【完結】見染められた令嬢

ユユ

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療養する

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怪我から1ヶ月後、骨がどうなってるか診てもらうため、王宮に来た。

「大丈夫ですね」

「じゃあ!」

「まだです」

「……」

「ベッドからゆっくり体重をかけて立って、ゆっくり少し歩いてください。階段は駄目です。

しばらく続けたらまた診せに来てください。
その後のことはまたその時に話します。

しゃがんだりしないでくださいね。
その気がなくても目眩でしゃがむ可能性があるので、メイドの付き添いなら両側に配置させてください。

外は車椅子にしてください。
石や窪み、段差に足を取られるかもしれませんからね。外の空気が吸いたければテラスやバルコニーに連れ出してもらうといいでしょう。

包帯はしばらく続けてください。
自由に動かせないようにするためです」

「はい」

まだまだかかるのね。

「学校は留年かしら」

「学校には私から手紙を出しておきましょう。王宮の催しに参加中の事故ですからね。進級試験に落ちなければ留年しないようにしておきます」

「ありがとうございます」




その後、エルネスト様に先に会っている父と合流した。

「収容先が決まった」」

収容先?

「シンシア・シャルムは貴族籍を抜いて問題を抱える子女を更生させる施設へ送ることにした」

「殿下、まさか」

「朝起きてから日が暮れるまで労働をする施設だよ。刑期がこないと出られない。問題を起こせば刑期が加算されていくし、度を越すと過酷な労働に配属される。

秩序を乱さず大人しく過ごせば刑期満了で解放だ。その後は自由に平民として生きていける」

シンシアが平民に!?

「刑期は20年だ。殺人未遂2件に王族への詐称と誘拐教唆だ。これでも減刑したのだ」

「ご迷惑をお掛け致しました」

「公にならないからシンシアに関する全てを他言しないように。聞かれたら心臓の病気で貴族の義務を果たせないから田舎で過ごさせているとだけ言えばいい。

睡眠薬とか毒蛇とか王族になどと言ってはならない。いいね?」

「「かしこまりました」」

「伯爵家はどうするのかな」

「レイナが婚姻したら親戚から養子をとります」

「レイナ嬢は王子妃に興味はないか?」

「私ですか!?」

「そうだ。他の者とは違って私からの申し込みだ」

「レオナール様を裏切れません。あんなに良くしてくださる方に気持ちが向かないわけはございません」

「残念だ。君なら恋愛結婚になっただろう。
まだ候補が絞られるまで1年近くかかる。
気が変わったら私を訪ねて来てくれ」

「そんなことを仰っては他の候補の方が可哀想ですわ」

「だが一生のことだ。我儘でもいいだろう」





エルネスト様はとても真面目な方だと聞く。
まともに我儘を言ったことがないのかもしれない。

だけど麗奈である私には王子妃など無理。
それにこんなに尽くしてくれるレオナール様を裏切りたくない。

車椅子で待合室に行くと落ち着かずに歩き回るレオナール様がいた。

「レイナ!」

跪き手を取り頬を撫でる。

「大丈夫だったか?殿下に言い寄られなかったか?」

ちょっと!こんな所で誰が聞いてるか分からないじゃない!

「大丈夫。娘はちゃんと断ったよ」

「そうなのか。良かったけど心配だ」

娘と耳にしたのは初めてかもしれない。
そうだ。この蟠りを放置するより白黒付けたい。




公爵家に再連行されて大人しくしている。
ちょっとだけ歩行訓練をした。
その時、歩行器を思い出した。作ってみることにした。

「下の方を広げて安定させます」

「成程」

「あくまで補助ですので寄りかかったり体重を預けることは転倒の原因になります。
目眩があるような方は付き添いが必要です」

「面白いな。作ってみようか」

「でも、その頃には私は使いませんし、場所をとります」

「足を怪我する人だって多いんだ。貸したっていいんだし」

「分かりました。

それと大事な話があるのです」

「……別れないよ」

「違います!

嫌な話になりますが、聞いてください」

「分かった」

「私、母の不義の子だと思われているようなのです。

色が、母にも父にも祖父母にもない色で。

そろそろ白黒はっきりさせようと思います」

「…そうか」

「だから足が良くなる頃には長期休暇があります。そこで領地に行って祖父母を訪ねたいと思います。そこで分からなかったら母方の祖父を訪ねます」

「それについて行っても構わないか」

「はい」


私は疑念を持っている。

父は母の不貞を疑って別居をしたけど、祖父母が何も言わないのはおかしい。

血を重んじる貴族なら、別れて後妻を迎えろとか言いそうな気がする。

母方の実家からシャルム伯爵に金銭の援助とか事業の支援とか何かしら受けているのかもしれない。

だけど可能性のひとつとして、私の色に心当たりがあるのではないかと思っている。





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