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イザベラの取り引き
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【 イザベラの視点 】
私の客室でセリーナと一緒に寝て、ゲスト用ダイニングで朝食をとった。
セリーナの家族は昨夜のうちに屋敷に戻っている。
「聞いたわよ。ウェラー家の令嬢を追い払ったんですって?」
「日頃お世話になっているから」
「見たかったわ」
「揶揄わないで」
私は知っている。
控え室で兄様とキスをしたのを。
二人を見れば分かる。
兄様は嬉しそうな顔をしているし、セリーナは少し俯く。
しかもセリーナ自ら 兄様の妻の座を狙う令嬢を追い払うなんて……見たかったわ。
兄様が女遊びをしていて、それが原因で離縁したことは知っているし、その後も婚姻前程ではないが独身に戻った身の兄様は生活をあまり変えなかった。
お父様達が嘆いていたのを聞いてしまった。
その時は兄様を避けた時期があった。
だけどお母様から、
“全員とは言わないけど、男はそういう生き物よ。
でも、相手をする女がいるということは、女にも少なからずそういう生き物がいるの。
グラシアンは家のため 跡継ぎを産ませるために政略結婚をしたのだから、多少は多めに見てあげないと。
多少じゃなくなった時は私達が叱っているわ。
イザベラ。貴女が恋愛結婚するのか、政略結婚するのか分からないけど、離縁することになった時にグラシアンに頼らざるをえないの。
グラシアンを避けたりしないで仲良くなさい。
そしてグラシアンの次の妻とも仲良くやりなさい”
そう言われて気持ちを入れ替えた。
今は一切の女遊びを絶っているらしい。
だけどもし、セリーナと婚約以降に兄様が浮気をしたら、私が匿うつもりだ。
フレデリクとの婚約にあたり、両家の話し合いの前に二人きりで話をした。
兄様のことを打ち明けて、もしもの時にセリーナを匿う手助けをして欲しいとお願いした。
お願いという名の条件だ。
『だったらジュスト殿下の方がいいんじゃないか?』
『ジュスト殿下には間違いなく跡継ぎ問題が付き纏うわ。セリーナが10年不妊でレイノルズが愛人と三人も子を成したなら、セリーナが産めないということになるわ。
貴族の跡継ぎと、大国の王家の跡継ぎではまるでプレッシャーが違うの。
月のモノが止まった後の婚姻10年の日にセリーナは自害したわ。
ジュスト殿下に第二妃とかそういう話になったら、セリーナは10年など待たないと思うわ。
兄様となら、私の子を養子に出せるもの』
『王族の血の入った私との子を養子に出すのか』
『第一王子や第二王子は出さないわ』
『だが、』
『この二つは絶対よ。
無理なら別の嫁ぎ先を探すわ。
それにフレデリク、セリーナを他国に出していいの?』
『……』
『フレデリク。ごめんなさい。
発表はしていないから白紙にしましょう』
『嫌だ』
『はっきり言うわね。
貴方もセリーナの恩恵を受けたでしょう?
天災はまだ数年先だけど、国内で起きる被害を事前に知って対処できるのよ?
セリーナ自身も長雨とその後の干魃に向けて対策に着手しているわ。
巻き戻り前は、国が後手に回り過ぎて西側の領地は大変な目に遭った。
苦しくて自ら死んだ平民も、飢えたり病に倒れた平民もいたでしょう。
食べ物や水や薬などの奪い合いだって横行したはずよ。
カークファルド家は先ずは陛下と貴方が助けてくださると願ってグリーンデサントに頼るのはギリギリまで待ったの。
最終的に援助をしてもらったけど必要最低限。
土地が荒れ果てなければ、便乗して値上げをする卑しい貴族達がいなければ、カークファルド家はセリーナに会いに行って現状を知る余裕があったでしょう。
セリーナを救うことはできたのよ。
王家は借りがあるのではないかしら』
『そうだな』
両家の話し合いには、フレデリクも私もこの条件を頑なに譲らず、今回限りとして婚姻契約が交わされた。
その後、反対意見が多く出たが“養子に出してはいけないと法律で決まっていない” と陛下が言ってくださったら何も言えなくなった。
普通、子ができなかったり政略的などの思惑で養子を迎えることが想定できるために、王族法の中に定めがある。
だが、せっかく産まれた王族の子を外に出すという発想は無かったのだ。
今から法案を通しても、私とフレデリクの条件は覆らない。覆す時は王家の瑕疵による破婚となるからだ。
婚姻前なら私に逃げられる。
婚姻後なら貴族達への印象が悪い。
妃に迎えるときの約束を破るわけだから、自分達の娘が王子妃になる時に同じことをされかねないと考えるからだ。
のんびり過ごしていると兄様がやってきた。
「また自由に会えなくなるから、セリーナを借りた」
「セリーナ、行ってきてあげて」
「イザベラは?」
「フレデリクに会いに行くわ」
「分かったわ」
私はセリーナと前より会えるから、今日は兄様に譲るわ。
フレデリクに会いに行くと抱きしめられた。
「嬉しいな。一人で会いに来てくれたのか。
セリーナがいるから来てくれないと思っていたよ」
「つまらないから遊んで」
「いいよ」
チュッ
「ち、違うわ! 離してっ」
「恋人同士の遊びだよ」
私の客室でセリーナと一緒に寝て、ゲスト用ダイニングで朝食をとった。
セリーナの家族は昨夜のうちに屋敷に戻っている。
「聞いたわよ。ウェラー家の令嬢を追い払ったんですって?」
「日頃お世話になっているから」
「見たかったわ」
「揶揄わないで」
私は知っている。
控え室で兄様とキスをしたのを。
二人を見れば分かる。
兄様は嬉しそうな顔をしているし、セリーナは少し俯く。
しかもセリーナ自ら 兄様の妻の座を狙う令嬢を追い払うなんて……見たかったわ。
兄様が女遊びをしていて、それが原因で離縁したことは知っているし、その後も婚姻前程ではないが独身に戻った身の兄様は生活をあまり変えなかった。
お父様達が嘆いていたのを聞いてしまった。
その時は兄様を避けた時期があった。
だけどお母様から、
“全員とは言わないけど、男はそういう生き物よ。
でも、相手をする女がいるということは、女にも少なからずそういう生き物がいるの。
グラシアンは家のため 跡継ぎを産ませるために政略結婚をしたのだから、多少は多めに見てあげないと。
多少じゃなくなった時は私達が叱っているわ。
イザベラ。貴女が恋愛結婚するのか、政略結婚するのか分からないけど、離縁することになった時にグラシアンに頼らざるをえないの。
グラシアンを避けたりしないで仲良くなさい。
そしてグラシアンの次の妻とも仲良くやりなさい”
そう言われて気持ちを入れ替えた。
今は一切の女遊びを絶っているらしい。
だけどもし、セリーナと婚約以降に兄様が浮気をしたら、私が匿うつもりだ。
フレデリクとの婚約にあたり、両家の話し合いの前に二人きりで話をした。
兄様のことを打ち明けて、もしもの時にセリーナを匿う手助けをして欲しいとお願いした。
お願いという名の条件だ。
『だったらジュスト殿下の方がいいんじゃないか?』
『ジュスト殿下には間違いなく跡継ぎ問題が付き纏うわ。セリーナが10年不妊でレイノルズが愛人と三人も子を成したなら、セリーナが産めないということになるわ。
貴族の跡継ぎと、大国の王家の跡継ぎではまるでプレッシャーが違うの。
月のモノが止まった後の婚姻10年の日にセリーナは自害したわ。
ジュスト殿下に第二妃とかそういう話になったら、セリーナは10年など待たないと思うわ。
兄様となら、私の子を養子に出せるもの』
『王族の血の入った私との子を養子に出すのか』
『第一王子や第二王子は出さないわ』
『だが、』
『この二つは絶対よ。
無理なら別の嫁ぎ先を探すわ。
それにフレデリク、セリーナを他国に出していいの?』
『……』
『フレデリク。ごめんなさい。
発表はしていないから白紙にしましょう』
『嫌だ』
『はっきり言うわね。
貴方もセリーナの恩恵を受けたでしょう?
天災はまだ数年先だけど、国内で起きる被害を事前に知って対処できるのよ?
セリーナ自身も長雨とその後の干魃に向けて対策に着手しているわ。
巻き戻り前は、国が後手に回り過ぎて西側の領地は大変な目に遭った。
苦しくて自ら死んだ平民も、飢えたり病に倒れた平民もいたでしょう。
食べ物や水や薬などの奪い合いだって横行したはずよ。
カークファルド家は先ずは陛下と貴方が助けてくださると願ってグリーンデサントに頼るのはギリギリまで待ったの。
最終的に援助をしてもらったけど必要最低限。
土地が荒れ果てなければ、便乗して値上げをする卑しい貴族達がいなければ、カークファルド家はセリーナに会いに行って現状を知る余裕があったでしょう。
セリーナを救うことはできたのよ。
王家は借りがあるのではないかしら』
『そうだな』
両家の話し合いには、フレデリクも私もこの条件を頑なに譲らず、今回限りとして婚姻契約が交わされた。
その後、反対意見が多く出たが“養子に出してはいけないと法律で決まっていない” と陛下が言ってくださったら何も言えなくなった。
普通、子ができなかったり政略的などの思惑で養子を迎えることが想定できるために、王族法の中に定めがある。
だが、せっかく産まれた王族の子を外に出すという発想は無かったのだ。
今から法案を通しても、私とフレデリクの条件は覆らない。覆す時は王家の瑕疵による破婚となるからだ。
婚姻前なら私に逃げられる。
婚姻後なら貴族達への印象が悪い。
妃に迎えるときの約束を破るわけだから、自分達の娘が王子妃になる時に同じことをされかねないと考えるからだ。
のんびり過ごしていると兄様がやってきた。
「また自由に会えなくなるから、セリーナを借りた」
「セリーナ、行ってきてあげて」
「イザベラは?」
「フレデリクに会いに行くわ」
「分かったわ」
私はセリーナと前より会えるから、今日は兄様に譲るわ。
フレデリクに会いに行くと抱きしめられた。
「嬉しいな。一人で会いに来てくれたのか。
セリーナがいるから来てくれないと思っていたよ」
「つまらないから遊んで」
「いいよ」
チュッ
「ち、違うわ! 離してっ」
「恋人同士の遊びだよ」
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