【完結】冷遇された翡翠の令嬢は二度と貴方と婚約致しません!

ユユ

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シオーヌ家の第三子

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【 グラシアンの視点 】

領地にロータルを連れて行って、母上に会わせた。

「分かったわ。ロータル。母上と呼びなさい」

「感謝いたします、母上」

「それで、後始末は?」

「今週中に片付けて 来週早々に母上の養子として届け出ます」

書類を読んだ母上が目を留めた。

「テオドール?」

「はい。テオドール・シオーヌになります」

「いい名前ね」

「ロータル。君の名はテオドールになる」

「ありがとうございます」



 
一泊して王都に戻り、翌日はアドニス伯爵家へ向かった。

アドニス邸には伯爵夫妻の他に、イーサン、オフィリア、ルシールを集めた。

グ「単刀直入に申します。
ロータルをシオーヌ家の籍に入れます。

イーサン、オフィリア、ルシールにはロータルと絶縁をしていただきたい。

こちらの書類に署名をお願いします」

イ「……」

オ「私が産んだ子よ!」

ル「え? ロータルが公爵の家の子になるの?
だったらルシールも公爵家の子になる!」

グ「オフィリア。産みはしましたが、貴女はルシールばかりを可愛がって優遇していたではありませんか。貴女の言動はロータルを育てる環境としては相応しくありません。

母だと主張するのなら、子により良い環境を与えるべきでした」

オ「充分やっていたわ」

グ「いえ。ロータルには悪影響でした。
ロータルは生まれ持った素晴らしさがあるから貴女に染まらず、毎日我慢してきました。

貴女の影響を受けたのは娘さんです。

ルシール。現在の国王夫妻の名前を教えてくれ」

ル「っ! お、お会いしたことがないもの。知るわけがないわ!」

グ「たったこれだけで、ルシールがいくつの過ちを犯しているか分かりますか?オフィリア」

オ「仕方ないじゃない。まだ子供なのだから」

グ「先ず、歳上への態度ではない。
そして、公爵である私に敬語も使えない。
非を認められない。
謝れない。
無知であることを開き直る。
慎みを知らない。
挨拶もまともにできない。
貴族なら6歳には覚えているのが普通と言われる国王夫妻の名前を言えない。

ルシール。会ったことがないから知らない?
それは貴族の言葉ではない。
確かに紹介されなければ知らない場合も認められるが、王族の名前は許されない。
そして君の歳なら上位貴族の当主の名も知っていて当然の常識だ。

私は初対面ではないぞ。
私の名を覚えているか?」

ル「っ!」

グ「子は親の鏡と言うが、オフィリアとルシールは悪い見本のようなものだ。

せっかくアドニス伯爵が与えてくださった環境に感謝することなく無駄に過ごしてしまった。
兄弟なら与えてくれるのが当然と思うのは間違いだ。多くの兄弟姉妹が職を得るなり婿や嫁として他家に移る中、子供達用の高級馬車を注文できるほどの豊かな生活を与えてもらえていた。

それはアドニス夫人や二人の令嬢方が分け与えてくれたものでもある。

感謝するどころか、不義理で返した。

とても優秀で心優しいロータルを貴女方の元へ返せない」

オ「ロータル。お母様と暮らしたいでしょう」

ロ「僕は跡継ぎではないことは明確に分かりました。だとしたらもっとルシールを優先になるでしょう?

僕には母親はいなかった。そう自分に言い聞かせて生きてきた。だからルシールにも我慢した。
物を壊せばルシールは僕のせいにして、貴女は僕を殴った。いつもいつも。

そんな貴女とルシールの元に帰りたいと思うほどバカじゃない。

公爵達は貴女がくれなかった全てをくださる。
愛情や知識や会話の時間。他にも色々と。

僕はもう貴女達と一緒にいたくない!」

オ「ロータル!!

絶対離さないわよ!」

伯「では、支援は打ち切ろう。
イーサンの今の雇用は試用期間だが、私が保証人から外れたら本採用になれるか?」

オ「お義兄様っ」

伯「伯爵と呼んでくれ。妻のことは伯爵夫人と呼ぶんだ。
そして平民として私と妻と娘二人に敬意を払ってくれ。こちらは貴族だからな。

ルシールは学園に通うのは不可能だ。家のことをさせて君は町に働きにいきなさい。

その状態で、もう一人養えるかな?
男の子は成長が早いから靴も服も買い替えが早いし、食費もかかる。
そしてある程度大きくなれば、彼に力でも敵わなくなる。反撃にあえばどうなるかな?」

イ「ロータル。すまなかった。
私ができることはこれしかなくてごめんな」

そういうと、イーサンは署名した。
オフィリアもイーサンに催促されて署名した。

伯「ルシール。公爵令嬢はドレスを買ってもらって好きなお菓子を食べられる生活ではない。

かなり厳しい教育を毎日受けることになる。
君の場合は話し方 座り方 立ち方 歩き方 挨拶の仕方 カップの持ち方という初歩から始めなくてはならない。

勉強も遅れている分、一日中やることになるだろう。

合格しないと他家には出してもらえない。
茶会やパーティには出席できない。
外食にも連れて行けない。

学園に入るにも面接がある。
成人するまで続くし、学園に入れたとしたら公爵令嬢なら上位にいて当然だ。
つまりまだまだ勉強づけだ。

嫁ぐにも、いくら公爵令嬢でも養女なら見定めのために試されるだろう。

運良く決まっても、次は婚家の勉強だ。
君には無理だよ」

ルシールが署名した。

オ「一人前になったら会いに来てくれるわよね」

グ「オフィリア。赤の他人になったんだ。
契約書をよく見ろ。血縁者だと名乗り出てはいけない。会いに来てもいけない。一切の縁を切ると書いてあるだろう。

違反すれば違反金を支払ってもらう。
払えなければ捕えられて、支払い分を稼ぐまで労働所から出られないぞ」

オ「ロータル」

グ「彼のことはシオーヌ公子、若くはシオーヌ公爵令息と呼ぶように」

イ「シオーヌ公子をよろしくお願いします」

グ「大事に育てることを約束しよう。

アドニス伯爵、夫人。お世話になりました」

伯「ロータルをよろしくお願いします」

グ「受理されたら、彼はテオドール・シオーヌとなります。よろしくお願いします」

ロ「叔父上、叔母上。養ってくださりありがとうございました。いつかご恩に報いることができるよう精進いたします」

伯「いいのだよ。助けてやらなくて悪かった」

夫人「あなたが元気に育ってくれたらそれでいいのよ。誕生日のお祝いは送るわね」

ロ「ありがとうございます」




帰りの馬車では、

「兄様、ありがとうございました」

「違う大変さはあるが、理不尽に殴られたりすることはない。イザベラも騒がしいがルシールほどでは無いと思う」

「イザベラ姉様もとても優しいです」

「弟ができて興奮しているから、暫く付き合ってやってくれ。そのうち王子妃教育で静かになるから」

「はい」

テオドールは安心したのか眠りについた。



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