない」
子「え!?」
陛「子爵邸で王族と侯爵令嬢への名誉を穢すことを度々言われてはなぁ。
調べが済むまで拘束する」
子「陛下! 陛下!!」
子爵が連れていかれると、陛下は溜息を吐いた。
陛「ノマック子爵家の捜索ができるな」
侯「直ぐに王都の屋敷と領地を調べます」
陛「クリスティーナ嬢は…」
侯「まあ、大丈夫でしょう。私がついておりますから」
その夜、父上にクリスティーナへの求婚の許可を願い出た。
「やっとか」
「はい」
嫌われたくなくて、避けられたくなくて、ずっと躊躇ってきた求婚だった。
セ「タイミングが悪いかもな」
私「どういうことですか セイル兄上」
セ「もしかしたら、傷の件で同情して求婚しているのだと思われかねないぞ」
エ「そうね。事件の前から求婚しているのと そうでないのとでは まるで違うもの。
クリスティーナちゃんが少しでも貴方の気持ちに気付けていたら良かったけど、鈍感だったから」
セ「正攻法の求婚では無理かもしれない」
それは現実となった。
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