【完結】二度目は先に裏切ろうと思います

ユユ

文字の大きさ
12 / 30
二度目

12 夢の中のアルシェ

しおりを挟む
【 アルシェの夢の中 】


『私はあんな女じゃなくてカティーナを妻にしたいんだ!』

そう騒いでいるのはローラン殿下だ。

『マルブール嬢は完璧です。破棄などできるはずはありませんよ』

アクサード家のマルセルが宥めようとしている。

『せっかく卒業して王太子になったのに、第二王子にその座を奪われてしまいますよ』

ヴァン家のアイロスも宥めようとしていた。

『いや、私はもう我慢したくない。
マリレナを完璧な女から引きずり降ろす』

『どうやってですか』

『“資格の喪失”だ。純潔でなければ妃にはなれないからな』

『マルブール嬢は浮気などしませんよ』

『同時に口説く度胸のあるやつもいない。
だから男達を雇えばいい』

は!?マリレナを男達に襲わせようというのか!?

『いくら何でも』

『そうですよ』

マルセルとアイロスが困惑している。

『マルブール侯爵が乗り気なんだよ。侯爵には愛人と私生児が2人いて、上の娘が学園に入る年齢なんだ。
あそこは婿養子だから、マルブール夫人が認めないと第二夫人にも出来ないし、私生児は私生児のままだ。侯爵の実家は受け入れないらしい。このままでは私生児は平民のまま一生を終えることになるだろう。
だが、マルブール夫人が亡くなれば話は別だ』

『まさか』

『利害が一致した』

『彼女に罪など無いじゃないですか!』

俺が抗議している…なんだ?なんでこんな覗き見しているような感覚なんだ?
俺は何も言っていないのに俺の声で勝手に言葉が流れて話が進んでいく…

『おまえ、マリレナに気があるんじゃないかと思っていたが、やっぱりな。
ならおまえがやれ』

『許されることではありません!』

『別にいいんだぞ?
純潔を失わせて破棄しても 或いは事故か病気でマリレナが死んでも、私はどちらでも構わないんだ。
ただ おまえがやれば そのまま娶ることも出来るだろう?』

『本気ですか!?』

『アルシェ、早く決めろ』

『…分かりました』

俺は何を…


次の場面は俺の誕生日のパーティだ。
え?21歳!? 2年後じゃないか!

マリレナの飲み物に何を入れた!?

ふらつくマリレナと部屋に入って……

俺がマリレナのドレスを脱がし、肌を暴き、唇と舌で……信じられない。
俺がマリレナを抱いている…彼女の純潔の証を破って…

痛がるマリレナに…破瓜の血を流すマリレナに…
俺は喜びに満ち 彼女の脚にキスを…

可愛いマリレナ…快楽を拾っている。俺がナカを掻き分け擦る度に 熱くてヌルヌルしてたくさんのヒダのついた膣壁の形を変えてキツく密着してくる。
縛られて無理矢理抱かれているのに俺で感じてくれている。

その潤んだ瞳…

ああ…最高に気持ちいい…
マリレナの奥深くに俺の一部が溶け込んでいく。

もう一度、マリレナに刻ませてくれ。

愛してる、一生大事にする

マリレナ…


次の場面は俺が倒れていた。
ローラン殿下がマリレナに剣先を向けた。

止めろ!!

ああ、俺のマリレナに剣が刺さっている…

は!? 無理心中!?
約束が違う!!

嫌だマリレナ!死なないでくれ!マリレナ!!




飛び起きると真っ暗な自室だった。

「はぁ…はぁ…」

夢…悪夢を見たのか…

いや、違う。夢じゃない。

夢に出て来たタイリングとマリレナの髪型とドレスは、今夜のパーティで脳裏に過ったタイリングと髪型とドレスと同じだった。

そして夢で抱いていたマリレナの潤んだ瞳が、今夜見せたマリレナの表情と同じだった。


マリレナが急にローラン殿下と離れたがっていること、俺のパーティに来たいと言ったこと、マリレナの兄が接触してきたこと。
挨拶しかしてこなかったマリレナが突然親しげに話しだしたのは……

これは俺達が死んで巻き戻ったんじゃないのか?
そしてマリレナには巻き戻る前の記憶があるのか…

報われないマリレナに同情した神か何かが奇跡を起こさせたのか?


俺はものすごく悩んだが父上に相談することにした。いずれにしてもタリアのことも、マリレナを慕っていることも伝えなければならない。
頭がおかしくなったかと、医者を呼ばれるかもしれないが、話すことにした。

パーティの翌朝、食後に父上に時間を割いてもらった。
そして夢で見た 殺されるまでの事、そして昨夜のパーティで起きた事を話した。

1分以上の沈黙の後に父上は姿勢を崩して背もたれに背を預けた。

「なるほどな」

「あの、俺は気が触れたつもりは、」

「私も同意見だ」

「はい!?」

「時が巻き戻った…2年以上巻き戻ったのだろうな」

「信じてくださるのですか」

「マリレナ・マルブール侯爵令嬢自身が証明しているからな」

「どういう事でしょう」

「王都の新店舗の何軒か人気店になっているのだが、出資者がいるんだ。どの店も同じ人物だと分かった。
それに外国からの輸入品で 爆発的に人気の出た物を買い付けたのも同じ人物だった。
それがらマルブール嬢だ。

エルネスト・マルブールも土地を買って そこから新たな鉱脈が見つかったし、南の牛の疫病が発生したが、拡大を防ぐためにエルネスト・マルブールが無償で支援をした。今やマルブール侯爵令息は時の人だ。
 
マルブール嬢が全て覚えていて、その情報を元に金を稼いでいるようだ。牛の疫病の件は実に政治的な判断だ。父親の侯爵が娘を犠牲にして夫人を殺し、愛人と私生児を迎えてマルブールの籍に入れようとしたのなら、巻き戻った今、それを阻止したいのだろう。投資も支援も個人資産らしい。だから父親の侯爵には全く関係ないことになる。
金を稼ぎ力を付け、南側の領主達を味方につけた。
エルネスト・マルブールが若くとも、喜んで後ろ盾になるだろう。

実質、領地で息子が指揮をとり、補佐達と侯爵家と領地を守っていて、父親の侯爵は愛人と屋敷に入り浸り。
それは放棄しているのと同じだ。マルブール兄妹は父親から爵位を剥奪するつもりなのだろう。

だとしたら、当然 ローラン殿下には嫁ぎたくないだろう。母親を殺す毒を用意して、自分を犯させて殺した男だからな。
婚約解消もしくは破棄に向けて準備を進めているはずだ」

「俺は…マリレナを愛しています。出会った時からずっと」

「彼女は殺される前にアルシェに無理矢理純潔を奪われたわけだが、それでも許しておまえを選んでくれるのか?」

「昨日のマリレナの言葉を信じます。
そんなことはないと思いますが、もし 俺が復讐の対象に入っているのなら甘んじて受けるつもりです」

「分かった。先ずはタリアのことから片付けよう」


即日、タリアの父親に、タリアの婚姻資格の喪失を理由に婚約破棄を申し入れた。
タリアは医師の検査を受け入れなければならず、純潔ではないことが証明された。
数日後、デスター家に慰謝料が支払われた。







しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

ある辺境伯の後悔

だましだまし
恋愛
妻セディナを愛する辺境伯ルブラン・レイナーラ。 父親似だが目元が妻によく似た長女と 目元は自分譲りだが母親似の長男。 愛する妻と妻の容姿を受け継いだ可愛い子供たちに囲まれ彼は誰よりも幸せだと思っていた。 愛しい妻が次女を産んで亡くなるまでは…。

妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢

岡暁舟
恋愛
妹に正妻の座を奪われた公爵令嬢マリアは、それでも婚約者を憎むことはなかった。なぜか? 「すまない、マリア。ソフィアを正式な妻として迎え入れることにしたんだ」 「どうぞどうぞ。私は何も気にしませんから……」 マリアは妹のソフィアを祝福した。だが当然、不気味な未来の陰が少しずつ歩み寄っていた。

わたしは婚約者の不倫の隠れ蓑

岡暁舟
恋愛
第一王子スミスと婚約した公爵令嬢のマリア。ところが、スミスが魅力された女は他にいた。同じく公爵令嬢のエリーゼ。マリアはスミスとエリーゼの密会に気が付いて……。 もう終わりにするしかない。そう確信したマリアだった。 本編終了しました。

決めるのはあなた方ではない

篠月珪霞
恋愛
王命で決まった婚約者に、暴言を吐かれ続けて10年。 逃れられずに結婚したカメリアに、実はずっと愛していたと言われ。

公爵家の末っ子娘は嘲笑う

たくみ
ファンタジー
 圧倒的な力を持つ公爵家に生まれたアリスには優秀を通り越して天才といわれる6人の兄と姉、ちやほやされる同い年の腹違いの姉がいた。  アリスは彼らと比べられ、蔑まれていた。しかし、彼女は公爵家にふさわしい美貌、頭脳、魔力を持っていた。  ではなぜ周囲は彼女を蔑むのか?                        それは彼女がそう振る舞っていたからに他ならない。そう…彼女は見る目のない人たちを陰で嘲笑うのが趣味だった。  自国の皇太子に婚約破棄され、隣国の王子に嫁ぐことになったアリス。王妃の息子たちは彼女を拒否した為、側室の息子に嫁ぐことになった。  このあつかいに笑みがこぼれるアリス。彼女の行動、趣味は国が変わろうと何も変わらない。  それにしても……なぜ人は見せかけの行動でこうも勘違いできるのだろう。 ※小説家になろうさんで投稿始めました

愛人を選んだ夫を捨てたら、元婚約者の公爵に捕まりました

由香
恋愛
伯爵夫人リュシエンヌは、夫が公然と愛人を囲う結婚生活を送っていた。 尽くしても感謝されず、妻としての役割だけを求められる日々。 けれど彼女は、泣きわめくことも縋ることもなく、静かに離婚を選ぶ。 そうして“捨てられた妻”になったはずの彼女の前に現れたのは、かつて婚約していた元婚約者――冷静沈着で有能な公爵セドリックだった。 再会とともに始まるのは、彼女の価値を正しく理解し、決して手放さない男による溺愛の日々。 一方、彼女を失った元夫は、妻が担っていたすべてを失い、社会的にも転落していく。 “尽くすだけの妻”から、“選ばれ、守られる女性”へ。 静かに離婚しただけなのに、 なぜか元婚約者の公爵に捕まりました。

《完結》氷の侯爵令息 あなたが子供はいらないと言ったから

ヴァンドール
恋愛
氷の侯爵令息と言われたアラン。彼は結婚相手の伯爵令嬢にとにかく冷たい態度で接する。 彼女は義姉イライザから夫が子供はいらないと言ったと聞き、衝撃を受けるが気持ちを切り替え生きていく。

一年だけの夫婦でも私は幸せでした。

クロユキ
恋愛
騎士のブライドと結婚をしたフローズンは夫がまだ婚約者だった姉を今でも想っている事を知っていた。 フローズンとブライドは政略結婚で結婚式当日にブライドの婚約者だった姉が姿を消してしまった。 フローズンは姉が戻るまでの一年の夫婦の生活が始まった。 更新が不定期です。誤字脱字がありますが宜しくお願いします。

処理中です...