【完結】見染められた令嬢

ユユ

文字の大きさ
6 / 14

療養する

怪我から1ヶ月後、骨がどうなってるか診てもらうため、王宮に来た。

「大丈夫ですね」

「じゃあ!」

「まだです」

「……」

「ベッドからゆっくり体重をかけて立って、ゆっくり少し歩いてください。階段は駄目です。

しばらく続けたらまた診せに来てください。
その後のことはまたその時に話します。

しゃがんだりしないでくださいね。
その気がなくても目眩でしゃがむ可能性があるので、メイドの付き添いなら両側に配置させてください。

外は車椅子にしてください。
石や窪み、段差に足を取られるかもしれませんからね。外の空気が吸いたければテラスやバルコニーに連れ出してもらうといいでしょう。

包帯はしばらく続けてください。
自由に動かせないようにするためです」

「はい」

まだまだかかるのね。

「学校は留年かしら」

「学校には私から手紙を出しておきましょう。王宮の催しに参加中の事故ですからね。進級試験に落ちなければ留年しないようにしておきます」

「ありがとうございます」




その後、エルネスト様に先に会っている父と合流した。

「収容先が決まった」」

収容先?

「シンシア・シャルムは貴族籍を抜いて問題を抱える子女を更生させる施設へ送ることにした」

「殿下、まさか」

「朝起きてから日が暮れるまで労働をする施設だよ。刑期がこないと出られない。問題を起こせば刑期が加算されていくし、度を越すと過酷な労働に配属される。

秩序を乱さず大人しく過ごせば刑期満了で解放だ。その後は自由に平民として生きていける」

シンシアが平民に!?

「刑期は20年だ。殺人未遂2件に王族への詐称と誘拐教唆だ。これでも減刑したのだ」

「ご迷惑をお掛け致しました」

「公にならないからシンシアに関する全てを他言しないように。聞かれたら心臓の病気で貴族の義務を果たせないから田舎で過ごさせているとだけ言えばいい。

睡眠薬とか毒蛇とか王族になどと言ってはならない。いいね?」

「「かしこまりました」」

「伯爵家はどうするのかな」

「レイナが婚姻したら親戚から養子をとります」

「レイナ嬢は王子妃に興味はないか?」

「私ですか!?」

「そうだ。他の者とは違って私からの申し込みだ」

「レオナール様を裏切れません。あんなに良くしてくださる方に気持ちが向かないわけはございません」

「残念だ。君なら恋愛結婚になっただろう。
まだ候補が絞られるまで1年近くかかる。
気が変わったら私を訪ねて来てくれ」

「そんなことを仰っては他の候補の方が可哀想ですわ」

「だが一生のことだ。我儘でもいいだろう」





エルネスト様はとても真面目な方だと聞く。
まともに我儘を言ったことがないのかもしれない。

だけど麗奈である私には王子妃など無理。
それにこんなに尽くしてくれるレオナール様を裏切りたくない。

車椅子で待合室に行くと落ち着かずに歩き回るレオナール様がいた。

「レイナ!」

跪き手を取り頬を撫でる。

「大丈夫だったか?殿下に言い寄られなかったか?」

ちょっと!こんな所で誰が聞いてるか分からないじゃない!

「大丈夫。娘はちゃんと断ったよ」

「そうなのか。良かったけど心配だ」

娘と耳にしたのは初めてかもしれない。
そうだ。この蟠りを放置するより白黒付けたい。




公爵家に再連行されて大人しくしている。
ちょっとだけ歩行訓練をした。
その時、歩行器を思い出した。作ってみることにした。

「下の方を広げて安定させます」

「成程」

「あくまで補助ですので寄りかかったり体重を預けることは転倒の原因になります。
目眩があるような方は付き添いが必要です」

「面白いな。作ってみようか」

「でも、その頃には私は使いませんし、場所をとります」

「足を怪我する人だって多いんだ。貸したっていいんだし」

「分かりました。

それと大事な話があるのです」

「……別れないよ」

「違います!

嫌な話になりますが、聞いてください」

「分かった」

「私、母の不義の子だと思われているようなのです。

色が、母にも父にも祖父母にもない色で。

そろそろ白黒はっきりさせようと思います」

「…そうか」

「だから足が良くなる頃には長期休暇があります。そこで領地に行って祖父母を訪ねたいと思います。そこで分からなかったら母方の祖父を訪ねます」

「それについて行っても構わないか」

「はい」


私は疑念を持っている。

父は母の不貞を疑って別居をしたけど、祖父母が何も言わないのはおかしい。

血を重んじる貴族なら、別れて後妻を迎えろとか言いそうな気がする。

母方の実家からシャルム伯爵に金銭の援助とか事業の支援とか何かしら受けているのかもしれない。

だけど可能性のひとつとして、私の色に心当たりがあるのではないかと思っている。





あなたにおすすめの小説

【完結】白い結婚をした悪役令嬢は田舎暮らしと陰謀を満喫する

ツカノ
恋愛
「こんな形での君との婚姻は望んでなかった」と、私は初夜の夜に旦那様になる方に告げられた。 卒業パーティーで婚約者の最愛を虐げた悪役令嬢として予定通り断罪された挙げ句に、その罰としてなぜか元婚約者と目と髪の色以外はそっくりな男と『白い結婚』をさせられてしまった私は思う。 それにしても、旦那様。あなたはいったいどこの誰ですか? 陰謀と事件混みのご都合主義なふんわり設定です。

捨てられたなら 〜婚約破棄された私に出来ること〜

ちくわぶ(まるどらむぎ)
恋愛
長年の婚約者だった王太子殿下から婚約破棄を言い渡されたクリスティン。 彼女は婚約破棄を受け入れ、周りも処理に動き出します。 さて、どうなりますでしょうか…… 別作品のボツネタ救済です(ヒロインの名前と設定のみ)。 突然のポイント数増加に驚いています。HOTランキングですか? 自分には縁のないものだと思っていたのでびっくりしました。 私の拙い作品をたくさんの方に読んでいただけて嬉しいです。 それに伴い、たくさんの方から感想をいただくようになりました。 ありがとうございます。 様々なご意見、真摯に受け止めさせていただきたいと思います。 ただ、皆様に楽しんでいただけたらと思いますので、中にはいただいたコメントを非公開とさせていただく場合がございます。 申し訳ありませんが、どうかご了承くださいませ。 もちろん、私は全て読ませていただきますし、削除はいたしません。 7/16 最終部がわかりにくいとのご指摘をいただき、訂正しました。 ※この作品は小説家になろうさんでも公開しています。

王太子殿下が私を諦めない

風見ゆうみ
恋愛
公爵令嬢であるミア様の侍女である私、ルルア・ウィンスレットは伯爵家の次女として生まれた。父は姉だけをバカみたいに可愛がるし、姉は姉で私に婚約者が決まったと思ったら、婚約者に近付き、私から奪う事を繰り返していた。 今年でもう21歳。こうなったら、一生、ミア様の侍女として生きる、と決めたのに、幼なじみであり俺様系の王太子殿下、アーク・ミドラッドから結婚を申し込まれる。 きっぱりとお断りしたのに、アーク殿下はなぜか諦めてくれない。 どうせ、姉にとられるのだから、最初から姉に渡そうとしても、なぜか、アーク殿下は私以外に興味を示さない? 逆に自分に興味を示さない彼に姉が恋におちてしまい…。 ※史実とは関係ない、異世界の世界観であり、設定はゆるゆるで、ご都合主義です。

お飾りの私と怖そうな隣国の王子様

mahiro
恋愛
お飾りの婚約者だった。 だって、私とあの人が出会う前からあの人には好きな人がいた。 その人は隣国の王女様で、昔から二人はお互いを思い合っているように見えた。 「エディス、今すぐ婚約を破棄してくれ」 そう言ってきた王子様は真剣そのもので、拒否は許さないと目がそう訴えていた。 いつかこの日が来るとは思っていた。 思い合っている二人が両思いになる日が来ればいつの日か、と。 思いが叶った彼に祝いの言葉と、破棄を受け入れるような発言をしたけれど、もう私には用はないと彼は一切私を見ることなどなく、部屋を出て行ってしまった。

宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました

悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。 クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。 婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。 そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。 そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯ 王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。 シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯

婚約破棄を申し入れたのは、父です ― 王子様、あなたの企みはお見通しです!

みかぼう。
恋愛
公爵令嬢クラリッサ・エインズワースは、王太子ルーファスの婚約者。 幼い日に「共に国を守ろう」と誓い合ったはずの彼は、 いま、別の令嬢マリアンヌに微笑んでいた。 そして――年末の舞踏会の夜。 「――この婚約、我らエインズワース家の名において、破棄させていただきます!」 エインズワース公爵が力強く宣言した瞬間、 王国の均衡は揺らぎ始める。 誇りを捨てず、誠実を貫く娘。 政の闇に挑む父。 陰謀を暴かんと手を伸ばす宰相の子。 そして――再び立ち上がる若き王女。 ――沈黙は逃げではなく、力の証。 公爵令嬢の誇りが、王国の未来を変える。 ――荘厳で静謐な政略ロマンス。 (本作品は小説家になろう、カクヨムにも掲載中です)

傲慢令嬢は、猫かぶりをやめてみた。お好きなように呼んでくださいませ。愛しいひとが私のことをわかってくださるなら、それで十分ですもの。

石河 翠
恋愛
高飛車で傲慢な令嬢として有名だった侯爵令嬢のダイアナは、婚約者から婚約を破棄される直前、階段から落ちて頭を打ち、記憶喪失になった上、体が不自由になってしまう。 そのまま修道院に身を寄せることになったダイアナだが、彼女はその暮らしを嬉々として受け入れる。妾の子であり、貴族暮らしに馴染めなかったダイアナには、修道院での暮らしこそ理想だったのだ。 新しい婚約者とうまくいかない元婚約者がダイアナに接触してくるが、彼女は突き放す。身勝手な言い分の元婚約者に対し、彼女は怒りを露にし……。 初恋のひとのために貴族教育を頑張っていたヒロインと、健気なヒロインを見守ってきたヒーローの恋物語。 ハッピーエンドです。 この作品は、別サイトにも投稿しております。 表紙絵は写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。

婚約破棄してくださって結構です

二位関りをん
恋愛
伯爵家の令嬢イヴには同じく伯爵家令息のバトラーという婚約者がいる。しかしバトラーにはユミアという子爵令嬢がいつもべったりくっついており、イヴよりもユミアを優先している。そんなイヴを公爵家次期当主のコーディが優しく包み込む……。 ※表紙にはAIピクターズで生成した画像を使用しています