【完結】同性恋愛をしていたのに 異性との婚姻を命じられましたが溺愛されています

ユユ

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思いを告げる E

【 エリアスの視点 】


失敗した。
 
シャルロットが他の男と歩いているのを見て慌てて近寄ったら、距離が近くて とにかく離したかった。
抑えたつもりだが シャルロットにはキツく感じたようだ。

男が“内緒話”と言ったのでカッとなった。

ナゼール・ガルシアは宰相補佐官であり、侯爵家の次男でもある。
ダークブロンドに青紫の瞳で女性に人気だ。
彼は人妻だろうが気に入れば声をかけて口説く。だが文句を言う者はあまりいない。それは彼が知り過ぎているから。文句を言うと耳元で何かを囁き、相手の夫や婚約者は沈黙してしまう。

興味のない女には見向きもせず冷たく遇らう。その彼がエスコートをして微笑んでいたのだ。

シャルロットが俺の言葉に気分を害したのは分かっている。

自分が忘れ物をしたのが悪い。だが、何故シャルロットに届けさせるんだ!

挙句、もう一人の強敵まで現れて、シャルロットを連れて行ってしまった。
帰りに登城名簿を見ると、シャルロットが帰ったのは夕方だと知った。

食事中、シャルロットは目線を合わせない。
夫婦の寝室で寝ないと告げて自室にさがってしまった。

「まさか、喧嘩をしているの?」

「母上、何故シャルロットに届け物などさせたのですか。虫は付くし、つい言い過ぎてシャルロットを怒らせてしまったじゃないですか」

「貴方が喜ぶと思ったのよ」

「シャルロットは外に出さない出ください」


夫婦の間の続き部屋(妻の部屋)へ行くと髪を解いている最中だった。
かなり怒っていて とても機嫌を直せる感じではなかった。

翌日もシャルロットは別々に寝たいと言い出した。さらに翌日も。

辛い。

一人のベッドが冷たくて静か過ぎて寂しい。
シャルロットの温もりや寝息や匂いが恋しい。寝返りで腕が顔にぶつかっても脚が急所を直撃しても それさえ愛おしかった。
寝顔をギリギリまで見つめ仕事に行く支度をする。シャルロットはメイドに起こすように言っているが俺が止めさせる。次の夜の2人の時間のためにしっかりと休んで欲しいから。

こんな気持ちになるのが俺だけだなんて。シャルロットとの温度差を痛感する。


「は? 妻を怒らせたときの機嫌を直す方法!? バロー中隊長…そうか。
だがな、相手の性格やこれまでの関係性や何をやらかしたのか分からなければ答えようがない」

出勤して団長室に向かい相談をしたら、詳細を聞かれたので説明をした。

「まあ、バロー中隊長が忘れ物をしなければ済んだことだからな。お詫びと感謝と、素直に誰にも取られたくないくらい愛していて、ガルシア補佐官と歩いている姿に嫉妬してしまったと非を認めるしかない。物を贈って有耶無耶にできるタイプでは無さそうだから向き合うしかない。

…しかし、教会と国の見る目は確かだったようだな。まさか中隊長がこの手の、しかも女の相談をしにくる日がやってくるとはな」

団長はニヤニヤしながら俺の肩を叩いた。



夜、シャルロットの部屋に行きメイドを部屋から出した。

「きちんと話がしたい」

「……」

シャルロットは渋々ソファに座った。

「忘れ物をした俺が悪い。申し訳ない。態々届けてくれて感謝している。だが、それよりもシャルロットの側に男がいて穏やかではいられなかった。
彼はガルシア侯爵家の次男で宰相補佐官でもある人気の男だ。彼は人妻でも気に入れば口説いてしまう。
とても心配で嫌だった。余裕が無くて言うべきではない言葉を言ってしまった。

シャルロット。確かに俺達の婚姻は命じられたものだが……愛しているんだ。君は本気にしていないようだが本当に愛しているんだ。そうじゃなきゃ毎日一緒に寝ないよ。俺が出来ることは多くない。その一つは夜に愛する妻に快楽を与えることだ。毎日のように気持ちを込めて触れていた。
君が一緒に寝てくれるだけで どれだけ俺の癒しになっているか。

君に避けられると辛い」

「私は部下じゃない」

「お願いをするべきだった。可愛いシャルロットが心配だから、受け付けで俺が迎えに行くまで待っていて欲しいと言うべきだった」

「届け物をしただけであんなに強く言って欲しくない」

「俺が悪かった」

「本当に私が好きなのですか」

「大好きだ」

「だって貴方は…」

「男としか付き合ったことはない。それは好きになれるような女に出会ったことが無かったからだ」

「でも、恋人がいたんじゃ…」

「早々に別れた。彼は俺を愛していなかった。本当は異性愛者で俺と交際中もずっと女と付き合っていた。俺と交際したのは金目的だった。俺が贈った物を換金して女と楽しく過ごしていた。
我慢して俺の相手をしていたらしい」

「知りませんでした」

「だが、もうその事実を知ったときにはシャルロットを好きになっていた。だからショックでも悲しくもなかった。

君に避けられる方が、君の寝顔を見れない方が何万倍も辛い」

「……」

「おやすみ」


シャルロットの手の甲にキスをして部屋を出た。

湯浴みを済ませ夫婦のベッドに入って待つがシャルロットは来なかった。
続き部屋の自室にもベッドはあるが 万が一、シャルロットが来て俺が居なかったら寂しい思いをさせてしまうとずっと待っていた。

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