【完結】生まれ変わった男装美少女は命を奪った者達に復讐をする

ユユ

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エストフラムへの復讐

初めての週末

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「エイダン」

「男性4名の内、トリノア伯爵は亡くなって、長男が伯爵となっています。
今のところ良い評判だけです。

女性5名の内、1名は南国へ嫁ぎ、1名は出産で死亡、もう1名は病床に伏せっています。末期癌で1カ月保たないそうです」

「ありがとう」

ノエリアはカードに書き込み封をした。
もつひとつにはさっと文字を書き手紙を用意した。  

「こっちのカードは病床の夫人に届けて。
誰もいない時に必ず本人に。
その夫人は渡したらお終い」

「こっちの手紙は南の王宮に届くようにして」

「ミシェル国王宛ですか」

「そう…様子を見に行く暇はないから、お願いすることにしただけ」

「かしこまりました。病院は王都の外れにありますので夜忍び込んで来ます」




夜、エイダンがキンバリー・ウェルズ夫人の病室に忍び込んだ。

「誰」

「郵便を預かりました」 

「灯りを」

「かしこまりました」

エイダンは蝋燭をサイドデーブルに置き、封筒を渡した。

「失礼します」

エイダンが病室の扉を閉めて数歩。

「いやあああああっ!!」

病室から叫び声がこだまする。

エイダンは非常口から退避した。


3日後の訃報欄にキンバリー・ウェルズ夫人の名前が載った。



“嘘つきパルには
地獄の炎が待っている”

ノエリアはカードにそう書いた。
あの女は嘘の証言をして友人を裏切っていた。

“パル”と彼女を呼んだのはこの世でたったひとり。

ノアは新聞をたたみ鼻歌を奏で始めた。






土曜。

ガブリエルとロイクを連れてカフェに来た。
先に来ていたのはカインだった。

「カイン!ごきげんよう!」

「迷わなかったか」

「ふふっ、大丈夫ですわ」

「もっと…砕けた話し方でいい」

「分かったわ。ありがとうカイン」

「感謝したいのは僕の方だ。あんなに不躾に質問して困らせたのに、仲良くしてくれて。
あの時は申し訳なかった。

ノエリア達のお陰で少しだけ変われた気がするし、学校生活が楽しい」

「同性のお友達も増やしてね。
様々な立場のお友達と相手の目線で話せるようになれば、もっと素敵な令息になるわ」

「っ! やってみる」

「先にメニュー見て楽しまない?
みんなが揃うと迷う時間がなくなるから」

「僕はいつもすぐ決まっちゃうけどノエリアは違うのか?」

「待たせないように選ぶことはできるわ。
でも細かく見るのも勉強だと思うの。
知らない食材が書いてあったり、食べた物で話題を振れるでしょう」

「そうだな。よく見てみよう」

「私は普段選びそうにないものを選んでみるわ」

「どうして?」

「新発見があるかもしれないもの」

「普段は何が好きで頼んでいるんだ?」

「これか、これね」

「こっちは」

「それもいいわね」

「「「ごきげんよう」」」

「ごきげんよう」

カインは立ち上がり、椅子を引いて3人を順に座らせていく。

「ロレーヌ達も砕けた話し方にしてくれ。
ノエリアは数分前からそうしてもらっている」

「じゃあ、私達の間ではそうしましょう。
社交場以外ではね」

「そうね。社交場ではカイン様って呼ばないと」

照れて俯くカインを4人の姉はニコニコと見守る。


少し待つとランチプレートが運ばれてきた。

「本日のデザートをひとつお選びください」

デザートを選び食後のお茶を選ぶ。

「素敵だわ!こういうの大好きなの!」

「気に入ってもらえて良かったわ」

赤いソースのお肉をひと口食べる。

「ん~!」

この赤はトマトの赤だけではないようで少し辛めだ。口の中が燃える。

「大丈夫?涙目じゃない」

「好きで選んだんじゃないの?」

「お、美味しいよ?」

「無理するな。僕のと交換しよう」

「もう口を付けたから」

「そんなちっちゃなひと口なんて気にするな。ほら」

「ありがとう」

カインはひと口食べると満足そうに言った。

「辛めだけど確かに美味いな。ノエリアにはまだ早かったな」

交換してくれたカインのプレートはメニューを見ていた時に普段選びがちなものを教えたうちのひとつだった。

きっと、失敗した時のために選んでくれたんだ。

「カイン。貴方は相手を思いやる優しさを持った素敵な人ね。

失敗するかもと思って私が好むメニューを選んでいてくれたのね。
食べた私の反応を見るまで自分のには手をつけなかった。

お友達になれて光栄だわ」

「っ!、僕は別に…たまたま…」

「本当カインは優しくて可愛いところのある人よね。こうやって友達にならなかったら気が付かなかったわ」

「そうよね。しかも照れ屋なところがまた母性本能をくすぐるのよね」

「身分を気にせず友達になってくれるカインは心の広い人なのよね。私、同じ学校に通えて良かったわ」

「照れ死ぬから止めてくれ!」

「ふふっ、冷めちゃうから誉め殺しは後でにしましょう」

「ノエリアっ」






トリノア邸に着くと早速厩舎に行き、ノエリアを実験台にしていた。

「本当だわ!馬が戯れついているわ!」

「全く言うことを聞かないわね」

「嫌っているようには見えないわね」

「ノエリアから美味しそうな匂いでもするのかしら」

「猫とマタタビみたいに?」

「そうそう」

「あれじゃあ馬術の選択はできないわね」

「他の馬もこの調子とは思わなかった」

「でもノエリアが楽しそうだから良いんじゃない?」

「そうね。幼子のように笑ってるわね」

「着替え、持ってきてるのかしら」

「さあ」

「パト!ちょっと来てくれ」

「はいカイン様」

「ノエリアが着れそうな服がないか母上に聞いてくれないか」

「かしこまりました」













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