【完結】冷遇された翡翠の令嬢は二度と貴方と婚約致しません!

ユユ

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エグランティーヌの野望

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【 エグランティーヌの視点 】


私はロテュス王国の第二王女。
王妃を母に持つのは私と第二王子の兄。

普通は王妃の産んだ第二王子を次期国王に指名するのが筋だと思う。だけど国王陛下は側妃の産んだ第一王子を王太子にしてしまった。  

側妃が産んだのは 第一王子と第一王女と第三王子。
勢力が変わってしまった。

第一王子が選ばれる前は誰もが兄様と私に傅いた。
気に入らない第一王女も私に逆らわなかったのに。


周囲から人が少なくなり、第一王女はロテュス最大の家門と言われる バラン公爵家の跡継ぎと婚姻した。

悔しかった。

だけど、気が付いた。
大国の王妃になれば また皆が傅く。
グリーンデサントの第一王子にまだ婚約者がいない。

縁談を申し入れて欲しいと国王陛下お父様に頼んだけど、

「無理だ。ジュスト殿下は恋愛結婚を望んでいるらしく、誰からの縁談も受け付けないそうだ。
第一王女シルビアの時に聞いたらそう言われた」

第一王女は振られたも同然ね。
益々手に入れたくなったわ。

「では留学して彼の気を引けばよろしいのですね」

「勉強は得意では無いだろう」

「他国の王族を迎えるのならば特別扱いしてくださるはずですわ」

「打診してみよう」



一ヶ月後。

「エグランティーヌ。
グリーンデサントから返事があった。
留学は構わないが特別扱いはしないそうだ。

文化などを学びたいというのだから学生として受け入れる。王城の客室を与え身の回りの世話をするメイドは付けるがそれまで。
クラスもテストを受けさせて 相応しいクラスに入れると書いてある」

「そんな」

「同じ城に滞在できて、同じ学園に通えるんだ。
それだけでもチャンスだろう。お前は容姿だけはいいからな」


少し不満は残ったが、行けばしっかりと対応してくれるはずだと思った。

朝晩の食事、学食、登下校の馬車、休日のデート。
グリーンデサントの観光案内を広げて目に焼き付けた。



そして実際に留学の為、グリーンデサントに到着した。

本当に普通の客室だった。
メイドも二人だけ。

クラスを決めるためのテストは下位クラス。


それにしてもジュスト殿下が挨拶に来ない。

聞いてみた。

「ジュスト殿下は別の国へ留学に行っております」

「は!?」

「文化や歴史を学びたいということでしたので、専門家を王女殿下にお付けいたします」

ふざけるんじゃないわよ!
何で肝心の王子が他所に留学しちゃうのよ!

急いでお父様に手紙を出し、ジュスト殿下の留学先へ行けるように頼んだ。


特別扱い無しの短期なら受け付けると返事が返ってきたので、グリーンデサントの留学を終了し、ジュスト殿下の元へ向かった。

初めて会うジュスト殿下は 少し薄い翡翠色の瞳をしていた。


ジュスト殿下は私とは違い、宮を充てがわれていると聞いて、私もそこに滞在したいと言ったけど却下された。

食事の席に滅多に現れない。
押しかけて行っても警備兵が通してくれない。
休日も別行動だった。


平凡な馬車に乗り一人で登下校。
昼食は何とか無理矢理近くに座り、いろいろ誘ったけど断られた。

時には腕を絡めて胸を押し付けたし、上目遣いで見つめたけど効果無し。

挙句、クラスのみんなの前で街の娼婦と変わらないといった 酷い言葉を浴びせられた。

同じ学年の子達に殿下について聞いて回ったが、あまり知らないと言う。
知らないのか殿下を恐れて口を割らないのか。

だけど一人、男爵令嬢が教えてくれた。

「ジュスト殿下ですか?
従妹のセリーナという令嬢にぞっこんです。

フレデリク殿下や公爵や美貌で有名な令息にまで尻尾を振って惑わす悪女です」

「セリーナ…身分は」

「伯爵令嬢です」

詳しく聞くと下級生らしい。
髪や瞳の色を聞いて探したが見つからなかった。



私の歓迎パーティの参加者名簿に、“グラシアン・シオーヌ公爵、セリーナ・カークファルド伯爵令嬢” の名を見つけた。

美しく着飾った私と比べたら殿下の気が変わるはず。そう思っていたのに。


挨拶に来た女は美しかった。それに完璧な翡翠の瞳。まさか、ジュスト様のいう本物の豊穣の神の加護を受けた証の持ち主が彼女!?
装いも最高級品だと分かる。


彼女をエスコートする公爵はしっかりと彼女の側に立ち、パートナーとして主張していた。

「はい、陛下。セリーナ嬢と馬車に乗り一泊二日の旅程でアドニス家まで行きましたが、流石カークファルド製。疲れ方が全然違いますよ」

「フレデリクも納品されて騒いでおった。
生産を少し増やせるようにしてくれたおかげで、注文した時に聞いた納期より早まって助かった。
私の分が回ってくるのが待ち遠しい。今度のは襲撃対策を備えた旅用の馬車だからな」

「左様でございましたか。
しかし、陛下の順番が回ってくる頃には、今よりも素晴らしい案を提案できるはずです」

「そういえばアドニス伯爵の甥を引き取ったそうだな」

「はい。現在お試しで滞在しておりますが、利発で小さな紳士のロータルに私もセリーナもすっかり夢中です。
一生懸命案を出してセリーナに貢献しようとする健気な姿がまた可愛くて」

「そうかそうか。
公爵の養子にするのか?」

「ロータル次第ですが、彼が選んでくれるのなら私の子ではなく、弟として迎えるつもりです。
そうでないとセリーナを叔母様と呼ばせなくてはなりません」

「ハハッ そうだな。こんなに若くて美しいのに叔母様はないな」

「セリーナ、困ったことはないか」

「お陰様で忙しく過ごしております」

「熱を出すと困るからちゃんと休みなさい。
フレデリクが世話になっているからな。
元気でいてもらわないと」

「陛下、私は先程 イザベラに求婚しました」

「おお!そうか!

イザベラ。フレデリクを頼んだぞ」

「え? はい?」

「陛下、承諾をもらえましたので契約書を交わしたいのですが」

「用意させよう。

しかし、やっと決めたか」

「キスをしたら、イザベラしかいないと実感しました」

「ちょっと!フレデリク!」

「まだ爪を出しますから、気を付けないと」

「逃げられないようにな」

「今夜酔わせて署名させます」

「公爵の前で作戦をバラすな」

「公爵…いえ、義兄上。よろしくお願いします」

「あ、はい」







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