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パトリシア 3
帰ってからママと話をした。
『今日聞いたことは全てが事実と思って接しては駄目よ。もしかしたら誤解や誤報があるかもしれないから』
『でも夫人たちは…』
『私達はいわゆる新興貴族なの。間違ったことを口にして他人に広めたら制裁が待っているわ。
同じ爵位でも家格は違って序列があるの。気を抜いては駄目よ。
他の家は許してもらえても、コルベーヌ家は許してもらえない可能性が高い。
そうなると貴女も私も貴女の父や兄も、兄のお嫁さんや婚約者も酷い目にあうのよ。
得た情報は、外に出すなら確信がないと駄目。自分の目で見たとか裏取をしたとか。
話していいのは夫だけ。茶会の噂話で本当かどうか分からないけどと前置きをするの。
そうすれば気になる情報は夫が調べて活用するわ』
『伯爵夫人の教育とは何でしょう』
『ノーディング夫人に教えを乞うしかないわね』
翌日、次の休みはノーディング家に行って夫人にお願いしようと約束を取り付ける手紙を書いていた。
『お嬢様宛の手紙なのですが、差出人の名前が名前が無くて。
旦那様に先に確認をしてもらいますか』
照明に当てると1枚の紙程度のものしか入っていない。紙は上等なものだ。
『私が見るからいいわ』
開封して手紙を読むと手が冷たくなっていった。
“貴女の婚約者が不審な動きをしています。
公にならないうちに手綱を締めてください。
貴女にはその権利があり、婚約者には貴女に誠実である義務があるはずです。
特に17日は監視が必要です。突然伯爵邸に訪ねることをお勧めします。”
17日といえばデビュータント。
食堂の本館で3年生の利用禁止の紙が貼られていた。
休み時間に教室にいない事もあった。
まさか!
17日、突然ノーディング家を訪ねると、パーティー用の服を着たデニスが馬車に乗るところだった。
「デニス!!」
「パトリシアっ!」
仮面が剥がれた。
「どこに行くの」
「友人のパーティに呼ばれている」
「招待状を見せて」
「親しい友人でそんなものはいらない」
「ならご友人の屋敷まで見送るわ」
「…それは契約に無い」
冷たい瞳。笑顔の仮面が外れたらどんな目をしていたのかはっきりとわかった。
「デビュータントに行くのは知ってるわ。
意中の令嬢がいるのね。それは契約違反よ」
「何なんだよお前は!!
まるでお前に囲われた愛人じゃないか!」
「そんなことない! 大事に愛してきたわ!」
「金で縛って言うことを聞かせていただけだろう!好き勝手に振る舞って…私がどんな思いでいたか!
ちょっとの自由も許されないなら結婚契約じゃなくて奴隷契約に書き換えて、借金じゃない金を出せ!
お前がしているのは飼い殺しだ!
私は人形に見えるか?犬に見えるか?奴隷に見えたのか!?」
「ううっ…酷い」
「誰のエスコートもしていないしパートナーになってもいない。セックスもしていない。
貢ぎ物もしていないから不貞ではない。
不満ならお前の有責だ。好きに解消しろ」
それでも行かせたくなくてデニスにしがみついた。
「お願い行かないで!デニスが好きなの!他の女に心が向くなんて耐えられない!」
「心は自由になるわけがないだろう。
書かれたことに違反はしていない。
そもそも借入ってなんだよ。
金貸との違いは利息が有るか無いかの差なのに、なんでこんな束縛をされなくちゃならないんだ!酷いのはどっちだ!
全額返さなくていい援助なら納得できるよ。
私の立場がお前だったらどうだ?
好きでもない男にベタベタされて付き纏われて束縛されて、学園も休みも一緒で、異性と話すと不機嫌になって怒り出す男を我慢して得られるのは利息分だ。他は全額返さないとならない。
そんなんで相手の男を愛せるか?」
「あ…」
「出かける費用も贈り物の代金も全て借金に変わるんだ。こんなの詐欺だろう!
逆の立場ならどうだ。好きでもない男とのデート代やプレゼント代を借金してお前が支払わなければならないんだぞ」
「っ……ごめんなさい」
「離せ」
「デニス…ううっ」
「離せ!!」
振り払われそのままデニスの手は高く上がった。叩かれる!そう思った。
「デニス!何をしているの!」
「チッ 母上」
「パトリシアさん、デニスがごめんなさい」
「母上、私は契約をしっかり守ってきました。なのに彼女が契約以上のことを求めたのです。
私は限界です。これ以上契約外のことをするつもりはありません」
「デニス!」
「黙って従っていればこうやって付け上がる。最低だ。
これからは、きっちりと契約に書かれた事だけしかしない。
愛想良くなどと書いていないからもう笑顔は止める。纏わりつく事を許容しろなどと書いていないから止めてもらう。
婚約者の義務?お前は果たせてると思っているのか?幼い子供みたいに振る舞って。
貴族の令嬢はお前みたいに腕に絡んでベタベタしない。はしたないと言われる行為だと教わらないのか?
学校は平等とは言いつつもそうではない。ただ私と話しただけでお前が牽制した相手はコルベーヌ家よりも格上の者達ばかりだ。
学校から一歩でも出たら、お礼が待っているのが分からないのか?
令嬢達が笑顔だからって、許されていると思うなよ?顔に出さないだけで、今後社交でどう虐めようか考えてるからな」
「ううっ…」
「親が死んだわけでもないのに泣きすぎだ。貴族令嬢ではあり得ない」
「デニス!いい加減にしなさい!」
「母上、内容は間違っていましたか?
これから伯爵夫人の教育をする時に、今の私の指摘を否定できますか?」
「それは…」
「はぁ。社交に出せるまでに何年かかるだろうか。
言っておくが、婚姻後は伯爵夫人として振る舞える様になるまで必須な社交以外は外に出さないからな。
子供も作らない。
今のままじゃ、パトリシアが2人に増えるだけだ。子に伯爵家の子としての教育ができるようになるまで手は出さない。
初夜だけは義務だから避妊薬を使う」
「デニス…」
「暴言などと思うなよ。お前がしてきた事を話し、貴族として当たり前のことを指摘しているだけだからな。聞いてて暴言だと思うと言うことはお前が聞くに耐えない事をしてきた証拠だ。
事実しか話していないのだからな」
『今日聞いたことは全てが事実と思って接しては駄目よ。もしかしたら誤解や誤報があるかもしれないから』
『でも夫人たちは…』
『私達はいわゆる新興貴族なの。間違ったことを口にして他人に広めたら制裁が待っているわ。
同じ爵位でも家格は違って序列があるの。気を抜いては駄目よ。
他の家は許してもらえても、コルベーヌ家は許してもらえない可能性が高い。
そうなると貴女も私も貴女の父や兄も、兄のお嫁さんや婚約者も酷い目にあうのよ。
得た情報は、外に出すなら確信がないと駄目。自分の目で見たとか裏取をしたとか。
話していいのは夫だけ。茶会の噂話で本当かどうか分からないけどと前置きをするの。
そうすれば気になる情報は夫が調べて活用するわ』
『伯爵夫人の教育とは何でしょう』
『ノーディング夫人に教えを乞うしかないわね』
翌日、次の休みはノーディング家に行って夫人にお願いしようと約束を取り付ける手紙を書いていた。
『お嬢様宛の手紙なのですが、差出人の名前が名前が無くて。
旦那様に先に確認をしてもらいますか』
照明に当てると1枚の紙程度のものしか入っていない。紙は上等なものだ。
『私が見るからいいわ』
開封して手紙を読むと手が冷たくなっていった。
“貴女の婚約者が不審な動きをしています。
公にならないうちに手綱を締めてください。
貴女にはその権利があり、婚約者には貴女に誠実である義務があるはずです。
特に17日は監視が必要です。突然伯爵邸に訪ねることをお勧めします。”
17日といえばデビュータント。
食堂の本館で3年生の利用禁止の紙が貼られていた。
休み時間に教室にいない事もあった。
まさか!
17日、突然ノーディング家を訪ねると、パーティー用の服を着たデニスが馬車に乗るところだった。
「デニス!!」
「パトリシアっ!」
仮面が剥がれた。
「どこに行くの」
「友人のパーティに呼ばれている」
「招待状を見せて」
「親しい友人でそんなものはいらない」
「ならご友人の屋敷まで見送るわ」
「…それは契約に無い」
冷たい瞳。笑顔の仮面が外れたらどんな目をしていたのかはっきりとわかった。
「デビュータントに行くのは知ってるわ。
意中の令嬢がいるのね。それは契約違反よ」
「何なんだよお前は!!
まるでお前に囲われた愛人じゃないか!」
「そんなことない! 大事に愛してきたわ!」
「金で縛って言うことを聞かせていただけだろう!好き勝手に振る舞って…私がどんな思いでいたか!
ちょっとの自由も許されないなら結婚契約じゃなくて奴隷契約に書き換えて、借金じゃない金を出せ!
お前がしているのは飼い殺しだ!
私は人形に見えるか?犬に見えるか?奴隷に見えたのか!?」
「ううっ…酷い」
「誰のエスコートもしていないしパートナーになってもいない。セックスもしていない。
貢ぎ物もしていないから不貞ではない。
不満ならお前の有責だ。好きに解消しろ」
それでも行かせたくなくてデニスにしがみついた。
「お願い行かないで!デニスが好きなの!他の女に心が向くなんて耐えられない!」
「心は自由になるわけがないだろう。
書かれたことに違反はしていない。
そもそも借入ってなんだよ。
金貸との違いは利息が有るか無いかの差なのに、なんでこんな束縛をされなくちゃならないんだ!酷いのはどっちだ!
全額返さなくていい援助なら納得できるよ。
私の立場がお前だったらどうだ?
好きでもない男にベタベタされて付き纏われて束縛されて、学園も休みも一緒で、異性と話すと不機嫌になって怒り出す男を我慢して得られるのは利息分だ。他は全額返さないとならない。
そんなんで相手の男を愛せるか?」
「あ…」
「出かける費用も贈り物の代金も全て借金に変わるんだ。こんなの詐欺だろう!
逆の立場ならどうだ。好きでもない男とのデート代やプレゼント代を借金してお前が支払わなければならないんだぞ」
「っ……ごめんなさい」
「離せ」
「デニス…ううっ」
「離せ!!」
振り払われそのままデニスの手は高く上がった。叩かれる!そう思った。
「デニス!何をしているの!」
「チッ 母上」
「パトリシアさん、デニスがごめんなさい」
「母上、私は契約をしっかり守ってきました。なのに彼女が契約以上のことを求めたのです。
私は限界です。これ以上契約外のことをするつもりはありません」
「デニス!」
「黙って従っていればこうやって付け上がる。最低だ。
これからは、きっちりと契約に書かれた事だけしかしない。
愛想良くなどと書いていないからもう笑顔は止める。纏わりつく事を許容しろなどと書いていないから止めてもらう。
婚約者の義務?お前は果たせてると思っているのか?幼い子供みたいに振る舞って。
貴族の令嬢はお前みたいに腕に絡んでベタベタしない。はしたないと言われる行為だと教わらないのか?
学校は平等とは言いつつもそうではない。ただ私と話しただけでお前が牽制した相手はコルベーヌ家よりも格上の者達ばかりだ。
学校から一歩でも出たら、お礼が待っているのが分からないのか?
令嬢達が笑顔だからって、許されていると思うなよ?顔に出さないだけで、今後社交でどう虐めようか考えてるからな」
「ううっ…」
「親が死んだわけでもないのに泣きすぎだ。貴族令嬢ではあり得ない」
「デニス!いい加減にしなさい!」
「母上、内容は間違っていましたか?
これから伯爵夫人の教育をする時に、今の私の指摘を否定できますか?」
「それは…」
「はぁ。社交に出せるまでに何年かかるだろうか。
言っておくが、婚姻後は伯爵夫人として振る舞える様になるまで必須な社交以外は外に出さないからな。
子供も作らない。
今のままじゃ、パトリシアが2人に増えるだけだ。子に伯爵家の子としての教育ができるようになるまで手は出さない。
初夜だけは義務だから避妊薬を使う」
「デニス…」
「暴言などと思うなよ。お前がしてきた事を話し、貴族として当たり前のことを指摘しているだけだからな。聞いてて暴言だと思うと言うことはお前が聞くに耐えない事をしてきた証拠だ。
事実しか話していないのだからな」
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