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なぜか成り立つ会話

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お呼ばれして再び泊まりに来た。

呼んだのはノーブルの王太子夫妻。

一緒に庭園の花を鑑賞したり王都にお忍びしたり、イリス様に着せ替え人形にされたり。
ドレスはブカブカで、仕立てると言い出して断るのが大変だった。

晩餐を終えて、おふたりの滞在するお部屋の中にある応接間に連れてこられた。
聞かれたくない話があるとか。
私にも聞かせないで欲しいと願うも、イリス様に腕を組まれて仕方なかった。

私「はい? 第二妃ですか!?」

オ「そうだ。俺の妃だ。公務は気乗りしないものはしなくていい。だが王宮で開かれるパーティや茶会は参加するものもあるが、正妃イリスと比べたら数少ない。

大切にすると誓おう」

イ「私、クリスティーナ様を気に入ったの。
貴方が一緒に暮らしてくれたら嬉しいわ。
私が責任を持って守って差し上げるから安心して」

私「とても身に余るお話で……。
私はファーズ侯爵家の跡取りで、婚約者もおります。

今の暮らしをとても気に入っております。

それにご覧になったと思いますが、私はお妃様に相応しい行動を取れませんわ」

イ「アレは仕方のないことよ」

私「王太子殿下はその前に目撃なさいましたよね」

オ「忘れるわけがないだろう。それでもクリスティーナを迎えたいと言っているんだ」

私「私は、」

イ「そんなに直ぐに答えを出さずに熟考してちょうだい。 
ファーズ侯爵は貴方の気持ちを尊重すると仰ったわ」

私「父が?」

オ「公子はクリスティーナと婚約を解消しても引くて数多だ。心配することは無い」

思い出したわ。

私「私、既に他所にお嫁には行けない体なのです」

ガチャン

オスカー王太子殿下がカップを落としてしまった。

オ「あの男!数日前に婚約したばかりなのに もう手を付けたと言うのか!」

イ「こんな小さな子に……
これは一存では進められないわ」

オ「クリスティーナ。
父上と相談してどうするか決める」

イ「妃の許可がおりなければ、私が囲うわ」

私「あの、公子も他所にお婿に行けない体で」

オ「へ?」

イ「ん?」

私「このままの方が」

オ「(なあ、どういう意味だ)」

イ「(フォセット独特の何かがあるのかしら)」

オ「(もしかして)」

イ「(まさか)」

ここで2人は、ノエルが余命わずかで、それ故に婚前に交わったと勘違いをした。

オ「不運ではあるな」

イ「そうね」

オ「後どのくらいなんだ」

ここでクリスティーナは、結婚まであとどのくらいかと聞かれたと思った。

私「1年もございません」

イ「(何てこと)」

オ「(強がっていたが公子は無理をしていたのだな)」

イ「その間に子は作らないわよね?」

私「子ですか?有り得ません」

イ「(なら待ちましょう)」

オ「(無理に事を進めるより、一年経てば永遠の解消になる。そのときにクリスティーナを迎えよう)」

イ「(気落ちしたクリスティーナ様を慰めないと)」

オ「(そうだな)」

イ「気をしっかり持つのよ」

オ「辛いときは辛いと言え」

私「仰る通りにします。ありがとうございます」

と、会話は成り立ってしまっていた。

誤解したまま王太子夫妻は帰国した。


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