【完結】生まれ変わった男装美少女は命を奪った者達に復讐をする

ユユ

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休息

諦める者と側に居続ける者

「ノア、元気だった?」

人好きのする笑顔で登場したのはルイ・ライダー。公爵家の三男だ。

「婚約おめでとう」

「嫌だな。誰に聞いたの」

「ルイのお兄様よ。おめでとうと言ったのに“嫌だな”はおかしくない?」

「20歳過ぎたから結ばされた婚約だよ」

「婚約は婚約よ。嫌なら約束なんかしなければいいのよ」

「そうはいかない」

「貴族として生きるならね」

「ノアは自由だね」

「大抵はメリットデメリットがあるものでしょう

平民だからって自由じゃないし、身の危険も多い。

貴族だからって幸せとは限らないし、裏切られることもある。

天秤にかけて選んだんでしょ」

「ノアは選ばないの?」

「成すべきことを成してから決めるつもり。

これからそれをするつもりだし、終われば3年間の国防の約束があるから20歳になってから考えることになりそう」

「そうなんだ」


もし、ノアがルイを愛してくれていたら、婿入りを辞めてノアと婚約し待つこともできる。ノアを娶れば公爵家から出る必要は無くなるはずだ。

恋仲でもないし好意も無さそうなノアの態度に可能性は低いことがわかる。

ドミニクのように次期公爵ならば、譲位とともに第二夫人としてノアを娶れるが、ルイは伯爵家へ婿入りをする立場。

「そろそろ帰るよ。エイダン兄上の顔を見て帰るから。これ、塔の皆で食べて」

「ありがとう」






ルイが去った後、また勉強を再開してたが、また来客があった。

「公爵家の三男は帰ったのか」

「エイダンに会って帰るそうです」

「ミシェル国王からの恋文と鳥。
そして昨日は次期ライダー公爵。
今日は公爵家の三男の訪問とは。

心配だよ、ノア」

「心配いらないですよ、マクセル」

ノアは宰相の“心配”に弱かった。
嬉しそうに微笑んでソファを叩く。

ここに座ってという仕草にマクセルも目尻が下がった。

「何の勉強?」

「エストフラムの歴史です。都合のいいことしか書いていなさそうですが、試験のために勉強しておきます」

「あんなところに一人で通わすなんて心配だ。私のノア」

「マクセル。私が女だって黙ってたこと、怒っていませんか」

「怒っていないよ。
私はノアが女の子だって分かってたし、ノアの口から自分は男だと聞いたことはない。
周りが勝手に女のような男と判断してノアは誤解を解かなかっただけだし、それはノアの安全のためなのだから問題ない」

マクセルはノアの肩に腕を回して引き寄せ頭に頬を当てた。

「ノアの養子先が決まったよ。
私の遠縁の伯爵家にした。詳しくはここに書いてある。丸暗記して書類は持って行かないように。

ノエリア・ロネ伯爵令嬢、16歳。
ロネ家の一人娘で伯爵夫人の妹が東に嫁いだが今年亡くなっている。

商家に嫁ぎ平民となったが恋愛結婚だった。
葬儀に来たことがきっかけでエストフラムに興味を持ち留学生となったという筋書きだ。

先方の学園には私から手紙を出しているからフロワ王国の宰相グローリー侯爵の親戚として堂々としていればいい」

「ありがとうございます」

「本当にホテル暮らしでいいのか」

「高級ホテルの広い一室ですよ。かなりの贅沢です」

「五国統一戦争の功労者だ。その程度はなんてこともない。口座も開設してある。一定額が常にあるようにする。

ドレスや宝石なども向こうで買いなさい」

「その商家はどんな物を扱っているのですか」

「中流階級から下流階級向けの衣装や宝飾だな」

「分かりました」

「ノア、身の危険を感じたら計画など放り出してくれ。ノアに何かあったらと思うと落ち着かない。燃やし尽くして帰ってきて欲しい」

ノアはマクセルに抱きついた。

「いつも心配してくれてありがとうございます」

マクセルはノアの脇に手を差し込み持ち上げると自身の膝の上に乗せて抱きしめた。

「行ってほしくないよ、ノア。
心配で心配で胃に穴が開きそうだ」

そう言って抱きしめられると警戒心は緩みマクセルに抱きつく。

「可愛い私のノア。忘れないでくれ。いつも私がノエリアを想っていることを」

「まだ出発じゃないですよ」

そう言いながら抱きつくノアを撫でながらマクセルは頭に唇を付けた。

「無茶をしないように出発まで毎日のようにこうやって言い聞かせにくるよ」


マクセルは有言実行だった。

エイダンは近衛騎士団にずっといて、ガブリエルは日中、医務室や図書室で勉強し、時々近衛騎士団へ訓練をしている。ロイクは日中王宮騎士団で訓練をしているので、マクセルはノアが一人の昼食時に訪れた。

ノアと一緒に食事をして、お茶を飲みながら寄り添い、最後は膝の上に乗せて抱きしめて話をする。

時にはそのままノアが寝てしまい、抱き上げてベッドに連れて行くこともある。

出発まで1ヶ月余り、ノアはすっかりマクセルがいることが当たり前になっていた。

















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