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もう愛していません
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週明け、授業が全て終わると いつものようにゼイン様が教室へ顔を出した。
「エヴリン」
「ゼイン様」
「明日の放課後、うちに来るって聞いたけど」
「はい」
「伯爵も一緒だって?」
「はい」
「でも食事会じゃないなんて、どうしたんだ?」
「それは明日お話します」
「馬車は一緒でいいよね」
「父が迎えに来ますので結構です」
「そう…分かった。愛、」
「エヴリン~、これ、提出物じゃない?急いで職員室へ行くわよ~」
ローゼが察して呼んでくれた。助かった。
「エヴリン、な、」
「では!ごきげんよう」
何を言おうとしたのか分からないけど言葉を強めに被せた。ゼイン様は少し驚いていたけど 席に戻って帰り支度をした。
翌日、学園に迎えが到着した。
中にはお父様が乗っていた。
馬車に乗り込み出発すると、お父様の腕にしがみついた。
「大丈夫だよ エヴリン」
「はい」
「セロー公爵から手紙が届いたよ。揉めるようならいつでも言って欲しいと書いてあった。セロー家の皆様はお優しい方ばかりだな」
「まるで第二の実家のように大事にしてもらっています」
「跡継ぎ同士じゃなければな」
「何がですか?」
「どちらかが跡継ぎじゃなければユリウス殿と結婚もあり得るのだが」
「まさか。公爵家ですよ?
可愛がってはもらっていますが お嫁さんとなると話は別ですよ。
それにユリウスは私のことを妹ととしか思っていません」
「そうか?」
「そうですよ。昔、公爵邸に遊びに行ったときに嵐になって、泊まることになったとき、夜の廊下の甲冑を見て驚いて粗相をしたことがあるのです。
ユリウス様はメイドに布を持ってこさせて私を包むと浴室に連れて行って洗って着替えさせてくれました。その後はルイーズ様とリリー様と4人で眠りました。
妹だと思っていなければ そんなことはしません」
「ユ、ユリウス殿が洗ったのか?」
「はい」
「服を脱がせて?」
「そうですよ?濡れましたから」
「いくつの時だ」
「5歳です。本当に怖かったのですよ。雨風が窓を叩いていて雷が光ってドーンって大きな音がして。
雷の光が甲冑を照らしていたのです。
廊下の曲がり角を曲がったらソレがあったので、心臓が破裂しそうなほど驚きました」
「それっきりだろうな」
「次の日には甲冑は撤去されていました」
「……そうか」
お父様は何か言いたそうだったけどキューレイ邸が見えてきたので気持ちを切り替えた。
到着すると夫人とゼイン様が出迎えた。応接間に通されるとすぐに侯爵も現れた。
侯爵夫妻が2人掛けソファに、私と父も2人掛けソファに、ゼイン様は私側の1人掛けのソファに座った。
「先ずはこちらの書類をご確認願います」
お父様が侯爵に調査報告書の入った封筒を手渡した。
「拝見します」
侯爵は直ぐに険しい顔になった。読み終わると隣の侯爵夫人に渡した。侯爵夫人の顔からも笑みが消えた。
「ゼイン…」
「どうしましたか?」
ゼイン様は夫人から書類を受け取った。
「!!」
書類の文字を目で追い、ページを捲るゼイン様の顔からは血の気が引いていた。
「ランドール家は婚約解消を申し立てます」
「待ってください!」
ゼイン様が立ち上がり、私の側で膝を着き手を握ろうとした。堪らず叫んでしまった。
「触らないで!!」
「エヴリンっ」
「私に触らないでください!」
お父様にしがみついた。
「ゼイン殿、娘に触れないでいただきたい」
「本気ではなかったのです!」
ゼイン様を見ないまま理由を聞いた。
「浮気をした理由は何ですか」
「魔がさしたんだ、すまない」
「魔がさしたって何ですか。たった一度の誤ちのことを魔がさしたと言うのではありませんか?
複数の女性と しかも複数回関係を持ったら、自らの意志で浮気をする常習犯ですよね」
「彼女達のことは本当に好きでも何でもないんだ」
「好きでもないのに体の関係を持ち続けるのですか」
「性欲の解消だった」
「だとしたら娼館という選択肢にはならなかったのですか」
「…すまない」
「私にはあなたが楽しんでいたように思えてなりません」
「そんなことはない!愛しているのはエヴリンだけだ!」
「婚約の解消をお願いします!」
「絶対に嫌だ!」
「もう無理です!」
「今まで上手くいっていたじゃないか……まさかユリウス様が唆したのか」
「他人を巻き込まないでください。
上手くいっていたのではなく、“上手く騙せていた”の間違いですよね」
「騙してなんか…エヴリンは疑っていなかっただろう?やっぱりユリウス様が何か言ったのだろう?」
「まだ関係のないユリウス様の名を出すのですか?
ユリウス様は私とあなたの婚約を祝ってくださっていたのですよ!
もしユリウス様が私より先にあなたの浮気を知ったのなら、あなたに直接苦言を言いに行くはずです。
確かにあなたは上手く私を騙せていました。口先だけの愛の囁きも疑っていませんでした。でも、この目で直接見てしまったら、馬鹿な私でも気が付きます!あなたとカレス嬢が馬車の中で交わっているところを馬車の窓越しから見てしまえば!!」
「っ!!」
ゼイン様は驚いた顔をした。
「エヴリン」
「ゼイン様」
「明日の放課後、うちに来るって聞いたけど」
「はい」
「伯爵も一緒だって?」
「はい」
「でも食事会じゃないなんて、どうしたんだ?」
「それは明日お話します」
「馬車は一緒でいいよね」
「父が迎えに来ますので結構です」
「そう…分かった。愛、」
「エヴリン~、これ、提出物じゃない?急いで職員室へ行くわよ~」
ローゼが察して呼んでくれた。助かった。
「エヴリン、な、」
「では!ごきげんよう」
何を言おうとしたのか分からないけど言葉を強めに被せた。ゼイン様は少し驚いていたけど 席に戻って帰り支度をした。
翌日、学園に迎えが到着した。
中にはお父様が乗っていた。
馬車に乗り込み出発すると、お父様の腕にしがみついた。
「大丈夫だよ エヴリン」
「はい」
「セロー公爵から手紙が届いたよ。揉めるようならいつでも言って欲しいと書いてあった。セロー家の皆様はお優しい方ばかりだな」
「まるで第二の実家のように大事にしてもらっています」
「跡継ぎ同士じゃなければな」
「何がですか?」
「どちらかが跡継ぎじゃなければユリウス殿と結婚もあり得るのだが」
「まさか。公爵家ですよ?
可愛がってはもらっていますが お嫁さんとなると話は別ですよ。
それにユリウスは私のことを妹ととしか思っていません」
「そうか?」
「そうですよ。昔、公爵邸に遊びに行ったときに嵐になって、泊まることになったとき、夜の廊下の甲冑を見て驚いて粗相をしたことがあるのです。
ユリウス様はメイドに布を持ってこさせて私を包むと浴室に連れて行って洗って着替えさせてくれました。その後はルイーズ様とリリー様と4人で眠りました。
妹だと思っていなければ そんなことはしません」
「ユ、ユリウス殿が洗ったのか?」
「はい」
「服を脱がせて?」
「そうですよ?濡れましたから」
「いくつの時だ」
「5歳です。本当に怖かったのですよ。雨風が窓を叩いていて雷が光ってドーンって大きな音がして。
雷の光が甲冑を照らしていたのです。
廊下の曲がり角を曲がったらソレがあったので、心臓が破裂しそうなほど驚きました」
「それっきりだろうな」
「次の日には甲冑は撤去されていました」
「……そうか」
お父様は何か言いたそうだったけどキューレイ邸が見えてきたので気持ちを切り替えた。
到着すると夫人とゼイン様が出迎えた。応接間に通されるとすぐに侯爵も現れた。
侯爵夫妻が2人掛けソファに、私と父も2人掛けソファに、ゼイン様は私側の1人掛けのソファに座った。
「先ずはこちらの書類をご確認願います」
お父様が侯爵に調査報告書の入った封筒を手渡した。
「拝見します」
侯爵は直ぐに険しい顔になった。読み終わると隣の侯爵夫人に渡した。侯爵夫人の顔からも笑みが消えた。
「ゼイン…」
「どうしましたか?」
ゼイン様は夫人から書類を受け取った。
「!!」
書類の文字を目で追い、ページを捲るゼイン様の顔からは血の気が引いていた。
「ランドール家は婚約解消を申し立てます」
「待ってください!」
ゼイン様が立ち上がり、私の側で膝を着き手を握ろうとした。堪らず叫んでしまった。
「触らないで!!」
「エヴリンっ」
「私に触らないでください!」
お父様にしがみついた。
「ゼイン殿、娘に触れないでいただきたい」
「本気ではなかったのです!」
ゼイン様を見ないまま理由を聞いた。
「浮気をした理由は何ですか」
「魔がさしたんだ、すまない」
「魔がさしたって何ですか。たった一度の誤ちのことを魔がさしたと言うのではありませんか?
複数の女性と しかも複数回関係を持ったら、自らの意志で浮気をする常習犯ですよね」
「彼女達のことは本当に好きでも何でもないんだ」
「好きでもないのに体の関係を持ち続けるのですか」
「性欲の解消だった」
「だとしたら娼館という選択肢にはならなかったのですか」
「…すまない」
「私にはあなたが楽しんでいたように思えてなりません」
「そんなことはない!愛しているのはエヴリンだけだ!」
「婚約の解消をお願いします!」
「絶対に嫌だ!」
「もう無理です!」
「今まで上手くいっていたじゃないか……まさかユリウス様が唆したのか」
「他人を巻き込まないでください。
上手くいっていたのではなく、“上手く騙せていた”の間違いですよね」
「騙してなんか…エヴリンは疑っていなかっただろう?やっぱりユリウス様が何か言ったのだろう?」
「まだ関係のないユリウス様の名を出すのですか?
ユリウス様は私とあなたの婚約を祝ってくださっていたのですよ!
もしユリウス様が私より先にあなたの浮気を知ったのなら、あなたに直接苦言を言いに行くはずです。
確かにあなたは上手く私を騙せていました。口先だけの愛の囁きも疑っていませんでした。でも、この目で直接見てしまったら、馬鹿な私でも気が付きます!あなたとカレス嬢が馬車の中で交わっているところを馬車の窓越しから見てしまえば!!」
「っ!!」
ゼイン様は驚いた顔をした。
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