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続編:ヒューゴの結婚
会わせるべきではなかった
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クリスティーナを口説いてジオ領に連れてきた。俺のために来てくれたのなら嬉しいのだがそうではない。仕事を理由に誘った。
「護衛の騎士の準備をしたい。先ずは彼女が側につく」
「え?……うん」
女騎士に合図を送るとクリスティーナの前で膝をついた。
「クリスティーナ嬢、私はラヴィアと申します。数日護衛につかせていただきます」
「クリスティーナ・セルヴィーです。ラヴィア卿、よろしくお願いします」
「チュッ」
「!!」
ラヴィアはクリスティーナの手の甲にキスをした。
「お部屋へご案内します」
「はい」
クリスティーナの手を取りエスコートをし始めた。
ラヴィアは金髪に切長の紫色の瞳の美人、体格も良く後ろから見れば男にも見える。実際、メイドや令嬢がラヴィアを美男子と勘違いをして頬を染めることがある。
今は猫を被っているが気性が荒い。ラヴィアはうちの領地の孤児だ。母親が死んで父親が自身の姉夫婦の家にラヴィアを預けたのだが、いい扱いは受けず従兄達と喧嘩をして勝ってしまった。そこに父親の殉職で慰労金がラヴィアの懐に入った。伯母夫婦は息子の治療費といって金を取り上げ遠くの森に捨てた。生き残れないだろうと思ったらしい。だがラヴィアは生き残り1年半後の7歳でジオ公爵に保護された。
森に捨てられた数日は隠れて過ごしたが、その後歩き回り屍を発見し装備から刃渡りの短いナイフを手に入れ服も剥ぎ取り川で洗った。
ラヴィアは運良く親切なハンターと遭遇し、狩や捌き方や火を起こし肉を焼くことを教わった。子供の体を生かして小さな穴に逃げ込む動物を捕まえた。特に毛皮に価値がある種類の動物を選んでいた。着火道具などの必需品と毛皮を交換をした。そのうち中型の動物を狩れるようになり皮の他にツノや牙や爪も採取し肉は食べた。余るほどならハンターにあげた。
そうしてラヴィアはハンター達の中で有名になった。だがその話を聞きつけた下位貴族がラヴィアを捕まえて飼おうとしたのだ。すばしっこいラヴィアを捕まえたのは動物用の罠で、逃れようと激しくもがき酷い怪我を負った。使い物にならないと判断した貴族はラヴィアを捨てた。親しかったハンター達が保護し、丁度討伐に来ていたジオ公爵率いるジオ軍に助けを求めた。ラヴィアは公爵邸に連れて来られて医者から治療を受けた。俺とは歳が近く、いい鍛錬相手になった。ラヴィアの戦い方は型破りで野生的。獲物を仕留めるか己を守ることだけに集中させた戦い方で基本だとか型だとかそんなものはない。だからしばらくは負けていた。歳下の女の子相手から一本取るのに2年かかった。俺が強く成長できたのはラヴィアのおかげだ。お互い子供だったが一緒に討伐にも行っていたし、あの気性の荒さがなければ右腕にしていた。だがラヴィアは貴族のマナーを学ぶ気もなく、必要最低限のマナーだけしか受け入れなかった。
「クリスティーナ様、段差に気を付けてください」
「ありがとう」
まるで色男のような視線で彼女を優しくエスコートするが、ラヴィアは最初から自分を見下すような態度を取る夫人や令嬢には視線も合わすこともないし無視をする。
「よろしければご一緒にお茶でもいかがですか」
「え?ラヴィア卿と?お仕事は?」
「クリスティーナ様をもてなしながらお守りします」
「こら。俺の婚約者を口説こうとするな」
「大袈裟ですよ。ここに脅威があるわけがありません。余計な雌猫もいませんし。ならば私がクリスティーナ様のお相手をしながらでもお守りすることは可能です」
「雌猫?」
彼女の前で余計なことを言うな!
「お気になさらず。それよりお疲れでしょう?私が隅々までマッサージをして差し上げます」
「護衛騎士にそのようなことはさせられないわ」
「大丈夫ですよ。変な者が近寄れば大抵は気配で分かりますから対処に間に合います。それに私の指はすごいですよ」
「ちょっと来い」
「な、なんですか」
ラヴィアを連れて廊下に出た。
「おまえ、クリスティーナを口説くな」
「え~」
「え~じゃない!」
「だって、あの子からいい匂いがするんですよ、内からも外からも」
ラヴィアは相手の性根を匂いで例える。つまりクリスティーナを良き人間と感知し、容姿も好みだと言っているのだ。
「おまえは女でクリスティーナも女だろう」
「私はどっちでも構いません。男だろうか女だろうが、良き人間かどうかと好みかどうかで判断します。安心してください、絶対に満足させてみせます」
「止めろ」
俺が用無しになったらどうするつもりだ!
ラヴィアが口説くのを妨害し続け、やっと彼女と2人きりの夜を過ごせるかと思ったのに、風呂から出ると彼女は熟睡していた。ラヴィアが散歩にも連れ回したから疲れたのだろう。
仕方なく1階に降りると父上が寝る前の1杯を飲んでいた。
「俺にも1杯頼む」
「すぐにご用意します」
酒が用意されると1口飲んだ。
「クリスティーナの側にいないのか?」
「ラヴィアのせいでお預けですよ」
「ははっ、あいつは手強いぞ。ドレスを着させれば美しい女になるし、騎士服を着せれば中性的な美男子にも見える。女には不能という言葉は無縁だしな」
「俺は不能ではありませんし元気です」
「せいぜい乗り換えられないように頑張れ」
くっそ!面白がって!
「護衛の騎士の準備をしたい。先ずは彼女が側につく」
「え?……うん」
女騎士に合図を送るとクリスティーナの前で膝をついた。
「クリスティーナ嬢、私はラヴィアと申します。数日護衛につかせていただきます」
「クリスティーナ・セルヴィーです。ラヴィア卿、よろしくお願いします」
「チュッ」
「!!」
ラヴィアはクリスティーナの手の甲にキスをした。
「お部屋へご案内します」
「はい」
クリスティーナの手を取りエスコートをし始めた。
ラヴィアは金髪に切長の紫色の瞳の美人、体格も良く後ろから見れば男にも見える。実際、メイドや令嬢がラヴィアを美男子と勘違いをして頬を染めることがある。
今は猫を被っているが気性が荒い。ラヴィアはうちの領地の孤児だ。母親が死んで父親が自身の姉夫婦の家にラヴィアを預けたのだが、いい扱いは受けず従兄達と喧嘩をして勝ってしまった。そこに父親の殉職で慰労金がラヴィアの懐に入った。伯母夫婦は息子の治療費といって金を取り上げ遠くの森に捨てた。生き残れないだろうと思ったらしい。だがラヴィアは生き残り1年半後の7歳でジオ公爵に保護された。
森に捨てられた数日は隠れて過ごしたが、その後歩き回り屍を発見し装備から刃渡りの短いナイフを手に入れ服も剥ぎ取り川で洗った。
ラヴィアは運良く親切なハンターと遭遇し、狩や捌き方や火を起こし肉を焼くことを教わった。子供の体を生かして小さな穴に逃げ込む動物を捕まえた。特に毛皮に価値がある種類の動物を選んでいた。着火道具などの必需品と毛皮を交換をした。そのうち中型の動物を狩れるようになり皮の他にツノや牙や爪も採取し肉は食べた。余るほどならハンターにあげた。
そうしてラヴィアはハンター達の中で有名になった。だがその話を聞きつけた下位貴族がラヴィアを捕まえて飼おうとしたのだ。すばしっこいラヴィアを捕まえたのは動物用の罠で、逃れようと激しくもがき酷い怪我を負った。使い物にならないと判断した貴族はラヴィアを捨てた。親しかったハンター達が保護し、丁度討伐に来ていたジオ公爵率いるジオ軍に助けを求めた。ラヴィアは公爵邸に連れて来られて医者から治療を受けた。俺とは歳が近く、いい鍛錬相手になった。ラヴィアの戦い方は型破りで野生的。獲物を仕留めるか己を守ることだけに集中させた戦い方で基本だとか型だとかそんなものはない。だからしばらくは負けていた。歳下の女の子相手から一本取るのに2年かかった。俺が強く成長できたのはラヴィアのおかげだ。お互い子供だったが一緒に討伐にも行っていたし、あの気性の荒さがなければ右腕にしていた。だがラヴィアは貴族のマナーを学ぶ気もなく、必要最低限のマナーだけしか受け入れなかった。
「クリスティーナ様、段差に気を付けてください」
「ありがとう」
まるで色男のような視線で彼女を優しくエスコートするが、ラヴィアは最初から自分を見下すような態度を取る夫人や令嬢には視線も合わすこともないし無視をする。
「よろしければご一緒にお茶でもいかがですか」
「え?ラヴィア卿と?お仕事は?」
「クリスティーナ様をもてなしながらお守りします」
「こら。俺の婚約者を口説こうとするな」
「大袈裟ですよ。ここに脅威があるわけがありません。余計な雌猫もいませんし。ならば私がクリスティーナ様のお相手をしながらでもお守りすることは可能です」
「雌猫?」
彼女の前で余計なことを言うな!
「お気になさらず。それよりお疲れでしょう?私が隅々までマッサージをして差し上げます」
「護衛騎士にそのようなことはさせられないわ」
「大丈夫ですよ。変な者が近寄れば大抵は気配で分かりますから対処に間に合います。それに私の指はすごいですよ」
「ちょっと来い」
「な、なんですか」
ラヴィアを連れて廊下に出た。
「おまえ、クリスティーナを口説くな」
「え~」
「え~じゃない!」
「だって、あの子からいい匂いがするんですよ、内からも外からも」
ラヴィアは相手の性根を匂いで例える。つまりクリスティーナを良き人間と感知し、容姿も好みだと言っているのだ。
「おまえは女でクリスティーナも女だろう」
「私はどっちでも構いません。男だろうか女だろうが、良き人間かどうかと好みかどうかで判断します。安心してください、絶対に満足させてみせます」
「止めろ」
俺が用無しになったらどうするつもりだ!
ラヴィアが口説くのを妨害し続け、やっと彼女と2人きりの夜を過ごせるかと思ったのに、風呂から出ると彼女は熟睡していた。ラヴィアが散歩にも連れ回したから疲れたのだろう。
仕方なく1階に降りると父上が寝る前の1杯を飲んでいた。
「俺にも1杯頼む」
「すぐにご用意します」
酒が用意されると1口飲んだ。
「クリスティーナの側にいないのか?」
「ラヴィアのせいでお預けですよ」
「ははっ、あいつは手強いぞ。ドレスを着させれば美しい女になるし、騎士服を着せれば中性的な美男子にも見える。女には不能という言葉は無縁だしな」
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