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エストフラムへの復讐
ファヴール国王のパートナー
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ミシェルとノエリアの名が呼ばれると、貴族達は礼をとり、二人は親しげに中央を歩く。
辿り着いた先には恍惚とする国王とボーっとした王妃と唖然とするエアリス王太子と鋭い目線を送る王太子の婚約者のミランダがいた。
顔を上げた貴族達はヒソヒソと情報を得ようと必死だ。
「(ファヴールの美貌は健在ね。婚約者はいらっしゃるのかしら)」
「(隣の令嬢が婚約者なのかしら)」
令息はノエリアの美しさに目を奪われ、令嬢は若き王・ミシェルから目が離せない。
ミシェル王は紺色の髪に薄い青の瞳、ノエリアの瞳は青。光の加減で青紫色にも見える。プラチナに気付かないほどのピンクを帯びた髪を緩く巻いてふわりとさせていた。
「(セヴラン、茶会を断った令嬢はあの娘なの?)」
「(……はい)」
「(父上、母上、彼女がそうです)」
「(ビクトル、お前には無理だ)」
「(カイン、着飾ると更に美しい子だな)」
「(ファヴール王のエスコートだなんて、ノエリア様は何者なのかしら)」
「(義姉上、ノエリアはノエリアです)」
3家の親子が内輪話をする中、エアリス王太子もエストフラムの国王ジェイムズもノエリアから目を離せないままだった。
次に呼ばれて入場したのはフラム王国の第二王子リュシアンと婚約者のマリソルだった。
王族とミシェルに挨拶が済むとマリソルはノエリアに抱きついた。
「寂しかったわ!こんなに可愛くしちゃったら虫が付いちゃうじゃないの!」
「マリソル、大袈裟よ……ぐうっ」
「マリソル、ノエリアが苦しがっているから離れなさい」
「嫌よ!久しぶりにノエリアに会えたのに!」
「マリソル、皆見てるから…お願い!」
マリソルは仕方なくノエリアから離れたが手は繋いだままだ。
リュシアン王子は苦笑いをしている。
王族に貴族全員が挨拶をする中で、国賓には公爵家と宰相な家門のみが挨拶をする。希望があれば全員挨拶をさせるが煩わしただろうと配慮をしているのだ。
「カスタ公爵夫妻とご子息のビクトル、婚約者のピト子爵令嬢です」
外交官がミシェルやリュシアン達に紹介をしていく。
「カスタ公爵は騎士団の団長を務めております」
ビクトルの熱い目線が気に食わないミシェルは次と促す。
「シュートウェル侯爵夫妻とご子息のセヴラン、婚約者のセニエ侯爵令嬢です」
「セヴランはお友達なの」
ノエリアが小声で呟くと、ミシェルは口角をあげて挨拶をした。
「ノエリアの友人なのだな。シュートウェル侯爵、宰相という職は何かと気苦労が多いと思うが時には心身を休めて長くエストフラムの要でいて欲しい」
「有り難きお言葉に感謝いたします」
「セヴランと申したか。ノエリアとは?」
「ノエリア嬢の仲の良いグループがあり、たまに昼食時に混ぜていただいております。
ノエリア嬢達のグループは心が清いので居心地がいいのです」
「そうか。引き続き仲良くしてやって欲しい」
「ノエリアの友人か、私達からもよろしく頼むよ」
リュシアンも言葉をかけた。
「ロネ伯爵令嬢、次は是非、我が家の茶会か夜会にいらしてくださいませ」
「夜会は駄目だ」
間髪入れずミシェルが代わりに返事を出す。
「ノエリアは基本社交はしない。彼女の場合はこちらには縁を繋ぎにきたわけではないからな」
「勿論でございます。陛下。
ノエリア嬢、失礼しました」
「セヴラン、またね」
残る二つの公爵家が挨拶を終えるとノエリアは外交官にトリノア家を呼ぶようお願いをした。
「トリノア伯爵夫妻と伯爵の弟君のカイン、婚約者のペイグリッド子爵令嬢です」
「カインもお友達なの。皆で遊びに伺った際には前伯爵夫人も歓迎してくださって。
カインは学校で私を守ってくれたの。
優しい気遣いの出来る方なのです」
「(ノエリア、友人で間違いないね?)」
「(そうよ)」
その間にリュシアンが言葉をかける。
「ノエリアは少し気の強いところがあるが優しい子です。よろしく頼みます」
「ノエリア様達と友達になってからカインは成長しました。感謝しております」
ミシェルが歩み出てカインに握手を求めた。
「ノエリアはこの通り、虫が付きやすい」
「できる限り盾になり彼女を守ります」
「頼んだよ」
その後はダンスの時間になった。
「ミシェル…前は踊ったけど、今は2日間特訓しただけなの」
「足を踏んでくれても嬉しいよ」
ミシェルは嬉しそうに微笑むとノエリアの腰を引き寄せた。
足を踏むことなく踊り終えると、ジェイムズ国王がノエリアをダンスに誘った。
普通はマリソルを誘う所だが、少し覚醒した王妃をミシェルの元に向かわせ、エアリス達をリュシアン達の元へ向かわせた。
ノエリアは笑顔の仮面を貼り付けてジェイムズ国王の手を取った。
辿り着いた先には恍惚とする国王とボーっとした王妃と唖然とするエアリス王太子と鋭い目線を送る王太子の婚約者のミランダがいた。
顔を上げた貴族達はヒソヒソと情報を得ようと必死だ。
「(ファヴールの美貌は健在ね。婚約者はいらっしゃるのかしら)」
「(隣の令嬢が婚約者なのかしら)」
令息はノエリアの美しさに目を奪われ、令嬢は若き王・ミシェルから目が離せない。
ミシェル王は紺色の髪に薄い青の瞳、ノエリアの瞳は青。光の加減で青紫色にも見える。プラチナに気付かないほどのピンクを帯びた髪を緩く巻いてふわりとさせていた。
「(セヴラン、茶会を断った令嬢はあの娘なの?)」
「(……はい)」
「(父上、母上、彼女がそうです)」
「(ビクトル、お前には無理だ)」
「(カイン、着飾ると更に美しい子だな)」
「(ファヴール王のエスコートだなんて、ノエリア様は何者なのかしら)」
「(義姉上、ノエリアはノエリアです)」
3家の親子が内輪話をする中、エアリス王太子もエストフラムの国王ジェイムズもノエリアから目を離せないままだった。
次に呼ばれて入場したのはフラム王国の第二王子リュシアンと婚約者のマリソルだった。
王族とミシェルに挨拶が済むとマリソルはノエリアに抱きついた。
「寂しかったわ!こんなに可愛くしちゃったら虫が付いちゃうじゃないの!」
「マリソル、大袈裟よ……ぐうっ」
「マリソル、ノエリアが苦しがっているから離れなさい」
「嫌よ!久しぶりにノエリアに会えたのに!」
「マリソル、皆見てるから…お願い!」
マリソルは仕方なくノエリアから離れたが手は繋いだままだ。
リュシアン王子は苦笑いをしている。
王族に貴族全員が挨拶をする中で、国賓には公爵家と宰相な家門のみが挨拶をする。希望があれば全員挨拶をさせるが煩わしただろうと配慮をしているのだ。
「カスタ公爵夫妻とご子息のビクトル、婚約者のピト子爵令嬢です」
外交官がミシェルやリュシアン達に紹介をしていく。
「カスタ公爵は騎士団の団長を務めております」
ビクトルの熱い目線が気に食わないミシェルは次と促す。
「シュートウェル侯爵夫妻とご子息のセヴラン、婚約者のセニエ侯爵令嬢です」
「セヴランはお友達なの」
ノエリアが小声で呟くと、ミシェルは口角をあげて挨拶をした。
「ノエリアの友人なのだな。シュートウェル侯爵、宰相という職は何かと気苦労が多いと思うが時には心身を休めて長くエストフラムの要でいて欲しい」
「有り難きお言葉に感謝いたします」
「セヴランと申したか。ノエリアとは?」
「ノエリア嬢の仲の良いグループがあり、たまに昼食時に混ぜていただいております。
ノエリア嬢達のグループは心が清いので居心地がいいのです」
「そうか。引き続き仲良くしてやって欲しい」
「ノエリアの友人か、私達からもよろしく頼むよ」
リュシアンも言葉をかけた。
「ロネ伯爵令嬢、次は是非、我が家の茶会か夜会にいらしてくださいませ」
「夜会は駄目だ」
間髪入れずミシェルが代わりに返事を出す。
「ノエリアは基本社交はしない。彼女の場合はこちらには縁を繋ぎにきたわけではないからな」
「勿論でございます。陛下。
ノエリア嬢、失礼しました」
「セヴラン、またね」
残る二つの公爵家が挨拶を終えるとノエリアは外交官にトリノア家を呼ぶようお願いをした。
「トリノア伯爵夫妻と伯爵の弟君のカイン、婚約者のペイグリッド子爵令嬢です」
「カインもお友達なの。皆で遊びに伺った際には前伯爵夫人も歓迎してくださって。
カインは学校で私を守ってくれたの。
優しい気遣いの出来る方なのです」
「(ノエリア、友人で間違いないね?)」
「(そうよ)」
その間にリュシアンが言葉をかける。
「ノエリアは少し気の強いところがあるが優しい子です。よろしく頼みます」
「ノエリア様達と友達になってからカインは成長しました。感謝しております」
ミシェルが歩み出てカインに握手を求めた。
「ノエリアはこの通り、虫が付きやすい」
「できる限り盾になり彼女を守ります」
「頼んだよ」
その後はダンスの時間になった。
「ミシェル…前は踊ったけど、今は2日間特訓しただけなの」
「足を踏んでくれても嬉しいよ」
ミシェルは嬉しそうに微笑むとノエリアの腰を引き寄せた。
足を踏むことなく踊り終えると、ジェイムズ国王がノエリアをダンスに誘った。
普通はマリソルを誘う所だが、少し覚醒した王妃をミシェルの元に向かわせ、エアリス達をリュシアン達の元へ向かわせた。
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