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パトリシア 4
結局、デニス様は出かけてしまった。
「パトリシアさん。中に入って。
お顔を洗いましょう」
屋敷に入れてもらい、顔を洗った。
お茶を出してもらい夫人と話をした。
「デニスの言ったことは本当ですか」
「途中からしか聞こえなかっだけど、聞こえた部分はその通りよ」
「貴族令嬢としては落第ということですね」
「最初から貴族の生活をしていて習うのと、別の生活の下地ができていて矯正しようとするのでは難易度が違うわね。
コルベーヌ家は裕福だし、それは男爵様の努力と才能よ。とても尊敬すべきことでそれが認められて爵位を得たのだから誇りに思うべきだわ。
だけど王族や貴族は血を大事にして繋げていくの。婚姻も大抵が貴族同士だわ。だから遥か昔の当主から追っていくと様々な家門と縁を繋いでいるのよ。
だから貴族の仲間意識が強いという風に言えば良いかしら」
「私達は余所者と言うことですか」
「相手の縄張りに入ったのに、仕来りを無視したら爪弾きにあうわ。
だから一生懸命、入ってしまった縄張りについて学ぶのよ。
元々の貴族達と遜色なく振舞えるようになれば、次第に気にされなくなるわ」
「私、デニスが好きで、すごく好きで…一緒に居たくて」
「デニスにとっては契約だから温度差があるのは当然だわ。貴族は政略結婚が多いから、恋愛する恋人達のような事を求められても困るわね。
デニスは伯爵令息として婚約者にすべき事をしたはずよ」
「愛を求めてはいけませんか」
「押し付けは愛じゃないわね。相手の幸せを願って行動できないと。
欲求ばかりではデニスは愛を感じないわ。
愛する人がどうしたら心から笑ってくれるのか、貴女を尊敬してくれるのか、よく考えないと」
「尊敬ですか」
「恋愛感情がない人間に好意を持ってもらうのは感謝や尊敬だと思うの。
その上で尊重しあって結婚をして家族を作れば家族愛として愛してもらえると思うのよ」
「でももう嫌われてしまいました」
「はっきり言うと今までの結果がでたの。
デニスは契約を守るはず。書いてあることだけは。
前のようにはいかないかもしれないわ。
どうするかはパトリシアさん次第よ」
「解消ということですか」
「ノーディング家に選択権はないわ。
貴女が耐えられるかどうかじゃないかしら」
1時間ほどでデニスは帰ってきた。
服が乱れ苛立っているようだった。
「おかえりなさい」
「…ただいま」
「お茶をいれるわね」
「君が?」
「実は得意なの」
「私もいただいていいかしら」
「もちろんですわ」
メイドが菓子の用意をして、私はお茶を入れた。
「美味しいわ。これは特技ね」
「美味い。これを表に出さないのはもったいないと思う」
「ありがとうございます」
「沢山練習したのね」
「いつか当主になった旦那様が美味しいお茶で喉を潤してくださったらと思い、特訓をしたのです。
中流貴族の教師も雇って、だいぶ怒られなくなりました。
お義母様に教えを乞いたいと手紙を書いていました」
持っていた手紙を出して渡した。
「貴女の決心がついたら、いつでも始めるわ。急がずによく考えてね。貴女の一生のことなのだから後悔のないように」
「ありがとうございます」
「……良ければ夕食を食べて行かないか」
「はい。喜んで」
思えば彼から食事に誘われたのは誕生日以外は初めてだった。
4人で楽しく食事をして馬車に乗るまで見送ってもらった。
「パトリシア」
「はい」
「テーブルマナー、頑張ったんだな」
「嬉しい!ありがとうございます!」
「今度は少し難しいものを出すよ」
そう言ってデニスがふわっと微笑んだ。
屋敷に帰り湯浴みをしながら反省をした。
私は間違っていた。
最後に見せてくれた笑顔は本物だ。いつもの仮面とは全然違った。
「パトリシアさん。中に入って。
お顔を洗いましょう」
屋敷に入れてもらい、顔を洗った。
お茶を出してもらい夫人と話をした。
「デニスの言ったことは本当ですか」
「途中からしか聞こえなかっだけど、聞こえた部分はその通りよ」
「貴族令嬢としては落第ということですね」
「最初から貴族の生活をしていて習うのと、別の生活の下地ができていて矯正しようとするのでは難易度が違うわね。
コルベーヌ家は裕福だし、それは男爵様の努力と才能よ。とても尊敬すべきことでそれが認められて爵位を得たのだから誇りに思うべきだわ。
だけど王族や貴族は血を大事にして繋げていくの。婚姻も大抵が貴族同士だわ。だから遥か昔の当主から追っていくと様々な家門と縁を繋いでいるのよ。
だから貴族の仲間意識が強いという風に言えば良いかしら」
「私達は余所者と言うことですか」
「相手の縄張りに入ったのに、仕来りを無視したら爪弾きにあうわ。
だから一生懸命、入ってしまった縄張りについて学ぶのよ。
元々の貴族達と遜色なく振舞えるようになれば、次第に気にされなくなるわ」
「私、デニスが好きで、すごく好きで…一緒に居たくて」
「デニスにとっては契約だから温度差があるのは当然だわ。貴族は政略結婚が多いから、恋愛する恋人達のような事を求められても困るわね。
デニスは伯爵令息として婚約者にすべき事をしたはずよ」
「愛を求めてはいけませんか」
「押し付けは愛じゃないわね。相手の幸せを願って行動できないと。
欲求ばかりではデニスは愛を感じないわ。
愛する人がどうしたら心から笑ってくれるのか、貴女を尊敬してくれるのか、よく考えないと」
「尊敬ですか」
「恋愛感情がない人間に好意を持ってもらうのは感謝や尊敬だと思うの。
その上で尊重しあって結婚をして家族を作れば家族愛として愛してもらえると思うのよ」
「でももう嫌われてしまいました」
「はっきり言うと今までの結果がでたの。
デニスは契約を守るはず。書いてあることだけは。
前のようにはいかないかもしれないわ。
どうするかはパトリシアさん次第よ」
「解消ということですか」
「ノーディング家に選択権はないわ。
貴女が耐えられるかどうかじゃないかしら」
1時間ほどでデニスは帰ってきた。
服が乱れ苛立っているようだった。
「おかえりなさい」
「…ただいま」
「お茶をいれるわね」
「君が?」
「実は得意なの」
「私もいただいていいかしら」
「もちろんですわ」
メイドが菓子の用意をして、私はお茶を入れた。
「美味しいわ。これは特技ね」
「美味い。これを表に出さないのはもったいないと思う」
「ありがとうございます」
「沢山練習したのね」
「いつか当主になった旦那様が美味しいお茶で喉を潤してくださったらと思い、特訓をしたのです。
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お義母様に教えを乞いたいと手紙を書いていました」
持っていた手紙を出して渡した。
「貴女の決心がついたら、いつでも始めるわ。急がずによく考えてね。貴女の一生のことなのだから後悔のないように」
「ありがとうございます」
「……良ければ夕食を食べて行かないか」
「はい。喜んで」
思えば彼から食事に誘われたのは誕生日以外は初めてだった。
4人で楽しく食事をして馬車に乗るまで見送ってもらった。
「パトリシア」
「はい」
「テーブルマナー、頑張ったんだな」
「嬉しい!ありがとうございます!」
「今度は少し難しいものを出すよ」
そう言ってデニスがふわっと微笑んだ。
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最後に見せてくれた笑顔は本物だ。いつもの仮面とは全然違った。
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