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続編:ヒューゴの結婚
家出
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困ったことになった。
妻となったクリスティーナを抱いた翌昼、彼女につけた侍女から報告が上がった。待たせた分、子作りは延ばしたくないと避妊を拒否したらしい。
つまり昨夜の交わりで妊娠する可能性が出てきた。
こっそり飲ませるよう指示を出したところ侍女は首を横に振った。
不妊は女性にとって最大の悪夢だと。こっそり避妊薬を飲まされた彼女は自分が不妊ではないかと悩むようになるし、事実を知られたら埋められない亀裂が入ることになる。彼女は俺が子を望まないと誤解して傷付く恐れもあると言った。
妻クリスティーナとの交わりを楽しみたいだけではない。出産で彼女が死ぬかもしれないことが不安だった。
仕方なく彼女の中で果てるのを止めたら理由を聞かれてしまい、閨事自体の頻度を控えるようになった。
「ちょっと実家に帰るわ」
「え?」
「仕事の進捗も知りたいし」
そう言って結婚後2ヶ月でルクスを連れて出かけてしまった。
いつも俺だけに甘えるジュエルは彼女とルクスを探すために屋敷の中を徘徊していた。
それが俺の不安を掻き立てた。
その不安は的中し、彼女は1ヶ月経っても帰る気配がなく、手紙を送るも返事は業務連絡のような内容だった。
更にもう1ヶ月待つも帰る気配がないので迎えに行くと、会わせてもらえなかった。
「義母上、どうしてですか」
「あの子が望んでいないからです」
「俺の妻ですよ?」
「元々は私の娘ですし、ここはセルヴィー領のセルヴィー邸です。ジオの名は効果はありませんわ」
おかしい。どうやら伯爵夫人は怒っているようだ。
「義母上、俺の何がいけなかったのでしょう。教えてください」
頭を下げると目線を合わせず渋々と話し出した。
「貴方、結婚前は熱烈に迫っておいて結婚してすぐに冷めるだなんて」
「は?」
「あの子との子は望んでいないらしいじゃない。こんな扱いをされると知っていたら全力で結婚に反対しましたわ」
「ご、誤解です!!」
「貴方の言動を聞く限り誤解ではないはずです」
「俺は彼女を愛していますし、大事にしています!」
「女は愛する男のことに敏感に感じ取るものですわ」
「夫人!」
「早くお帰りください」
それ以上進展はなく、伯爵夫人は伯爵より頑固だとわかった。伯爵令息は会ってさえくれない。探し回ろうとしてもメイド達が壁を作り通らせない。男なら押し除けるがセルヴィー邸の女使用人にそれはできない。
待つこと10日、やっと伯爵が帰ってきた。
事情を聞いたのか伯爵の表情は冷たい。
「それで?何を粘っているのでしょう」
「義父上、誤解なのです!ティナに会わせてください!」
「娘は傷付いています。ルクスも番を守るかのように気が荒くなっています。誤解では済まされない何かがあったのは間違いないのではありませんか?」
「本当にティナへの気持ちは変わりませんし大事にしていました!」
「私は娘に弱いのです。胎にいるとわかったその日から愛してきましたし、産まれた瞬間から世界で一番大切な存在になったのです。その娘がノーと言えば私もノーと言いますし、娘が傷付いていたらその元凶を排除します。幸いにも我が国の貴族法では私が娘に代わって離縁の手続きを行えるのですよ」
「お願いです……俺からティナを取り上げないでください。……お願いです」
絨毯に両膝をついて懇願した。この人ならやってしまうだろうとわかっているからだ。
「娘と別れて新しい妻を探してはどうですか?」
「どうか……」
手を付き頭を下げた。
「そうまでするのに何故態度を変えたのですか?ヒューゴ殿の行動は、娘に飽きたとか子を望んでいないと思わせる行為です。その理由を伝えなければ、娘はヒューゴ殿の行動をストレートに受け取るしかありません。政略結婚なら気にしなかったでしょうが」
「俺は怖かっただけです。出産死の記事を目にして以来、ティナを失う可能性に怯えていただけです」
「はぁ……なら先に話し合うべきでしょう」
「申し訳ありません」
「明日、娘の体調が酷くなければ会わせましょう」
「彼女は病気なのですか!?」
「……悪阻です」
「つ……わり?」
「今更要らないと顔に出せば離婚決定ですからね」
「要らないんじゃありません!」
クリスティーナの胎に俺の子が……
「義父上っ」
「まったく」
涙を流す俺を見て伯爵は呆れていた。
妻となったクリスティーナを抱いた翌昼、彼女につけた侍女から報告が上がった。待たせた分、子作りは延ばしたくないと避妊を拒否したらしい。
つまり昨夜の交わりで妊娠する可能性が出てきた。
こっそり飲ませるよう指示を出したところ侍女は首を横に振った。
不妊は女性にとって最大の悪夢だと。こっそり避妊薬を飲まされた彼女は自分が不妊ではないかと悩むようになるし、事実を知られたら埋められない亀裂が入ることになる。彼女は俺が子を望まないと誤解して傷付く恐れもあると言った。
妻クリスティーナとの交わりを楽しみたいだけではない。出産で彼女が死ぬかもしれないことが不安だった。
仕方なく彼女の中で果てるのを止めたら理由を聞かれてしまい、閨事自体の頻度を控えるようになった。
「ちょっと実家に帰るわ」
「え?」
「仕事の進捗も知りたいし」
そう言って結婚後2ヶ月でルクスを連れて出かけてしまった。
いつも俺だけに甘えるジュエルは彼女とルクスを探すために屋敷の中を徘徊していた。
それが俺の不安を掻き立てた。
その不安は的中し、彼女は1ヶ月経っても帰る気配がなく、手紙を送るも返事は業務連絡のような内容だった。
更にもう1ヶ月待つも帰る気配がないので迎えに行くと、会わせてもらえなかった。
「義母上、どうしてですか」
「あの子が望んでいないからです」
「俺の妻ですよ?」
「元々は私の娘ですし、ここはセルヴィー領のセルヴィー邸です。ジオの名は効果はありませんわ」
おかしい。どうやら伯爵夫人は怒っているようだ。
「義母上、俺の何がいけなかったのでしょう。教えてください」
頭を下げると目線を合わせず渋々と話し出した。
「貴方、結婚前は熱烈に迫っておいて結婚してすぐに冷めるだなんて」
「は?」
「あの子との子は望んでいないらしいじゃない。こんな扱いをされると知っていたら全力で結婚に反対しましたわ」
「ご、誤解です!!」
「貴方の言動を聞く限り誤解ではないはずです」
「俺は彼女を愛していますし、大事にしています!」
「女は愛する男のことに敏感に感じ取るものですわ」
「夫人!」
「早くお帰りください」
それ以上進展はなく、伯爵夫人は伯爵より頑固だとわかった。伯爵令息は会ってさえくれない。探し回ろうとしてもメイド達が壁を作り通らせない。男なら押し除けるがセルヴィー邸の女使用人にそれはできない。
待つこと10日、やっと伯爵が帰ってきた。
事情を聞いたのか伯爵の表情は冷たい。
「それで?何を粘っているのでしょう」
「義父上、誤解なのです!ティナに会わせてください!」
「娘は傷付いています。ルクスも番を守るかのように気が荒くなっています。誤解では済まされない何かがあったのは間違いないのではありませんか?」
「本当にティナへの気持ちは変わりませんし大事にしていました!」
「私は娘に弱いのです。胎にいるとわかったその日から愛してきましたし、産まれた瞬間から世界で一番大切な存在になったのです。その娘がノーと言えば私もノーと言いますし、娘が傷付いていたらその元凶を排除します。幸いにも我が国の貴族法では私が娘に代わって離縁の手続きを行えるのですよ」
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「つ……わり?」
「今更要らないと顔に出せば離婚決定ですからね」
「要らないんじゃありません!」
クリスティーナの胎に俺の子が……
「義父上っ」
「まったく」
涙を流す俺を見て伯爵は呆れていた。
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