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続編:ヒューゴの結婚
最終話
しおりを挟む卒業後1ヶ月後、シルベスト殿下の元にクリスタが嫁いだ。
後にレミオスも婿に行き、アーサーとセリーヌを見守りながらクリスティーナとイチャついていた。
セリーヌが卒業後にゼオロエン公爵家に嫁いだ後に父が他界。公爵位を正式に継いだ。
「アーサー、誰かいないの?」
「いない」
「夜会とか行ってみたら?」
「つまらない」
「ほら、セリーヌの様子を見るついでに」
「昨日会った」
「いつの間に」
「母上が父上とイチャついている間に」
「なっ!」
「大丈夫だから領地に帰りなよ」
「アーサーも一緒に帰る?」
「剣闘会に参加しに王都に来たのに何言ってるの」
「だって、アーサーを一人になんてできないわ」
「終わったらすぐに帰るから」
「私も残ろうかな」
「駄目だ」
領地で大事な用事があるので俺は帰らなくてはならなかった。彼女は分け隔てはしなかったがアーサーのことが一番可愛いらしい。
「アーサー……チュッチュッ」
「は、母上っ、父上に恨まれるから止めて」
「自分そっくりの息子に嫉妬なんかしないわ」
してるよ。
領地に帰り1ヶ月半後にアーサーが戻ったが、問題が起きた。
「彼女はリリー。俺の妻にします」
「「……」」
黒髪に青い瞳、そばかすがあり容姿は普通。それに身なりからして平民だと悟った。
さすがに平民のお嬢さんを次期公爵夫人にするのは無理がある。
「リリーさんはアーサーと結婚することについてどう思う?」
「あの、お給料をいただけるということでご令息について来たのですが、メイドの募集ですよね?」
「アーサー?」
「リリーは職を探していた。俺の嫁の仕事を与えて給料を払う」
「「はぁ~っ」」
俺とクリスティーナは盛大に溜息をついた。
話を聞くと、剣闘会の会場でリリーは短期の仕事をしていた。そのまま仕事がないか聞き回っていたので連れてきたようだ。
「責任を持って雇うが妻というのは駄目だ」
「何故ですか」
「公爵夫人の仕事は簡単にできるものではない」
「父上のように僕がやります」
「「……」」
よく見てるな。
「おまえが知らないだけでティナは仕事をしているんだ。実績や人脈を築き、クリスティーナ・ジオという存在が世に影響を及ぼしている。それは俺にはできないことだ」
「リリーが駄目なら誰でもいいですよ。適当な女を連れて来てください」
「第一にリリーさんにその気はないだろう」
「あれば良いというわけではないのに聞いてどうするんですか。あったら受け入れてくれるんですか?不相応だと説くのでしょう?」
「アーサー」
「リリーさん、私とお花を見に行きましょう」
「はい」
十数分後、クリスティーナだけ慌てて戻ってきた。
「ヒュー!彼女、バノアの王女よ!ラヴィア卿の娘よ!セルヴィー家が送ったピアスをつけてるわ!」
「はあ!?」
リリーを連れてこさせて問い詰めた。
「私は家出をしたバノア王国の第二王女リリーです。ラヴィアは王妃である母の名前です」
「王女なら良いですか?父上」
「国王夫妻の許可がないと無理だな」
「では、許可を取りに行きましょう」
「この物怖じのなさは誰に似たんだ?」
ラヴィア……王妃に宛てた手紙を出して返答を待つと国王からリリー王女を連れて来て欲しいと返事が届いた。リリー王女は嫌がったがアーサーが説得した。
バノア王国では歓迎を受け、国王はリリー王女の嫁入りを許可した。
「セルヴィー家のご令嬢が義母となるのなら問題あるまい。リリーを頼んだぞ」
「お任せください」
歓迎の宴の席ではクリスティーナが外交官のようにバノアの重鎮達と交流していた。多分商売に関わる話しかしていなさそうだが。
「父上、仰る通りでした。母上は確かに影響力があります。特にラヴィア王妃殿下が母上を口説いています」
「はぁ~、クリスティーナ様♡ あの頃と全くお変わりがないだなんて、とても4人も子どもを産んだなんて信じられません。もうヒューゴ様に飽きたのでは?このままここに残って私と…」
「俺の妻を口説かないでいただけますか、王妃様」
「なんだ、ラヴィアは俺では不満か」
「クリスティーナ様は特別です」
「そうか、確か父上もお気に召していたな。よし、迎え入れよう」
「陛下っ」
「冗談だ、公爵」
早く帰りたい。
そのままバノアで婚礼式を挙げ、リリー王女を連れ帰った。
バノアの王女がジオ家に嫁いだことで、王位を継いだ従兄から連絡が届いた。王宮でパーティを開こうという内容だったが断った。クリスティーナは嫌そうな顔をしたし、リリー王女はテーブルクロスの刺繍の花びらを数え出したから。
この2人は気が合うかもしれない。
「とにかく、全員結婚したな」
「そうね」
「早めに公爵位を継がせて、2人でゆっくり過ごそう」
「ニャー」
ルクスとジュエルは天に召されたが、その子孫が俺達を癒してくれる。
「マレカ、おいで」
雄のマレカは貫禄があり今までで一番大きかった。そしてその体を生かして俺と彼女の間で伸びる。顔や腹を彼女に向け肉球を優しくタッチさせて愛嬌を振りまき、一方で尻尾で俺を叩く。
「タルト、重いぞ」
「ニャオン」
新たに輸入した雌のタルトは俺の胸の上にお座りして毛繕いをする。
「やっぱりおまえ達は降りろ」
「「ニャー!」」
「ちょっと、何で降ろすの?可哀想じゃない」
「そもそもコイツらのベッドは別にあるだろう」
「でも」
「俺はティナを抱きしめて眠りたいんだ」
「ごめんね、マレカ、タルト」
ムッ……猫の毛が鼻の穴に……だがこの雰囲気を崩したくない。バスルームに行って鏡を見て毛を探しているうちに、コイツらか占領するに決まってる!
「グシュッ!グシュッ!グシュッ!」
「風邪?しっかり毛布を被って寝ないと」
ああ、彼女が離れてしまった。
「グシュッ!!」
バスルームに行って鼻から猫毛を取っている間に想定通りマレカとタルトがベッドの真ん中を占領していた。
はぁ、仕方ない。
「ヒュー、おやすみ」
「おやすみ、ティナ」
くっ!呪われたように重い。
重く息苦しくて目が覚めると2つ目が光っていた。
俺の上に乗って見つめているのはマレカだ。
ぷにっ
しかも顔を踏みつけてくる!
「ん……マレカ?どこ?」
「ニャー」
降りて彼女の隣に戻っていった。アイツは暗殺猫か?
クリスティーナと出会う前は大きな猫に邪魔されながら寝るとは思わなかったし、誰かと共寝をするとも思っていなかった。
今はそれに幸せを感じる。
「マレカ!」
「フン!」
朝、重みと違和感を感じて目覚めると、俺の顔の上に座るマレカのケツが肌に接触していた。
「夜な夜なヒューの側に行くなんて、本当はヒューが大好きなのね」
「違う。マレカ、サーモンスティックは1ヶ月お預けだ。タルトにだけやる」
「ニャー!!」
「ほらな?何を言ってるかわかってるくらい賢いのだから俺の顔にケツを付けて座るのは悪意があるに決まってるだろう」
「猫の世界の変わった愛情表現なのかも」
「ティナにもするか?」
「……私よりヒューの方が好きなのね」
「違う。ほら、タルト。おまえにだけおやつだ」
タルトに咥えさせると、タルトはマレカに口渡しをした。
「か、可愛い!何て優しいの!」
「はぁ…」
「マレカ、ダメよ」
「ニャオン」
「お返事できて偉いわね」
「……」
こんな日常も幸せだからこそだ。そうだよな?
終
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